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終末は突然に  作者: SMILE
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生存者?

 目が覚めた。タイマーをかけてないのに仕事行く時に起きる何時もの時間だ。

「仕事ないのにな」

 広一はそう呟いた。火が使えるので湯を沸かしてコーヒーを飲む。地図を開きながら行き先を決めようとした。(何処か安全な場所は無いものか?)そう思い地図とにらめっこする・・・無い!無さすぎる。日本は安全なのか、死人というか、暴動が起きた際に対する対策が無いから大抵の店はガラスの入り口だからだ。駐車場もチェーンだけだし。(現時点でここが一番安全なのか?いやいや、長期を考えると厳しいなここは、コンクリだから、何かを生産も出来ないし。人がいなそうな山に行けば良かったのか?いや、雪が降ると除雪車が無いから手詰まりになるな。)そう色々と考えて後悔したりしてしまう。(

島に行くのも手かも?死人達がいても島内だけの人工だし、減ることはあっても増える事は少ないだろうし・・・あ、船無いしそもそも俺運転も出来ないわ・・・予備プランって事にしよう。このトレーラーがあれば食糧含め1人なら1ヵ月は生きていけるしな。しかし悩む。)

「そいえば、テレビで貨物船から死人達が出てきたニュースをやってたハズだから少なくとも日本以外もヤツラはいるんだろうな。だとすると海外からの支援は難しそうな。日本は燃料は輸入だからガソリン含め無駄遣いはしない方が良いだろうな。やはり助けが来ない長期を考えると自給しないとまずいな。って事は車の整備も自分か?」

 広一はタイヤやオイル交換は自分でやってるがそれ以外は未経験だ。店の事務所の横はガレージになっている。ガレージに入るとやはり工具等が置いてあった。めぼしい物を工具箱に詰め込む。他オイル等の消耗品も必要なだけ持ち車に入れた。(ランクルのままで良かった。あの時違う車両にしたら、メンテナンスの方法がわからなくなる所だった。)自宅メンテ用にサービスマニュアルを買っておいたのが良かったのである。

「まずは海岸沿いを南下してみるか。北に行ってしまうと冬に雪が降られると困るしな。今は茨城だから千葉方面に行くか。」

 そう言うと、門の所にいた死人達を門越しに倒した。

「また門を固定しとくか。何かあって来た道戻る事になったらまた使用できるように。」

 車を出し、門を固定して走り去った。

 走っても走っても安全そうな場所は無さそうだった。むしろ家も少なくなっていった。家が減るのに比例して死人達も見なくなっていった。(ここらは安全か?)途中ガソリンスタンドがあったので寄ったがヤツラは居なかった。車内に戻り辺りを見回し確認した。一件の地主なのか昔の家の作りだが、高い土壁で囲まれた家を見つけた。

「門が空いてる。周りに死人達もいない事だし入ってみるかな。」

 広一は家に向かって車を走らせた。予想以上に敷地内は広かった。トレーラーが入りきったのを確認し門を閉めた。門は木の作りで今時木を挟んで鍵を閉めるタイプだった。

「さてと、じゃぁ安全確保しますかな。」

 まずは壁周りを一週する。山に囲まれているからか入り口はさっき入った正面の1つだけのようだった。今度は家の中に入っていく。死人だ。5体いて、皆同じ場所の扉を開けようとしているようだった。ヤツラの死角に行きボウガンを射った。一体仕留める。他は気にしてないのかまだ扉を開けようとしている。それから3体仕留めた時に最後の1体がこちらに気が付いた。・・・がその時には弓を張り終えた為、ボウガンで仕留める事が出来た。(さてと問題はこの先だな。何が出てくるかだけども。)

「誰かいるのか?いたら返事してくれ。外にいるのは仕留めたから大丈夫だ。」

 これで返事があれば生存者だが・・・、

「ホントですか?待って下さい、今開けます。」

 そう言うと扉の鍵が開く音がして1人の女性が出てきた。

「ありがとうございます。ちょっと前に一緒にいた人達とはぐれてこの建物に逃げて来たのだけど途中やられそうになってここに逃げ込んだの。助けてくれてあ・・・」

 そこまで言って倒れてしまった。気を失ったようだ。

「どうしよう。とりあえずトレーラーに運ぶか。」

 まだ建物の確認が出来てないからトレーラーしか選択肢が無かった。彼女をトレーラーのベットに横にさせ、広一はまた確認の為に中に入って行った。幸い中にはさっきの5体以外は見当たらなかった。「後は横の納屋か」

 中に入った瞬間何か顔の前に飛び掛かってきた。

「うぉ!」

 広一は後ろにバランスを崩し尻餅をついた。

「何が起きた?・・・鶏だ、ビビらせるなよ。お!卵産んでるよ。ラッキーだな。」

 鶏以外は農具が少し置いてある位だった。

「向こうには井戸水がある。昔の手動タイプみたいだ。・・・お?水が出るぞ!助かった。とりあえず飲めるかわからないから念の為煮沸しないとだな。」

 一通り確認し終わり、動かなくなった死人を外にだす?そしてトレーラーにいる女性の元に向かった。まだ気を失っているのか動かない。広一は起きるまで家の中を再度確認する事にした。(他の生存者とはぐれたって言ってたな。じゃぁ近くにいるのかな?起きたら聞いてみるか。)

家の中で

米(精米60キロ)

野菜の種(家庭菜園用)

を見つけた。車に乗せる為にトレーラーに運んで行く。入ろうとした所彼女が出てきた。

「あ、ありがとうございました。1人になってしまい助からないかと思ってました。車で一緒に他に4人乗っていたのですが、1人猟銃を持っていたのでそれを打って倒してたのですが、銃の音を聞き付けたのか、ゾンビがどんどん増えて来てしまって・・・急に運転手が車を出して私置いていかれてしまったのです。幸い銃の音と車の音でゾンビ達が集中して私は何とか逃げる事が出来ました。」

「何で車乗ってなかったの?」

「・・・トイレに入ってました・・・」

「成る程。失礼しました。それにゾンビって言ってたけど?」

「映画で見たゾンビそっくりだから誰かともなく私達はそう言うようになってたの。」

「確かに良く考えるとゾンビそっくりだな。」

 そう言うと広一は笑ってしまった。1人で逃げ回ってたからそんな考えすら出て来なかった。

「どうかしました?」

「あ、いや何でもない。だから近くにあいつらが全く居なかった訳だ。」

 音が出ない武器を使ってたのが項をそうしていたようだ。

「そいえば目的地は何処だったの?自分は千葉方面行こうとしたんだけど、方面同じなら乗っけてくよ?」

「あ、千葉はダメです。私達そっちから来ましたから。都内近辺はダメです。人が多かったからかゾンビにやられるのも早かったし、やられたのはゾンビになるからネズミ算式に増えてしまって地獄です。」

「ホントに?千葉はダメなのか。だから都内のテレビ局がやられたからテレビすぐに見れなくなったのか?急に手詰まりになってしまった。自分は北から南下してたけど、知り合いの車らしいのは居なかったけど?探すなら近場を一緒に探しますか?」

「あ、友人って訳ではなく、たまたま逃げる時に一緒だっただけですから。それに置いていかれる何て思ってもみなかったですし、合流するのは・・・良かったら一緒に連れてってもらえませんか?」

 彼女はそう答えた。だが広一は悩む。(1人のが良い気がする。食糧も1人分しか確保してないし。色々大変そうだしな。)

「今すぐ出ていってくれとも言えないしな。この家には貴女が先にいた訳だし。何処か避難場所とか落ち着ける場所があるまでって事で良いですか?」

「あ、ありがとうございます。私山本葵(あおい)って言います。よろしくお願いします。」

「自分は佐藤広一。しばらくよろしくお願いね。それに敬語はいらないから」

「え?見た感じ年上っぽかったから」

「いや、自分23だし。そこまで上じゃないでしょ?」

「23ですか?同い年だったのですね。じゃぁ、気を付けるようにします。」

 そう言うと彼女はクスッと笑った。

「とりあえずご飯にするかな。家で米を見つけたしね。数日ぶりの白米だよ。」

「料理は任せて下さい。」

 そう言うと彼女は料理を作り始めた。

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