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1話 また別の世界かよ!

今回から、新しい世界の冒険が始まります!


獣人世界では、どんな伝説の英雄になるのでしょうか?



お楽しみください(*^3^)/~☆


 第二章 獣人世界編



 1話 また別の異世界かよ!




「お願い······助けて···ケント······」


 異国の服に身を包んだ女性の吸い込まれそうな紫色の美しい瞳が涙で濡れている。


『俺は何をすればいい?』


 そこで目が覚めた。




 目を開けると深い森の中の下草の上に横たわっていた。 遥か上空で幾重にも張り巡らされている枝に茂る葉に太陽の光が遮られてかなり薄暗い。


 明らかに昆虫世界の森とは違い、光を放つ木や草はない。 そして俺の世界でもなさそうだ。

 木々は考えられないほど巨大で、どの木も直径が10mは軽く超えるだろう。 しかしどちらかといえば大きいだけの普通の木だ。 



 起き上がり、自分を確認する。


 先程までの胸の死ぬほどの痛みはなく、体中にあった傷跡もなくなっている。 いや、よく見ると僅かに跡が残っているのだが、何ヶ月も昔の傷のようだ。


 しかし驚いたのは、服が新品になっている事だ。 確かに何か所も咬まれて破かれていたのだが、その痕もないし、血の跡もない。




······どうなっているのだろう?······夢?······




 持ち物をチェックする。 剣もナイフもある。 そしてポケットにはビルビからもらった傷薬が入っていた。


「アン!! ネッド! ガルヤ! キムル! ツーラァ~~!!」


 無駄だと分かっているが一応呼んでみた。 もちろん返事などはない。




······せっかく慣れてきたのに······家族が出来たのに······


······アンは俺を探しているだろうな······キムルの言う事をちゃんと聴いてくれるかな······


······みんな······心配しているだろうな······




 俺はパンパンと顔を叩いた。



 昆虫世界に移転した時は、何が何だか分からず、次から次に色々な事が起こるので、元の世界を懐かしむ暇も、悲しむ暇もなく日々を過ごしていた。


 今は心に余裕があるがゆえに、心が弱くなっている。 しかし、ここが地球ではないのであれば、どんな敵が潜んでいるかもわからない。

 

 先ずは自分の置かれている状況を知る事が先決だ。



······(ほう)けている暇はないぞ!······




 この世界の情報収集をする必要がある。

 しかし周りには何もないので、とりあえず30mほど上の枝に飛び乗った。



「よかった、スーパー〇ンの力は健在だ」



 高い所に登ったが、大きな木が見えるだけで何も見えない···のだが······


「ん?······あっちの方が少し明るいぞ」



 明るい方に行こうと思ったとき、後ろに気配を感じた。

 慌てて振り返ると、二つの金色に光る眼が俺を(にら)んでいる。


「ガルルルル···ガルル······」


 猛獣の唸り声だ。



 少し先の木の枝にいるのだが暗くて見えにくい。 目を凝らしてみると金色の瞳の正体は黒豹だった。


「キエンがなぜ我らの縄張りにいる!!」

「えっ? 黒豹が喋った?」

「出ていけ!!」

「いや俺は、わっ!」


 木と木の間隔はかなり広いから大丈夫だと思っていたら、他の枝をクッションにして俺がいる木に近づき、鋭い爪を全開にして飛びかかってきた。 動物園とかで見る豹に比べると、数段デカイ。 トラやライオンクラスだ。

 


「落ち着けよ! 俺はキエンとか、ヤベ!」


 豹の爪が俺の肩をかすめた。 このままでは()られる。


 本気で対抗すれば勝てるだろうが、誤解があるようだし、この場所に居続ける必要もないから逃げる事にした。


「逃げるが勝ちだ!」



 大きな木の枝をピョンピョン飛んで逃げる。 しかし流石に木の上の住人。 枝に飛び移り、木の幹に足をついて隣の枝に飛び移って追ってくる。


 しかし俺にはチートな力が備わっている。 それも前の世界にいた時より力が増している気がする。次第に黒豹を引き離していった。




 追ってくる気配がなくなったので振り返ってみると、黒豹は諦めたのか、大きな枝の上でこちらを睨みつけていた。



······あれ?···立っている?······まさかな······



 二本足で立ち上がっているように見えたのだが、暗くてよく見えていないので気のせいだと思った。

 とにかく俺は金色に光る眼を尻目に、明るく見える方に向かってジャンプを繰り返した。



 ◇◇◇◇



 暫く行くと、再びガルル!と猛獣の声がした。 今度は下の方だ。


「虎?! デカ!!······あれ?」


 3m以上ありそうな巨大な虎は獲物を追っているのだが、どうやら逃げているのは白い犬?······いや、白い狼の子供だ。 青い服を着ていて、誰かに飼われているようだ。



 ()好きな俺としてはちょっと捨て置けない。




 俺は近づいて虎の近くに降りて並走する。


「おい! 狼の子供を襲うのはやめ···わっ!!」


 当然と言えば当然だが、狼の子供を追っていた虎は横に来た俺を見て標的を変更し、突然俺に襲い掛かって来た。


 俺は飛び上がって(かわ)し、木の幹をクッションにして上の枝に飛び乗った。 しかしデカイ図体の割に機敏で、俺を追って登ってくる。


「ここの奴らは話しを聞かないのかよ!! だから待てよ!!」

「ガルッ!!」

「興奮して話せないのか?! クソッ!」


 俺の顔よりデカイ足とサバイバルナイフかと思うほどの鋭く長い爪で軽々と木を登ってくる。

 俺がいた枝まで登ってくると同時に振り上げる太い前足をジャンプで(かわ)して虎の後ろまで飛んだ。 そして思いっきりケツを蹴り上げると足を踏み外して枝から落ちていった。


 しかし頭を一振りすると再び木を登ってこようとする。



 なるべく殺したくはない。



 俺は木から飛び降りて虎の後ろに降り立つ。 虎も振り返り大きな牙を()きながら体制を低くして構えた。


 虎はゆっくりと間合いを詰めて俺に近づき、口を大きく開けて襲ってきた。 俺は横に飛んで太い木の幹を蹴って向きを変え、虎の頭に思いっきり蹴りを食らわせた。


 数百キロはありそうな虎が吹き飛ばされて転がっていく。 そして動かなくなった。


「この程度じゃ死なないよな······」


 ちょっとだけ近づいてみると、呼吸はしているようで胸が動いている。

 起き上がってくる前に、急いで退散だ。




「子狼はこっちの方に走って行ったよな······もう遠くまで逃げ切ったか···わっ! 危ね」


 草が茂っていて気付かなかったが、落とし穴のように大きく(くぼ)んでいる場所があった。


 穴の中を(のぞ)いてみた。 するとさっきの狼が着ていた青い服が見えた気がした。         

 場所を変えて(のぞ)き込むと、あの子供が倒れてるのが見えた。 


「あれってさっきの子狼だよな······逃げていて穴に気づかなかったのか···よっ!」


 穴の下に飛び降りてみると、子狼は気を失っている。 抱き上げると前足から血を流していた。


 このままにしていると血の臭いを嗅ぎつけて肉食獣が集まってくる。

 とりあえずサッシュベルトを少し切って止血をしてからそっと抱き上げた。 そして穴から出て走り出した。




 ◇◇◇◇




 俺が走って通り過ぎるのに驚いて、物陰に隠れていた動物たちが逃げる。 鳥にウサギにリス、シカのようなのもいた。 どれも少し大きい気がするが、見たことがある動物ばかりで安心した。



 もちろん足は4本だ。



 しかし黒豹は確かに喋った。 ここの動物たちはみんな話ができるのだろうか?



 ちょっと話しかけてみたいと思ったが、森を出て子狼の治療をする事が先決だった。









黒豹が喋った?!


服を着た狼の子供は?!


新しい世界を楽しんでいただければ幸いです。

( v^-゜)♪

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