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壱話 漆黒と金色の出会い

こんにちは〜、こんばんわ〜、おはよーごぜぇます。            璃瑠@です。約何日ぶりかの復帰(はやっ                 とりあえず自分は、厨二のことなんてよくわかりません。何が厨二で何が厨二でないのか。                   まぁ、あまり気になさらず気軽に読んでくれれば幸いです。



厨二病。俺がそれになったのは、中学一年生の夏だった。



某忍者マンガの写〇眼を使えるなんて思っていたのは序の口で、他にも自分にはいろんな特殊能力があるなんて思っていた時期が俺にもあった。



まぁ、見るからに不良な高校生に喧嘩を売って、ぼこぼこにされてから、自分はそんな人間じゃなかったんだと気づかされたのも今じゃいい思い出である。



受験も終盤に近づいた中学三年生の二月。



俺はそれまで遊び呆けていた分を取り戻すべく必死に勉強した。



時期的に、目指すは公立一本。



たぶん優秀な幼馴染さんが居なけりゃ俺は今頃ガチニートになっていただろう。


んで、なんとか志望校に合格。



これから一所懸命頑張ろうなんて意気込んで入学式を迎えて・・・・・・そうだな、俺が何故にこんな長ったらしく過去の黒歴史を語っているかというと、定番であるクラスでの自己紹介で厨二全快なやつが居たからだ。



そいつのせいで、頭の奥底に眠っていた昔の記憶がよみがえってきたんだよ。



つまり、俺が何を言いたいかというと、こいつとは絶対にかかわりたくないってことを、大きく声に出して宣言したいわけだ。



・・・・・実際にそんな恥ずかしいことはしないけどな。






☆☆☆☆






「ほれ、こいつがさっき言ってた桐谷 真矢<きりたに しんや>。俺の親友だ。」



「よし麻樹<あさき>。一発殴らせろ」



関わらないと決めていたはずのヤツを、早速連れてきやがったコイツは、小学校からの友達、もとい、パシリの、日向 麻樹<ひなた あさき>だ。



誰を連れてきたって?言わなくてもわかるだろ。



もちろん、「私の名前はレイブン・マルクス・ルシファー。漆黒の天使の一人である」なんて自己紹介した、とっても痛い女の子を、だ。



見た目は、はっきし言って可愛い。めちゃくちゃ可愛い。



まるで、テレビに出る女優みたくパッチリした目、黒くて艶やかな長い髪。宝のもちぐされとはこういうことを言うのか。



・・・・・・まぁ、俺の幼馴染には劣るがな。



たぶん、あんな痛い発言をしていなかったら、今頃クラスの人気者であろう。特に男子から。



「おい真矢。誰がぱしりだって?」


いまさらつっこみかよ。遅いな、この変態は。



「変態でもねぇよ!!」



「うるさいなぁ・・・・いちいち突っ込むなよ」



「遅いって言ったのお前だよね!?」



バンッ!!



突然、麻樹が連れてきていたその女の子が机を叩いた。



静まり返る教室。



「私をいつまで待たせる・・・・・お前ら、灼熱の業火で焼いてくれようか」


何を非現実的なことを言ってるのだろうかコイツは。


頭大丈夫なのか?



「くっ・・・・・言わせておけば・・・・桐谷真矢か・・・・・覚悟しておけ!!」



そう言って女の子は立ち去っていった。



「おいおい真矢。言いすぎじゃないのか?」



「知るか。だいたい、なんで俺のとこに連れてきたんだよ」



「いや、お前と気が合うかなぁと思ってさ。だって真矢も、元厨にぐべっ!!?」



「いやぁ、今麻樹君のホッぺに大きな虫がとまってたから。メンゴメンゴ」



コイツ、人の黒歴史をこんなとこでバラして何がしたいんだ?



俺にあの女の子と同じような扱いを受けろってのか?


死ねばいいのに。



「いやいや!死ねって言い過ぎだろ!」



「・・・・・・・・・眠いなぁ」



「シカトですか!?ちょ、おまっ!!」



「ほらほら、そこの二人静かにしろぉ。HR始めるぞ・・・・・・っと、観菜佳〈みなか〉は早退か」



担任の小杉がため息をつく。



若いのに白髪があんなにあるなんて・・・・苦労してるんだなぁ。



ついでに、あの厨二野郎の名前は観奈花って言うのか。



名字か名前かわからんが、とりあえず覚えといてやろう。






☆☆☆☆






「さぁて、ストーカーの存在に気づいたとき、人はどうすればいいのか。1、警察に通報する。2、すみやかに警察に通報する。3、落ち着きながら警察に通報する。・・・・・さて、どうしようか」



「・・・・・よく私の存在に気がついたな。もしや真矢は私の仲間ではないのか?」



「・・・・あ、もしもし警察ですか?」



「永遠なる衝撃〈エターナルインパクト〉!!」



「ぐわっ!?何すんだお前!!って、携帯を踏もうとするな!壊れるって!!」


「フフフ・・・・・私の神技〈ゴッドスキル〉をくらっても元気がありあまってるようだな。やはりお前は・・・」



なるほど、学校の鞄で思い切り殴るのがコイツの必殺技、永遠なる衝撃〈エターナルインパクト〉か。



「で、何か用?学校さぼって、わざわざ俺の後をストーカーしてさ」



「そうだな。やはりお前は私の仲間になりうる存在のようだ」



何を言ってるんだか。



俺は殴られた際に手放した携帯を拾うと、帰宅するために歩き始める。



「ま、待て!・・・・そ、そうだ、私がいいことを教えてやろう!」



「・・・・・・いいこと?」



「あぁ。・・・・・・・・・・・・・・・えっと」



厨二野郎が不意に、困惑とともに寂しげな表情を見せた。



待て待て。その可愛さでソレは反則だろ。



てか、会って間もないのに何なんだこの状況。



「・・・・・・・・・少しだけ、話聞こうかな」



俺がそう言うと、厨二野郎はにぱぁっと笑った。



くっ・・・・騙されるな俺!アイツの本性は昔の俺なんだ!!



・・・・・なんか言ってて虚しくなってきた。



まぁ、いいや。



そういえば近くに小さな公園があったはずだ。



とりあえずそこに行くか。



俺も家になんて帰りたくないし、少しくらいなら付き合ってやっても問題ないよな。






☆☆☆☆






公園のベンチに腰かけながら、茜色の空を見上げる。


「やめた方が、いいんじゃない?」



沈黙はあまり好きじゃない。



俺から話題を切り出すことにした。



「・・・・・・・何を?」



「だから、厨二っぽく振る舞うの」



「!?何を言っているんだ!私は正真正銘の」



「無理してないか?」



俺がそう言うと、厨二野郎は口を結んで俯〈うつむ〉いた。



「なんかさ、無理して厨二っぽく振る舞ってる気がしてさ。・・・・・やっぱり、普通そういうのって、楽しいからするんだよ」



うん。俺が厨二の時は毎日が楽しかった。



毎日が非現実に染まっていて、いつ異世界とかに召喚されてもいいようにドキドキしていて、いつ変な能力に目覚めてもいいようにワクワクしながら毎日を送っていた俺からすれば、彼女はおかしいところだらけである。



人によって差はあると思うけど、暗い表情をしながら厨二台詞をはくやつなんてそうそういないと思う。



そういうキャラを演じているなら、仕方ないですむけどさ。



俺の勘みたいなやつが、コレは違うって言うんだよな。



・・・・・・なんか、俺もまだまだ厨二っぽいな。



思わず笑みを零しながら、今日出会った彼女の目を見る。



「もっと楽しもうよ、な?ほら、もしかしたら明日には、本当に不思議な力が宿ってるかもしれないだろ?」



「・・・・私は・・・・・・すでに特別だよ」



俺は、何故に厨二を悪化させるようなことを言ってしまったんだろうか。



会って間もない女の子にさ。



まぁでも、今、彼女が笑っているからよしとするか。



「さて、日も暮れてきたしそろそろ帰るよ。・・・・・幼なじみの手料理が冷めるしな」



俺はそう言ってベンチを立ち上がり、一つ伸びをした。



「・・・・名前、聞いとけばよかったな」


ふとそう思ったのは、家に着いてからだった。



いつものごとく、幼なじみが作ってくれた晩ご飯を一人で食べながら今日のことを振り返る。



「・・・・・・きも」



そしたら妹様の心を抉る一言が飛んできやがった。



自然とにやけてしまっていた頬を引き締め、再び静かな食事に戻る。



姉様がいなくてよかった。


姉妹がそろってしまえば、俺のガラスの心は見るも無残に砕けてしまうからな。


まったく、なんでこんなに口ばっかり悪くなったのか。



妹は俺を一睨みして、二階の自室へ戻っていった。



俺が家に帰りたくない理由は、主にこの二人にあると言ってもいい。



まぁ、俺が中学の時、二人のこと無視しまくってたからな。



中学生特有の照れみたいなもんだったが、二人が俺に罵詈雑言を浴びせるようになったのはその頃からだ。


自業自得ってやつか・・・・・・。



俺は小さくため息をつくと、残りのご飯を口のなかに詰め込んだ。






☆☆☆☆






そして翌日、彼女は学校を休んだ。



まさか俺のせいか?なんて考えてみたけど、うん。



俺のせいだよね。



多少責任を感じた俺は、クラス名簿で彼女の名前を調べて眉根を寄せる。



沖知 観菜佳〈おきち みなか〉。



今は無き孤児院。沖知院の一人娘の名であった。






☆☆☆☆ 








沖知院。その場所を、俺はよく知っている。



なぜならば、5歳頃まで俺もその孤児院にいたからだ。



まだ小さかったからその頃のことはよく覚えてないが、ぼんやりとなら思い出せる。



子供たちの笑い声、心が落ち着く木の匂い。



今では跡形もないあの孤児院が潰れた原因は確か、経営者の不幸な事故だったか。



「なぁ、ゲーセン行かねぇ?」



そんな麻樹の誘いを、俺は丁重に断った。



「悪いな。今日はデートなんだ」



「なっ!?お前、いつの間にリア充になったんだよ!!なぁ、なぁ!!」



「ハッハッハ、君も頑張りたまへ」



悔しがる麻樹の姿をエネルギーに変えて、俺は13年ぶりにあの孤児院跡地へ行ってみることにした。



今日休んでいる彼女が、なんとなくその場所にいるような気がするんだ。



ちなみに、俺がリア充になったなんてのは嘘。



生粋の“元”厨二。しかも麻樹の影響でアニメにはぁはぁするようになってしまった俺なんかに彼女が出来るわけないだろ?



別に泣いてなんかないし!俺は魔法使いになるんだからなっ!!



「何言ってんだか・・・」


自分で自分に呆れて、小さく苦笑する。



なんか楽しいな、こういうの。



俺は厨二だった頃の気持ちを思い出しつつ、一人微笑んだ。






☆☆☆☆






孤児院の跡地に着いた俺は、懐かしむように『立ち入り禁止』の看板を越えて奥へと進む。



孤児院自体は閉鎖になったが、その建物は昔のままその場所に建っていた。



「おぉ・・・・・なんか見覚えあるかも」



まるで探険をしているような気分で、孤児院の中を歩く。



曖昧な記憶を頼りに、ずんずん奥に足を進めていくと、教会のチャペルのような場所へ出た。



そういえばこんな場所もあったなぁ、と懐かしんでいると、誰かの寝息のようなものが聞こえてきた。



「・・・・・・・無防備すぎだろ」



音が聞こえてきた方に行ってみると、例の厨二女がすやすやと眠っていた。



それにしても、なんと可愛い寝顔なのだろうか。



やはりこんな女の子が厨二発言をするのはもったいないな。



いや、むしろ喜ぶべきなのか?



だって趣味とか合いそうだし。



でも、俺はすでに厨二は卒業してるしなぁ・・・・。



「・・・・・・さっきから、何ブツブツ言ってるの?」



「うおっっ!?起きたんなら言えよ!びっくりしたじゃねぇか!!」



まさか、今の聞かれてないよな?



俺としたことが、相手が寝ているのをいいことに、色々と呟いてしまったぜ。



「ふーん。やっぱ、私の仲間だったんだね、金色の天使ガブリエル」



ガブリエル、だと?・・・・・・まさか俺のことなんて言わないよな?



「真矢以外に誰がいるの?」



「俺はもう厨二病じゃねぇぇぇーー!!」



俺の叫びがチャペルにこだました。



はぁはぁ・・・・こんなに声を出したのはいつぶりだろうか。



「よく、この場所がわかったね」



彼女、沖知観菜佳は嬉しそうにはにかんだ。



「まぁ、俺もこの孤児院出身だからな。名前繋がりで、なんとなくこの場所に来たらお前に会えそうな気がしたんだよ」



それに、昨日公園で説教じみた事言ったのは俺だし。


そんなことをした次の日に学校を休まれたら、なんか気持ち悪いしな。



「・・・・そう。真矢って、ココの出身だったんだ」


「あぁ。もしかしたら俺たち、小さいころに会ったことあるかもな」



俺がそう言うと、彼女は俺の顔をジィーッと見てきた。



「・・・・・・ねぇ、好きな生き物って何?」



なんだ唐突に・・・・。



まぁ、隠すほどでもないか。



「決まってるだろ?男が好きな生き物って言ったら竜〈ドラゴン〉以外何がいるっていうんだよ」



そんな生物存在しないって思ったやつ、足の小指をどっかにぶつけやがれ。



自慢じゃないが、俺は中学を卒業するまでリアルに竜〈ドラゴン〉を信じてたんだぞ?



高校生の今も、いたらいいなぁなんてしょっちゅう思うし。



てか、地球は広いんだし、“もしかしたら”ってことあるかもだろ?



居ないなんて、誰が決めつけたんだよ。



・・・・・・話が逸れた。


「・・・・・クスッ・・・・うん。やっぱりね」



笑われただと!?厨二で、自称天使のコイツに笑われる俺って・・・・。



「そうだ。今日から、真矢には私の本当の名を呼ぶことを許可しようかな」



「・・・・・・あ?」



彼女はそう言うと、チャペルのメインステージ。



新郎と新婦が誓いをたてるその場所へかけて行った。


そしてその場所で、右足を軸に身体を反転させて俺の方を振り向く。



窓から入ってくる光が、彼女の黒く綺麗な髪を照らす。



その姿を言葉で表現するなら、まさに“天使”という言葉がピッタリであった。



「私の名前は沖知観菜佳。真矢、私と友達になってくれますか?」



「・・・・・・よろこんで」



不意にときめいてしまったのは内緒である。



こうして俺は、高校に入学した翌日にちょと変な女の子、沖知観菜佳と友達になったのであった。






☆☆☆☆






「よし、仲間を探しに行こう」


高校生初めての中間試験が迫る5月の終り頃。



沖知観菜佳こと、我らがルシファー様はそう宣言しやがった。



なぜかあの日以来、コイツは俺につきまとうようになった。



本人曰く、友達だから当たり前、らしいが・・・・・・・違うよな、普通。



まぁ、この観菜佳に普通を求めるのは酷だよな、うん。



てか、前より厨二が酷くなりつつあるのは何故だ?



まったく意味がわからん。


「ブツブツ言ってないで、どうなんだガブリエル」



ちっ。



どこぞのS○S団、団長みたいなこと言いやがって。



「おいおいガブリエル君。ルシファー様の意に背くのか?」



「麻樹は死ね。今すぐ死ね」



そして、一番の問題は、なぜか麻樹の野郎が観菜佳の側についていることである。



理由?俺をいじるのが楽しいらしい。それに、観菜佳とあわよくば恋仲になろうと考えているんだとか。



確かに観菜佳は可愛いが、見てて性格の悪さに気づかないのかね。



特に最近の我が儘っぷりは、本当に涼宮ハ○ヒを彷彿とさせやがる。



リアルにツンデレはいらねぇんだよ。



「ルシファー様ぁ〜。ガブリエルが虐めるぅ〜」



「ナメクジ。放課後、ガブリエルを連れて校門前に集合だからね」



そう言い残して観菜佳は自分の席へ戻っていった。



そろそろ朝のHR始まるしな。



てか麻樹よ。ナメクジなんて呼ばれてよく平気だな。


「あ?いや、俺あだ名なんかつけられたの初めてだからな。少し嬉しいかなって」



「何言ってんだ。お前には現実と幻想の境がわからないKY男、略して、きも男ってあだ名があるじゃねぇか」



「いやいや!それ言ってるの真矢だけだろ!!ってか、略してる意味ねぇよな、ソレ!」



細かい男はモテないんだぞ?



「お前から言われたくねぇよ!彼女がいるなんて嘘つきやがって!」



いや、まぁそりゃそうかもだが。



つか、彼女いるなんて言った覚えなんてないけどな。


リア充になったって嘘はついたけど。



「ほらほら。静かにしろ〜。・・・・・よし、今日も全員出席だな」



小杉は満足気に頷くと、HRを開始する号令をかけた。

どうでしたか?面白くなかったですね、すいません。


不定期更新〜。なるべく早めに投稿するよていですがごりょうしょーくだせぇ

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