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【番外編完結】他力本願英雄  作者: 寒天
上級騎士のお仕事
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第99話 遺跡探索

「……クカカ……。マタ哀レナ獲物ガ来タカ」


 深い深い闇の底。我が城に無謀にも踏み込む何者か。

 全く、人間とは哀れなものよの。ちょっとこちらの存在を教えてやるだけでノコノコと死にに来るのだからな。


「我ガ英知ノ前ニヒレ伏セ……」


 我が城には人知を超越せし我が英知によって創造されし無数の死が待ち受けている。

 人など我が直接相手にするまでもなく滅び、そして我が兵となる運命なのだ。


「生者ニ、我ガ死ノ祝福ヲ」


 我が望みはより多くの死。さあ、何者かは知らんが……我が生贄となり、そして我が下僕となるがよい。


 我こそが、死の世界の王なり……。



(最後に目撃された時間から逆算して、一番早くて俺より三時間くらい前に出発したくらいのはず……。全速力で飛ばせば余裕で追いつける。元々又聞きでしか遺跡の場所をカーラちゃんは知らないんだし、迷う時間も考えれば追いつくどころか追い抜けるくらいだ)


 俺は遊び半分……じゃなくて遊び全部で魔物の巣になっている遺跡へ向かったカーラちゃんを追い、通常状態で出せる全速力で走っていた。

 まあ確かに最近忙しくて構っていなかったけど、まさか一人で街の外に遊びにいってしまうとは……。しかも、実戦訓練の施設として使えそうって軽く話題に上げた魔物の巣にいくとか豪気すぎるだろ。まあ吸血鬼の力を持つあの子なら並の魔物なら基礎能力だけで圧倒できるだろうけど……心配なのに変わりはない。

 だって……


「あの遺跡に魔物が巣くっているのは間違いないんだけど、まだ正確な内情はわかってないんだよなぁ……。本当なら冒険者達にお試し依頼出す予定だったし」


 魔物相手の敵情視察は冒険者の専売特許みたいなものだ。危険な場所に立ち入って成果を得るのがお仕事だからな。

 しかし今は周囲の被害状況から存在を把握しただけの段階。もし吸血鬼以上の怪物が巣くっていれば危険極まりない……やっぱ急ぐ以外ないよな。


「休みなしでの労働。ま、これは日ごろの運動がものを言うことだな!」


 体力なら誰にも負けない。そう豪語できるくらいには修行しているつもりだ。

 新人達の訓練を見て冒険者最強チームと戦った後全力ダッシュで魔物の巣に向かうくらい、余裕でこなせなくて魔王に立ち向かえるかって話だな!



……………………

…………………

………………

……………

…………



(……着いたか)


 走り続けること二時間。無事に俺は目的の遺跡に到着した。

 ここは森の中にぽつんと立っている石造りの平屋で、内部にはかなり広大な地下室があるって推測されている。

 周辺の村が最近急に魔物被害にあったことからその存在が露見した、所謂ダンジョンって奴だな。この手の建造物はこの世界のあちこちにあって、大体強力な魔物が根城にしているってパターンだ。

 元々あって何らかの理由で破棄された建物に住み着いたパターンと、高い知性を持った魔物が――魔族が自分で作ったパターンがあるけど、このダンジョンは風化具合から考えて元々あったものを利用している可能性が高い……だったか。


(“影”の皆さんが調べた情報はそのくらい。後は調査待ちだったんだけど、どうするかな……)


 既にカーラちゃんがここにたどり着いてしまっているのなら迷わず入るしかない。しかし追い抜いてしまっているのならここで待っているのが最適解なんだが……うん。


「ま、入るしかないか」


 俺に周囲の足跡だの何だのを見つけて情報を得る技術なんてない。だったら最悪の場合を想定して入るしかないだろう。

 この場合は俺が入った後にカーラちゃんが来てしまったりするのが一番困るけど……まあそうだな。その前に中の魔物を殲滅すればいい。考えてもどうしようもないなら力技でいく以外道なんてないのだ。


(できれば探索専門のスキル持ちに先導して欲しいところだけど……まあ仕方がないか)


 この手のダンジョン探索は罠や隠し通路の発見、敵感知の能力を持った探索の専門家と共に行うのがセオリーだ。

 どんな達人英雄も不意を突かれれば脆い。どんなに鍛え上げた筋肉も力を入れていなければ意味はないし、どんな速さも反応できなければ意味はない。

 だからこそ、この手の奇襲をかけやすい上に罠仕掛け放題のダンジョンは俺みたいなのにとっては鬼門だ。わからないように仕掛けられた罠なんて俺に分かるわけも無いし、もう体力でかかってから対処するほかないんだから。


「よし、行くか!」


 まあ結局何ができるわけでもないと言うことで、俺は遺跡に足を踏み入れた。

 構造から考えて、どこかに地下へ降りる階段があるはずだ。まずはそれを見つけるとしよう。









 ――ん?


(……宝箱?)


 入ってしばらくしたら大部屋に出た。その部屋の中心に自己主張の強い金色の装飾が施された大きな赤い箱が一つ。所謂宝箱ってものだろう。

 しかし、しかしだ。それこそゲームじゃないんだからわざわざこんなとこに、広間のど真ん中に置く必要があるだろうか?

 宝が入っているならもっと安全な場所に保管するべきだし、外見が派手なだけで実はただの道具入れだったとしても部屋の中央に置く理由はない。ぶっちゃけ邪魔だ。

 となると……


「罠、だよなどう見ても……。本職じゃなくてもわかるというか、むしろ分からないやつがいるのかってくらいあからさまな……」


 古来より宝箱に罠を仕掛けるのはお約束のようなものだ。所謂防犯システムとして本来の意味での宝箱にもそれなりの罠は仕掛けるものだし、目の前にあるように罠を仕掛けるための宝箱すら存在しているくらいだ。

 でも、いくらなんでもこれは……。


(何なんだ? この押すなと書かれたスイッチでも見ているかのような気分は? 流石にこれに引っかかるとこのダンジョンの主が本気で思っているとは思えないけど……うーん)


 何故か、こう言うのを見ると無性に開けたくなるのは人の心理だ。まあ流石にその好奇心に負けることはないけど、でもなぁ……。


「カーラちゃん、引っかかりそうなんだよなぁ」


 あの子の性格上、罠とかそんなこと考える前に特攻しそうだ。

 そして罠に引っかかって捕まっているとか……ありそうで怖い。これがどんな罠でどうなるのかを知ると言う意味では……無視するのは不味いのか?


「古典的なところだと宝箱から矢が出てきたり毒ガスが出てきたりか……? でもそれならカーラちゃんがここに倒れてないとおかしいし、その手のじゃないのかな?」


 あくまでも既にカーラちゃんがここにたどりついているって前提での話だけど、ここに血痕その他の痕跡が残っていない以上引っかかったマヌケはいないと判断していいんだろうか?

 まあこのダンジョンの主がマメな奴で既に掃除し終えているって可能性もあるわけなんだけど……ウムム。


「……考えるだけ無駄か。何か起きたら食らう前によけりゃいいんだし」


 結論、俺の考え休むに似たり。とりあえず開けてみることにしよう。

 120%罠だとはわかっていてもやらねばならぬときはあるものだ。まあ想定内の罠なら当たる前に避けるくらいはできるだろうし。


「さて、何がどうなるのか……」


 即死トラップの類だと非常に心配だ。まだここにたどり着いていないことを祈るしかなるなるが……さてどうなるか。


「上から檻が落ちてきて捕まるくらいならいろいろ安心なんだけどな……っと」


 緊張しながらも、俺はゆっくりと宝箱に手をかけ、そして一気に開いた。

 すると――


「……そうか、こう言うパターンか」


 足元が豪快に抜け、俺の体は宝箱もろとも重力に従って落ちていった。箱を開けると部屋の床が丸ごと抜ける仕掛けとは……金かかってるなぁ。


(でもまあ、これでまだここにカーラちゃんが来ていない――最低でもこのトラップは回避したと証明されたな。流石にここまでの大掛かりな仕掛けを短時間で仕掛けなおすなんて不可能だろうし)


 俺はまだ通常状態では自力で飛行することはできない。

 必要な時はジャンプするしかないわけなのだが、いくら構えていても力を入れるべき地面がなくなってはどうしようもないわけで……もう底に槍でも敷き詰められていないか心配しながら重力任せに俺は落ちるのだった。







「っと、底か。【風術・風弾】」


 しばらく落ちた後、俺は弱めの風魔法を足元に打つことでクッションをつくり着地した。

 さて、盛大なわりにどこかマヌケな落とし穴だったが……ここはどこなんだろうな?


(そこそこの広さがある大広間。そのまま罠箱のあった上の広間と同じ広さかな?)


 どうやら吹き抜けになっていたらしく、落ちた先も中々に広大だった。明かりがないから落ちた先に出口があるのかはわからないけどな。

 暗視系のスキルは生憎持っていないが、まあ大丈夫だろう。流石にあるとすれば部屋の端に位置するはずの扉は見えないけど、剣の間合いくらいは天井からの僅かな光しかない現状でも見えるように訓練しているし。


 さて、ここから魔道書(スクロール)でも使って空を飛んで脱出しても、吸血鬼モード2を発動して飛行能力を使ってもいいわけだが……あの罠の仕掛け人は何をたくらんでいるのかな?


(罠にかかったのが空飛べない奴って前提の仕掛け? いや、それでも単純に高いだけの壁を登る方法なんていくらでもある。大部屋の床――ここから見ると天井がどう戻るのかにもよるけど、どうなろうが簡単にぶち抜けるし……これだけなら大掛かりなわりに大したことないトラップだな)


 極論、転移魔法でも使われればドッキリ以上の効果はない。

 その手の特殊能力に無縁の戦士であっても壁をよじ登るくらいできるし、それ以前にダンジョン探索に来ているのならそれ相応の準備をしているだろうからなおさらだ。……俺は着の身着のままで来たけど。


「……ん?」


 とりあえず落ちた事には大した問題はないかと判断したとき、明かりに乏しい部屋の奥から何か気配を感じた。

 しかし、生物であるのなら当然感じるはずの息づかいや体温の類は感じない。何か固いものが擦れるような音と異常なほどに軽い足音が僅かに感じられるのだ。

 この感じは魔法人形(ゴーレム)系、あるいは……


死者(アンデッド)、か)


 暗闇の中から現れたのは三体の怪物。左から骸骨(スケルトン)、右から動死体(ゾンビ)、そして中央から亡霊(ゴースト)だ。

 どれもその系統の中では最弱のアンデッドモンスターだが……なんのつもりだ?


『カカレ、我ガ兵達ヨ』

「オオオォオォォォオォ!」

「ッ!? 誰だ?」


 どこからともなく、無機質で感情を全く感じさせない抑揚のない謎の声が聞こえてきた。

 それに合わせて奇声を上げながら向かってくる三体の下級アンデッド。今のがここの親玉ってことか?


「ま、いずれにしても……」

「オオォオォォォ!」

「流石にこんなの相手にもならないよ……【光術・三連光の矢(ライトアロー)】!」


 俺は左手を前に出し、腕輪の魔力を開放する。初歩の初歩、魔法の矢だ。

 作り出したのは三発分。それをそれぞれのアンデッドに叩き込み、一撃で消滅させる。俺の魔法がしょぼくとも、こいつらはそれ以上に弱い。それが大弱点である光で撃たれたのだ、消滅して当然だろう。


『ホオ、人間ニシテハヤルナ』

「いや、それほどでも……」


 俺じゃなくても今のに苦戦する奴は早々いないだろう。褒められても何か馬鹿にされているような気分で俺は頬を掻いた。

 強いて言えば物理攻撃は通用しない幽霊系はちと厄介だが、普通に魔力コントロールの技術があればどうにでもできる相手だ。幽霊といっても要するに魔力の塊みたいなもん――精霊と同種の存在だから、魔力攻撃で倒せるからな。……案外初心者への練習台には丁度いいかもしれない。


『ダガ、瘦セ我慢モコレマデダ』

「ん?」

『サア、我ガ無限ノ軍勢ヲ見ヨッ!』


 何一つ我慢することがないのに瘦せ我慢と言われても……と思ったら、また奥からアンデッドが出てきた。

 今度は骸骨系ゾンビ系幽霊系がそれぞれ10体、計30体だ。ぞろぞろとまあ、どこに隠していたんだ?


(しかし、これは……)

『サア、絶望ヲ見セテ――』

「大して変わらんぞ」

『ナッ!?』


 俺はさっきと同じく腕輪から魔力を取り出す。今度は魔法の矢ではなく、より広範囲を焼けるように魔力を形作ればいいだけのことだ――


「【光術・光の波動(ライトバースト)】」


 固めることなく、ただ真っ直ぐに放射する。ほとんど破壊力が得られない撃ち方だが、その分広範囲に広がる。

 こんな下級アンデッド相手ならそれで十分。光属性や神聖属性には触れるだけで崩れ落ちるレベルだからな……。


『ヌウ……!』

「とは言え、あまり無駄撃ちしてもいられないんだけどさっ!」


 俺はアンデッド軍団が消滅してすぐに飛び出した。目的地は出口となる天井――ではなく、アンデッドが沸いてきた部屋の奥だ。


(俺の感覚が正しければ、この部屋にあんな大量のアンデッドが隠れていられるスペースはない。となると何か仕掛けがあるはず……!)


 雑魚を多数投入してこっちの消耗を待つ作戦だとすれば、真正面から付き合っていては相手の思う壺だ。

 そう判断した俺は、まずこのアンデッドモンスターの発生源を抑えることにした。転移魔法か何かでここに送り込んでいるのならそのための転移魔法陣でもあるはずだし、それ以外の方法だとしても何か痕跡があるだろうからな。


『ヨ、ヨセ! ソッチニハ行クナ!』

「そう言われて止まる侵入者がいれば是非見てみたいね。――【モード・吸血鬼(ヴァンパイア)】!」


 部屋の暗さで仕掛けを隠していることを想定し、吸血鬼モードを発動させる。月明かりすらない闇の中でも活動できる吸血鬼の目なら暗闇でも昼間と変わらない。

 そのままついでに上昇した身体能力で罠があっても食い破るつもりで進んで見ると、三つの光が見えてきたのだった。


(明かり……? いや、これは魔力だ。吸血鬼化したから見える魔力が三つ……マジックアイテムか?)


 完全に偶然だが、吸血鬼化の影響で隠されている三つのマジックアイテムらしきものを発見した。

 それぞれが壁の中に埋め込まれており、普通に見ても気が付かないように隠されている。しかし魔力そのものを見るこの眼があればその存在を隠し通すのは不可能ってもんだ。


「さて、これは一体何なんだ――」

『グッ! 我ガ兵ヨ! 秘宝ニ触レサセルナ!』

「ん? 光が強まった?」


 何かアイテムの力が発動しようとしているのか、魔力光が強まった。しかも三つ同時だ。

 明らかにこのアイテム――秘宝とやらに近づかれて焦った主の仕業だろうが、さて……何が起きるのかな?


「……なるほど、アンデッドを召喚するマジックアイテムってわけか」


 壁の中の光が一箇所に集まり、それぞれスケルトン、ゾンビ、ゴーストを作り出した。どうやら魔力からアンデッドモンスターを作り出す力を持ったマジックアイテムだったらしい。

 珍しい物だが……まあ理論上はありえるか。吸血鬼だって自分の魔力からアンデッドモンスター作り出すし、この手のモンスター創造が行えるマジックアイテムがあってもおかしくはない。


 でも、なぁ?


「流石に発生直後の最下級アンデッドでは止まらんぞ?」

「ヌ、ウゥ……!」


 スケルトンを殴って破壊する。ゾンビには触れたくないので拳圧で吹き飛ばす。ゴーストは普通に魔力でかき消す。

 これであっさり終わりだ。自前の魔力の1%も必要ない流れ作業だな。正直アレス君でも余裕だったろう。


『……仕方ガナイカ』

(にしても、この声の主はどこにいるんだ? こっちが見えているようだから何らかの監視魔法でも使っているとは思うんだけど……)

『イデヨ、我ガ精鋭達ヨ!』

「ん?」


 とりあえず壁の中の何かを取り出そうと手を伸ばしたとき、壁の一部が突然消えた。いや、開いたのだ。

 どうやら壁に偽装した扉があったらしい。壁の中に埋まっているのではなく、隠し部屋の中にあったってことか……。


『コレヲ人間風情ニ使ウコトニナルトハナ……!』

「……骸骨騎士(スケルトン・ナイト)動死体の狂戦士(バーサクゾンビ)、それと死霊の魔術師(レイスマジシャン)か。どれも上位種だな」

『長年カケテ作リ出シタ最強ノ軍勢……! 圧倒的ナ力ヲ知レ!』


 ……見たところ、最初に出てきた雑魚が進化したモンスターが隠し部屋の中に沢山いた。

 三種それぞれ30体くらい、計100体くらいか? そんで、奥のほうに見える赤黒い光を放っている三つの玉がこいつらを召喚しているマジックアイテムだってことか。


(最下級アンデッドを召喚するだけかと思ってたけど……上位種まで召喚するのか? だとするとかなりヤバイな)


 流石にこのクラスのアンデッドが大量発生となると危険すぎる。もし集団になって町でも襲われれば洒落にならない被害が出るだろう。しかもそれがマジックアイテムで無限召喚される雑兵だって言われたら戦う前に心が折れかねない話だしな。


「でも、何か気になるんだよな……」


 俺は嵐龍を抜き、正眼に構える。流石に武器なしで余裕の構えってわけには行かなさそうだしな。

 しかし、そんな緊張感を持つべきこの場面でも俺は違和感が抜けなかった。俺の目で見る限り、あの三つの赤黒い玉っころにそこまでの力があるとは思えないんだよな……。


(そういや、さっき長年かけて作ったとか言ってたな。となると、もしかして蠱毒(こどく)って奴か?)


 確か毒虫とかを一箇所に閉じ込め、お互いを殺し合わせることで残るもっとも強い一匹を使うとかそんな感じのニュアンスの呪術だった気がする。

 この隠し部屋がそのまま蠱毒の空間だとすればどうだろうか? マジックアイテムの力でいくらでも召喚できる下級アンデッド同士を殺し合わせることで力を高めさせ、無理やり進化させているとすれば辻褄が合うんじゃないか?


「……いいな、それ。実に実戦的な修行法だ」


 そんな部屋に一週間くらい閉じ込められれば嫌でも実戦に強くなれそうだ。

 やはり戦闘技術を鍛えるのにもっとも適しているのは戦場だからな。手にかけた敵の数と実力がイコールで結ばれていることは多々あるものだ。

 戦えるのがアンデッドだけってのがイマイチ偏りを産みそうだけど、素人の訓練としては最上なんじゃないだろうか?


「よし、あの玉は貰おう。そんでこいつらはとりあえず――殲滅するとしよう」


 俺は思わぬ戦利品が手に入りそうだと喜びながら剣を振るう。流石にこんな密閉空間で大規模破壊系の技は使えないけど、それでも――


『バ、馬鹿ナ……!』

「ちょっと進化したくらいじゃ、吸血鬼の手下と同レベルだな」


 この程度のアンデッドの相手はなれているんだよねー……。



 一方そのころ。


「ギ……ギギッ! 部族最強のオレが、歯が立たないだと!」

「ふふん。最近とっても調子のいいカーラ様を舐めないでよね!」


 よわっちい緑色のモンスター……ゴブリンだっけ? なんかそれっぽい奴が剣を振っているけど、最近力が溢れてきているアタシの敵じゃないわね。

 何故か後ろにもこれまた粗末な武器を持った緑色がいっぱいいるけど、全員このカーラ様にひれ伏すがいいわ! 緑色が何匹いようと敵じゃないんだから!


「バ、バケモノ!」

「怯むな! 部族の誇りに賭けて背を見せるのは許さない!」


 ごちゃごちゃわめいてるけど、容赦なんてしないわよ! あのレオンのおとー様にも負けないようにアタシは強くならなきゃいけないんだから!

 アタシは密かに誓った思いを爪に宿しつつ、緑色の肩を抉る。でも死なないように注意してね。一番強い奴は全部殺す奴じゃなくて勝利してなお手加減までする余裕がある奴だってレオン言ってたし、当然サイキョーのアタシにもそれができて当然よね!


 ……ところで、何でアタシここにいるんだっけ? 確かどっかを目指していたような気がするんだけど……まあいいわよね。

 今大切なのは、この緑色共にアタシの偉大さを理解させることなんだから! この森がどこで、いったい何しに外に出たのかなんて些細なことよ!








 カーラは盛大に道に迷った挙句、当初の目的を完全に忘れて暴れていたのだった。

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