入手手段
一夜明けて朝になった。今日も快晴だ。
「おはようございます。」
「うぉ!ビビった!」
「大丈夫ですよ、私生きてますから。」
葵は笑った。
「今まで1人だったからつい。」
「朝ごはん出来てますよ。」
「すんません。」
朝食食べながら今日の動きの確認をする。
「荷物をまとめたらまずは食糧探しに出発します。大きなショッピングモールは避けてスーパーとかがあれば入ってみようと思う。葵は今まで武器になりそうな物は持ってたの?」
「いえ、何も持って無いです。」
「そうか。じゃあ、俺が店が合ったら確認しに入るから、車内で待機してて。何かあったら軽くクラクション鳴らして。どうにもヤバくなったら走り去って構わないから。自分は何とかしますんで。」
「え?自分だけ行くなんて出来ないですよ。やられて凄い不安になりましたから、1人は心細いですし。」
「そう?ならクラクション聞こえたら急いで戻るようにするね。」
彼女はよっぽど置いていかれたのがイヤだったのだろう。その話をしてる時に少し涙目になっていた。
「食べ終わったし出発しようか。」
2人は皿を片付けだした。
彼女を助手席に乗せ車を動かす、門を閉めて鍵をかけまた走り出す。この辺りはゾンビは少ない。この位だったら車で走ってれば安全そうだ。程なくして1件のスーパーが見えてきた。何やら様子がおかしい。スーパーにゾンビが群がっている。良く見ると割れたガラスの向こうは棚か何かでバリケードみたいになっていた。
「誰かが立て籠ってるのかも?」
「え?何でわかるの?」
「葵が隠れてた部屋の扉にもゾンビが5体もいたしね。」
「多分生活音を聞いて集まってきたんじゃないかな?自分達が居た家はそんな大きな音も立ててないから集まらなかったのかもね。」
「誰かいるなら助けないと。」
「いやいや無理でしょ?向こうのゾンビの数は10を軽く超えてるし。前に自宅で立て籠ってる時に生存者に食糧取られそうになった事があるからさ。厄介事はゴメンですから。」
「でも・・・」
「葵を助けられたのはたまたまなんだよ・・・」
車はスーパーから走り去って行った。(やっぱり長期的に立て籠ってるとこうなるよな。ここは駐車場も閉められる方法も無さそうだし。中にいたら破られるか知れないストレス半端無さそうだな。)広一達は次の店を探して走る。途中何軒かあったが、生存者に荒らされたのかガラスが割れ賞品が店前に散乱している。周りにはゾンビもいる。
「ここもダメか。日が立つにつれどんどん悪化してるな。そいえば、船の燃料って何だろう?ガソリン?」
「確か違いますよ。車とは全然燃料違った気がします。元カレが全部してたので詳しくは知りませんが。」
「へぇ、そう・・・って、え?何だって」
広一はつい急ブレーキをかけてしまった。
「きゃっ!」
「燃料が何か分からなきゃダメだ。入手手段もガソリンとは違うだろうし。また振り出しか?」
裕一はそう言いなかまら溜め息をついてしまった。
「燃料が入ってて、鍵がある状態の船を探さなきゃ訳だ。難易度上がったな。」
「船でちょっと沖に出て生活するのはダメなの?必要な物がある時だけ陸に戻るっていう方法は?それなら燃料そこまで必要なくないですか?ちょっと陸から離れればゾンビは来ないと思いますよ?」
「成る程、その手があったか。調達時以外は船の中ね。そのプラン乗った!どちらにせよ、船を探すかね。」
「そうですね。」
2人が乗った車はまた走り出す。
「とにかく、クルーザーが置いてあったら確認してみよう。
」
「はい。」
途中小学校前を通ったが門が閉まってる。こちらもまた門の所にゾンビが溢れている。
「また助けないんですね・・・?」
葵が冷たい目で広一を見る。
「そ、そうだね・・・じゃぁ何かい?こういう場面の度に助けてヒーローになれって事なのか?自分はそんなのゴメンだよ。自分がまず生きるのが優先事項だし。警察か自衛隊に任せるべき内容だよ。」
そう言うと広一は口を閉じた。(奴等は生存者の何かを感じる事が出来るのだろうか?立て籠ってるであろう場所にあれだけ集まるなんて。学者じゃないから詳しい事はわからないが、こことスーパーの2件を見る限り集団で立て籠る生活は危険って事何だろな。ゾンビが集まって来てしまうと、身動き取れなくなってしまうわけだし。道中人を見かけないと思ったら皆避難場所とかで立て籠ってるからか?スーパーとかで周りにゾンビがいない場合は中には生存者もいないって事か?)広一は色々考えを巡らす。
しばらく走っていると看板が見えてきた。
「クルーザーレンタルここより後2キロ」
看板にはこう書いてあった。(レンタルか、レンタルなら鍵も事務所にあるかも?)事務所に鍵が全部あったキャンピングカーのショップの事を思い出した。
「さっきの看板の所に向かおう。」
「え、あ、はい!」




