ホームセンター
何とかゾンビの大群から逃げ出してしばらく走ると一件のホームセンターがあった。ゾンビは建物に群がってはいないようだ。(この状態なら生存者はいなそうだな。ゾンビが生存者を感じ取ってなさそうな雰囲気だし。)慎重に建物の周りを確認する。ガラスの入り口の前は柵タイプのシャッターで閉まっているようだ。
社員用の入り口を見つけ鍵を壊し中に入る。中を確認する。大分荒らされてはいるが人影は無さそうだ。
搬入用のシャッターを確認する。どうやら手動タイプのようだ。
「助かった。」
シャッターを開け車を入れて素早くシャッターを下ろす。
「何でホームセンター何かに?食糧なんて無いじゃない?」
「車を少し強化しようかと思ってさ。」
「終わるまで店内ぶらぶらしてて。あ、武器を持つのを忘れずにね。」
笑って答えた。
「さてと、電気は使えないからな。溶接は出来ないし。あれしかないか。」
そう言って店の大きいカートを持って動きだした。
「あったあった。さてと、始めますか。」
そう言言うと作業を始めた。
ーーー
葵は店内を歩いていた。店内は暗く、商品だった懐中電灯を開け使用していた。人影はない。
「あの人何をしているのだろ?予想がつかないな。」
フフっと笑いながら歩いていく。
「そういえば、髪の毛バサバサだわ。何日もお風呂入ってないな。」
シャンプーコーナーを見てそう答えた。
「人前で何日もお風呂入ってないのってイヤだな。温かいお風呂入ってゆっくりしたい。洋服も新しくしたいし。あ、そうだ。」
葵は彼の元に向かった。
「ねぇ、途中温泉があったら入りたいな。温泉なら電気関係ないものね?」
「んー?あーそうだね。途中あったら考えてみようか。」
作業が忙しくて返事が上の空のような返事だった。
「まだかかりそう?」
「そうだね。今日はここで夜を明かす事になりそうだよ。」
「そうなの?わかったわ。」
そう言って葵はまた店内に歩いて行った。(せっかくホームセンター来たから生活品を持って来よう。)
カートを持って歩き出した。
ーーー
作業が一通り終わって強度の確認をする。
「リベット使って窓ガラスは網を固定して、バンパーの所は鉄板で覆った。これでゾンビを引いても奴ら下に行かず左右に飛んでくだろ。ただリベット打ち付けられる位の鉄板だから無理は出来ないけど。やっぱり溶接はしたいな。電気があればな。」
「ただいまー。」
「お帰り・・・って何を持ってるの?」
「何ってシャンプーとか歯ブラシとかよ。」
「こんな時に必要?」
「温泉があったらよろしくね。」
「温泉?あ、あぁそいえばそんな事言われたな。安全だったらね。」
(こんな状態になってもお風呂か、女性の気持ちはわからんな。)




