フェリーターミナル
2人は目的のクルーザーが置いてあるレンタルショップにたどり着いた。ただ気になる点があって、入り口に近づくにつれ、倒されたであろうゾンビが増えて来ているのだ。
「誰か生存者がいるかも?」
「え?誰かいるなら心強くないですか?」
「うーん、普段だったらそうなんだけどね。ほら、前に言ったじゃない?刃物持った人達に襲われかかったって。あー言う連中だったらたちが悪いわけよ。特に女性じゃさ。」
「うぅ・・・」
「そうだ。万が一があるとまずいからトレーラーの方で隠れててくれないか?1人でいるって事にするからさ。」
「あ、わかりました。」
フェリーターミナルの手前で止まって葵は後ろのトレーラーに乗り込む。(さてと、何も起こらなきゃ良いけど。)広一は走り出した。
フェリーターミナル入り口に辿り着くと大量のゾンビが倒れていた。動かないのを確認し、入り口の門を開けようとした。
「動くな!」
チェーンカッターで切ろうとした時にその声は聞こえた。声のする方を向くと2人の男性が立っていた。内1人は拳銃を持っていた。
「誰だ?何でここに来た?」
「銃を向けるな!落ち着いてくれ?」
「いや、ダメだ!答えろ!」
ここは、正直に話すべきか悩んだ。
「逃げてる最中にここが見えたから安全だと思ったんだ。」
(一応遠からずだけど、間違えは言ってない。)
「ダメだ!ここにはもう俺達がいるんだ。他を当たりな。女がいるなら話しは別だけどな。」
そう言うと男性は、ニヤリと口元が歪んだ。(うわ、やっぱりダメな部類だコイツら。)
「誰も居ない。1人だ。出ていくから撃つな。」
「わかったら早く立ち去れ!」
広一は車に乗り込んで元来た道を引き返した。(クルーザーはダメそうだな。しかし何であいつら銃なんて持ってるんだ?日本だぞここは。クソッ!)
しばらく走って開けた場所があったので車を止めて葵を助手席に呼んだ。
「やっぱりダメな部類だったよ。でも女性だったら助かったかもよ?」
皮肉のように言った。
「車内からやりとり聞こえてましたから。絶対イヤですから。」
ちょっと涙目になっていた葵が言った。
「ともかくここで船はダメそうだったよ。地図を見てもレンタルしてるのここだけみたいだし。個人の所有物じゃ鍵なんて無いだろうしさ。新しいプランを考えないと。」
「時間が遅くなってきたから、あの家に戻りませんか?ここで夜を明かすのは不安です。」
「そうだね。一旦戻るか。」
ランクルは来た道を引き返した。
途中ゾンビに囲まれていた小学校はまださっきの囲まれてる状態だった。もう1つのスーパーの方はゾンビが居なかった。代わりに何ヵ所かバリケードが破られていた。
「広一さん・・・あれ」
「ダメだ!見るな。俺達じゃどうにもならなかったんだよ。それにさっきのフェリーターミナルに居た奴等はみたいなのだったら助けてもこっちが痛い目見るだけだ。」
「でも・・・生きているかも?」
「助けるのは無理だ。さっきのゾンビが全部中に入って言ったと仮定すると2人じゃ数がどうにもならない。」
「・・・」
葵はそれ以上言葉を発しなかった。




