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BREAK TIME~画面外の、物語られることなき想い
この詩は、たこす様主催『第三回 この作品の作者はだーれだ企画』にエントリーした作品です。
作中では名前しか出てこない、九条円の元カノさんの心情を描きました。
彼らが今後、関わり合うことはないでしょうが、青春時代の大切な二年を共に過ごしたのです。
物語では円サイドの心情しか描写できませんが、どちらも傷付いた筈……ということで、この詩を綴りました。
「ごめんね」
傷付けて、ごめん
嘘ついて、ごめん
でもね、私も苦しかった
嫌いになった訳じゃない
もちろん冷めたのでもない
でもね、もうあなたと一緒にはいられない
傷付けて、ごめん
噓ついて、ごめん
どちらが悪いのかといえば、
それは多分、私
子供の時に読んだ、とある童話のエピソード
『育つ木と歩く木は、同じ植木鉢で生きられない』
長い間、意味がわからなかった
でもね、今はわかる
哀しいくらいに
あなたの真っ直ぐさが
あなたの、自覚のない冷たさが
苦しかった
背中を向けるあなたの
遠ざかる白いシャツ
あなただけに隠し続けた
涙があふれ、ぼやける
「ごめんね」




