自衛隊
6機編成で輸送ヘリは飛んでいた。目的は決めてない。
「まさかの展開ですよね。有事の際に動かなきゃ行けない自分達が基地から逃げ出すなんて。」
「そう言う事を言うな。基地を避難所として解放してたのが仇になったのかもな。避難してくる民間人が多くて把握出来てなかったのが問題だったのかも知れない。」
「まさか救護所から奴等が溢れ出すなんて誰も思わなかったですからね。怪我人が奴等になるなんてあの時は思わなかったですから。」
「あれで中がパニックになってしまい、外に逃げ出そうとした人達が一気に溢れ出入り口が封鎖出来なくなってしまったからな。」
「そのまま奴等が雪崩れ込んで来て中から外からもうパニック状態でしたもんね。何とかこのヘリの台数だけは動かせた訳ですけど。」
「民間人も乗せられるだけ乗せる事が出来たからな。」
先頭を飛んでいるヘリを操縦している上官と部下であろう2人が会話している。
「そいえば何処向かっているのですか?」
「決まってない。他の基地に連絡取ってるのだが応答が無い。不安なのが米軍基地も応答が無いって事だ。」
「マジですか?ヤバくないですか?」
「下を見てみろ。あちこちで火が上がっている。奴等も道路を占領していやがる。これじゃヘリを下ろす事すりゃ出来ない。」
「どうしますかね。」
「とりあえずこのまま新潟方面へ向かって安全な場所があったら着陸しようかと思う。」
その時隣から無線が来る。
「ヤバイ!奴等だ。民間人に怪我人が居て変化しやがった。」
無線越しに銃声が聞こえる。
「くそ!どんどん増えてきやがる!このままじゃ・・・」
「あ、あれ?無線が途絶えた。」
ふと隣のヘリを見ると煙が上がっていた。やがて動きがぶれてきた。
「あ、危ない!」
そう思った時だった。ヘリは隣のヘリにぶつかり2機とも爆音をあげ墜落していってしまった。
「マジかよ・・・」
「くそ!、各ヘリに今からでも良いから乗員の怪我のチェックをさせるんだ。あぁなったらおしまいだ。」
「わかりました、通達します!」
そう言うと部下であろう人物は無線で連絡を取った後に自分のヘリにいる生存者達のチェックをしに行った。
「何処かに降りれる場所は無いか?」
辺りを見回す。遠くの方に空港が見える。
「あそこなら4機着陸出来そうだ。外には奴等は見えないし。」
空港に無線を使って連絡を取る。しかし停電の為か連絡が取れない。
「やっぱり連絡は付かないか・・・燃料の残りを考えるとここが限界だな。」
部下が戻ってきた。
「生存者は噛まれた跡も無く大丈夫そうでした。」
「そうか、確認ご苦労だった。本機はあの空港へ着陸する。」
「へ?あそこですか?新潟は奴等居なきゃよいけれど。」
「わからない。空港に連絡取っても返事が無いしな。着陸次第戦闘体制を取るように通達しておけ。」
「わかりました。」
「民間人の皆さん今からあそこの空港に着陸します。着陸後にどんな事態が起こるか我々にもわかりません。固まって動いてい来ますのではぐれないようにして下さい。」
そう言うとヘリを着陸させた。他の3機も続く。着陸後隊員達はヘリから降りたあとに散開する。
「げ、やっぱり奴等いやがった!」
空港から飛行機に乗り込もうとする乗客のごとく奴等か溢れて来た。
「撃てー!」
合図と共に隊員達は銃を撃つ。
「くそー!倒れやがれ!」
「どんどん溢れてきやがる!」
「ヤバイぞ!弾が尽きそうだ!」
「こっちもだ!」
「走れ走れ!止まっていてもらちがあかない!」
「皆さん着いてきて!」
「急いで!」
皆一斉に走り出した。
彼等は気付いて居なかった。銃声が聞こえる度に奴等が音のする方へ向かって来るのを・・・。




