来訪者
元居た家に戻った頃にはすっかり暗くなってしまっていた。小さい山の上に家があるからかここにはゾンビは来ては居なかった。素早く門を開け車を入れる。
「はぁ」
「どうかしました?」
「何であいつら銃なんて持ってるんだ?日本だぞここは。」
「多分ですけど、ゾンビになった警察官から奪ったんだと思います。都心部はそういう人達が多かったですし。自衛の為って言ってましたけど。」
「生存者も危険て事か・・・」
「自衛隊とかアメリカ軍はどうなんだ?助けてくれないのか?」
「東京で警察と自衛隊が動いてくれてたんですが、数が多くて目の前に居た人達は全滅してました。戦ってる最中に負傷してその人がゾンビになってまた隣を襲ってってどんどん増えて言ったの。アメリカ軍基地なんか、飛んできた飛行機でゾンビになってしまったのか上手く着陸出来ずに、基地内の建物に突っ込んでいってしまったわ。横田基地は多分機能出来ていないかも?病院もダメ、死体はゾンビになるし運ばれてくる人もゾンビになるしで、ともかく逃げるだけで精一杯だった。」
「まともに機能している所なんてないのか?」
広一は遠くの方を見て無言になってしまった。
「とりあえず地方に向かって正解だったかもな。人が多い=ゾンビも多いとおもわなければか。」
「とりあえず夕御飯にしましょ?お昼食べなかったしね。」
(そういえばフェリーターミナル行ってから気が張っていたのか空腹感はなかった。そう言われてみるとお腹空いたかも?)
「料理作るから待っててね。鶏の卵もあるしね。」
そう言うと葵は家の中のキッチンに向かって行った。(しかし参ったね。これじゃここから身動き取れないな。明日バリケード破られたスーパーに行ってみるか。もしかしたら1日たてばゾンビも散ってるだろうし。)
夕飯食べ終わった頃に、
「パン!パパパ!」
銃声の様な音が鳴り響いた。ふいな出来事で葵は身を屈めてしまった。
様子を伺おうと塀の上からそっと様子を伺う。遠くの方から車のヘッドライトと、銃声がこっちに近づいて来る。
「葵、火と光を消して!決して音を立てないで!」
「どうしたの?」
「銃をもった奴等がこっちに向かってくる!何処かに隠れてて!」
そう言われ葵は家の中に消えていった。車が家の前で止まった。(念の為武器を持って隠れよう!)
「誰か居ますかぁ?」
ニヤニヤした声で話しかける。
「こんな所誰も居ないって。早く門を壊して入ろうぜ。」
「まぁ待てって。こういう所なら食糧備蓄してたりするんだって。誰かいるんだろ?今開ければ何もしないから開けてくれ。」
「そんな事言っても結局奪う癖に。」
男性は笑って言った。
「黙ってろ!開けるつもりは無いのかな?じゃあ無理やりいくぞ!」
そう言うと男性は、門の隙間から銃を撃ち木のかんぬきを撃ち抜いた。
「さてと、誰が居るかなっと。」
男性が門を開ける。2人が乗ってたランクルとトレーラーが来訪者2人の前に飛び込んできた。
「お?マジかよ!お宝じゃん」
男性は嬉しそうに車を見て言った。(まずい!取られる!)
「お前ら動くな!今なら何もしない。立ち去れ!」
「お?声が聞こえたぞ?」
そう言うと男性は適当に銃を乱射する。
「これ見てまだそんな事言っちゃう?頭大丈夫?出てこいよ?」
(まだ2人はこっちの場所は気づいてないようだ。それなら!)
「今帰れば危害は加えない!早く立ち去れ!」
「馬鹿かお前は?こんなお宝目の前にして帰る訳ないだろが!」
男性は、相変わらずへらへらしてる。(くそ!やはり帰らないか。それなら)その時だった。音もなくボウガンの矢がへらへらしてる男性の肩に突き刺さった。
「マジかよ!痛てー!」
流石に男性はへらへらせず痛みで倒れ込んでしまった。銃を持った男性は所構わず銃を撃ちまくるが当たらない。
「次はちゃんと狙うらな!」
「わかったわかった。今回は立ち去るよ。」
そう言うと2人は車に乗った。立ち去り際にまたこちらに銃を連射しながら走り去って行った。
「助かった・・・か?葵、出てきて大丈夫だよ。」
家から葵が出てきた。
「マジかよあいつら、殺す気だった。」
「また来ますかね?」
「報復に来るだろな。早くここを立ち去らないと。」
そう言うと荷物をまとめ、早々に車でその家を後にした。




