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【092話】圧倒的な優勝候補を目の当たりにして





「これより、2回戦を開始いたします!」


 アウグスト、レジーナペアが行う試合の審判が客席にも聞こえるくらいの大きな声で宣言する。

 周囲は、大きな歓声と盛り上がる様子が目立っていた。


 ──あれが、今大会の最有力候補。


 褐色肌の女性と小柄な少年。

 見た目だけでは、そこまで強そうには思えない。しかし、外見ほど参考にならないものはない。

 褐色肌のレジーナは、鋭い鉤爪を両手に装着し、余裕そうな表情を浮かべるアウグストは、真っ黒で不気味な短剣を構えている。


「それでは、両者、準備はよろしいですか? では、試合開始です!」


 審判のその言葉が会場に響く。

 アウグスト、レジーナペアの対戦相手は、大柄な冒険者2人。

 決して弱くはない。

 1回戦を勝ち上がれる実力。

 生半可な攻撃だとびくともしなさそうだ……。


「対よろ〜!」


「おい、呑気に挨拶なんかするな。さっさと行けよ」


「レジーナは、うるさいなぁ……」


 物怖じする気配はない。

 自分たちの勝利は決定的であると言わんばかりに、アウグスト、レジーナペアは、大声でそんな会話をする。

 促され、短剣を構えたアウグストはゆっくりと前に出る。


「じゃあ、まあ……終わらせるかぁ……」


 アウグストがそう呟いた瞬間、彼の雰囲気が一変した。


「空気が変わったわ……」


「ああ、始まるな」


 モナもその変化に気がついたらしい。

 集中しているのがよく分かる。

 動作が洗練されており、無駄がない。


 ──さて、どんな戦いを見せてくれるのか。


 注目の一戦。

 俺とモナは息を呑んだその試合を見守る。

 先に動いたのは、アウグスト、レジーナペアの対戦相手であった。先手必勝とでも考えたのか、自慢の武器を持ち正面に立つアウグストへ突進して行く。

 しかし、その場の空気を掌握しているのは、アウグスト。

 その安易な行動が残念な結末を迎えることが、客席からでも想像できる。


「うらぁぁぁぁっ!」


「くたばれぇ!」


 2人同時にアウグストへ斬りかかるが、攻撃は当たらない。

 まるで、刃先がアウグストを避けているかのように、何度も何度も振るわれた刃は、アウグストに擦りもしない。


「な、なんで当たらないんだ⁉︎」


「え〜、だって遅いんだもん」


「はぁ?」


 ヘラヘラとアウグストは笑う。

 遊んでいるかのような表情。

 格上であることへの絶対的な自信と手加減していることを匂わせるような態度。


 ──レベルが違い過ぎる。


 大半の者たちは何が起こっているのか分からないだろう。けれども、彼は2人の剣筋を予測して、紙一重のタイミングで全てかわしていた。

 避けたとは、思われないスピード。

 まるでその場から動いていないように見えるが、それを視認できない者であれば、アウグストに一撃を入れることなんて不可能なことだろう。


「おい、さっさと終わらせろよ」


「分かってるって、小言が多いな……」


「あ?」


「なんでもないよ〜だ」


 軽口を叩き合うレジーナとアウグスト。

 再度突撃してくる対戦相手に視線すら向けずに、アウグストは攻撃をかわす。そして、物凄い強風と共に相手の2人を吹き飛ばした。


「ぐあっ……」


「なに、が⁉︎」


 魔法ではない。

 純粋に短剣で薙ぎ払っただけのことだ。

 それでも、大柄な男を吹き飛ばすほどの威力。

 強引な戦い方ではあるものの、やはりその強さは本物であった。


「対あり〜」


 アウグストは、ヒラヒラと手を振りそのまま吹き飛ばされた対戦相手に背を向ける。


 ──勝負有りだな。


 2人は観客席の方にまで飛ばされて、場外負け。

 特殊な技などはなかったが、アウグストという少年がどれだけ飛び抜けた実力かどうかはよく分かった。


「勝者、アウグスト、レジーナペア!」


 大きな歓声が上がる。

 2回戦の優勝候補は、試合にて圧倒的な実力を見せつけ、圧勝したのであった。





皆様の応援のお陰で、40000ptを達成致しました!

本当にありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[一言] 展開が遅い気がします。
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