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冬野つぐみのオコシカタ  作者: とは
第二章 10年前の昔話

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10年前の昔話 その7

「ねぇ高辺さん。どうして僕がここに居るって分かったの?」

「ふふふ、どうしたんですか? 珍しく私に興味がおありですね?」


 妖艶な笑みを浮かべた高辺に、里希は問いかける。


「里希さんが帰ってこない。じゃあ探しに行きましょう。あら、あそこに居るじゃない。それだけの話ですよ。ほら、私は目がいいですから」

「……ふーん。でも僕の隣にいた彼には、『暗くて顔が見えない』って言ってなかったっけ?」


 里希の言葉に、高辺はくすくすと笑う。


「ごめんなさいね。私、自分の興味のないものは目に入らないものですから」

「……そうだね、確かに僕にもよくあるや。じゃあ仕方がないか」


 そう。

 だから自分達が去った後に、仁部がどうなってしまおうが、それは仕方がないこと。

 一人の愚かな人間が、ただ踊らされただけの話。


「ところで里希さん。お散歩はどうでしたか?」


 高辺の問いに里希は笑みをもって答える。


「ん~、まぁまぁ楽しめたかな。期待以上のものが見れたのは収穫だったかも」


 そう、とても良い時間だった。

 最近の品子はなんだか他の人間と同じく、つまらない存在になったと思っていた。

 だが、自分が殺されるかもという危機的な状況。

 そんな中で、凛としている彼女の姿は実にとても尊かった。

 やはり品子は、高潔な心は色あせずに持ち続けていたのだ。


「……うん。それが分かったから、僕はとても気分がいいよ」


 柔らかな笑みを高辺へと向け、里希は思う。



 だからね、高辺さん。

 あなたがあの仁部ってやつを焚きつけてこんな騒ぎを起こしたことも。

 あなたが僕らの前に現れる前に発言していた『散歩』という言葉がどうして出てきたか、なんてことも見逃してあげる。

 まぁ、食えない高辺さんのことだ。

 わざと挑発で僕に言ったのかもしれないけどね。

お読みいただきありがとうございます。

次話タイトルは「10年前の昔話 その8」です。



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― 新着の感想 ―
[一言] ふむぅ。捨て駒はやはり捨て駒だったけれど、悪巧みをしている悪い子には、いつか品子先生の手……いや、拳が何度も滑ると良いですね! まったく、黒い陰謀の渦巻くところにいると身も心も休まりません…
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