【065話】自由を得るための交渉へ
「じゃあ、行ってくるわ」
別れの挨拶。
しかし、そこに悲しみを含んだ感情はない。
モナは、アレン、ヴィラン、アイリスに向かって手を振る。
「モナちゃん、待ってるね」
「行ってらっしゃい。僕たちはいつでもモナの帰りを待っているよ」
「レオ、モナのこと頼んだぜ!」
3人は、笑顔で俺たちのことを送り出しくれた。
俺とモナは、今からセントール子爵家に赴くところである。
俺はモナの手を握る。
しっかりと、絶対に離さないように……。
「モナ、行くぞ」
大型の魔物を討伐する時くらいに真剣な顔になる。
当たり前だ。
魔物討伐なんかよりも、高難易度。
貴族家を相手にするのだから。
対して、モナの方も弱気な表情は一切ない。
むしろ、臨むところだという活気に満ち溢れている。
「ええ、レオとならどんなところでも大丈夫な気がする」
──そうだ。モナが傷つかないように、俺が気を配ればいい。
不安なことがあるか?
いやない!
近くで守ってやれる。
その立場に俺は今いるのだ。
手の届かないところにモナが行ってしまったわけではない。
それを止めることだってできる。
それに……。
俺は、今回セントール子爵家に赴かない3人の方に視線を向ける。
ヴィラン、アレン、アイリス。
もしもの時は、皆んなが下準備をしてくれている。
──交渉しようとは考えているが、もしも、モナを貴族社会に復帰させようと話を進めてきたら、最終手段を取ればいい。
そのための3人だ。
策は複数用意した。
準備は万全。
──憂いはない!
「モナ、今回赴くのは、あくまでも円満解決をするためだ」
「ええ、分かっているわ」
「ただ、交渉がうまくいかない場合だってあるだろう」
「そうね。でも、その時は、皆んなが救ってくれるんでしょ」
モナの顔にも不安はない。
俺たちを信じてくれているから。
「ああ、最悪の場合、パーティハウスを手放して、隣国に渡ろう!」
冒険者は世界のどこであってもやっていける。
──今回の話し合い。
恐れることはない。
俺たちが絶対に損をしないようにできているのだから……。
30000ptまであと少し……!




