【030話】魔法書探し
「レオ、今日は暇かい?」
「……暇だけど、それがどうした?」
「ああ、ちょっとだけ僕の買い物に付き合って欲しくてね」
パーティハウス内にて、俺はアレンにそんなことを言われた。
にこやかなアレン。
買い物か……。
アレンがこうして戦闘関連以外のことに誘ってくるのは珍しい。
──いや、しかし。こいつと出掛けると、周囲からの注目が本当に凄いからなぁ……。
「女の子に囲まれるのが嫌なのか?」
「流石は僕の相棒。つまり、そういうことだよ」
「アイリスとデートしてる感じを装えば、近付いてくる女性は減るんじゃないか?」
そう提案してみるが、アレンは首を振る。
アレンは女性関係に苦手意識を持っている。
ただ、アイリスやモナは別だ。
仲間であり、3年間共に過ごしてきたからなのか、2人とは自然な形で接することができている。
けれども、返ってきた答えは、ちゃんとした否定。
「ダメなのか?」
「うーん……ダメというか、アイリスに迷惑はかけたくないからかな?」
まあ、嫉妬の視線は各方面から多数刺さるだろうな。
じゃあ、俺がアレンの横を歩いていれば、女性が寄ってこないかと言われれば、多分寄ってくる。
むしろ、ついでにと言わんばかりに言い寄られる。
Sランク冒険者。
加えて、アレンの完璧な容姿。
2つが合わさったら、本当に手がつけられないほどに人が集まる。
……アレンの影響力は、それほどまでに大きいのだ。
「俺だと意味ないぞ。お前含めて、サインとか求められるのがオチだ。というか、俺に抑止力を期待するのは、間違いだぞ」
「レオ、死ぬときは一緒だ!」
「……いや、死地に向かう前みたいに言うなよ。巻き込むの前提だし……」
こいつ……トラウマが過ぎるだろ。
女性関係において、浮いた話のないアレン。
しかし、それは少しだけ意味合いが違う。
浮いた話がないのは、アレン自身が、数々の女性からの誘いを断り続けているからだ。
変な噂が流れるのを恐れて……。
──幼馴染の元パーティメンバーに誤解されてから、だったか?
アレンも昔は想い人がいたらしい。
そして、コイツが想いを幼馴染の冒険者に伝えようとした時期が、アレンの黒い噂が流れていた時期であった。
「たくっ……」
俺は、ゆっくりと立ち上がり、玄関へと向かう。
「おっ、行く気になってくれたかい?」
「ああ、たまには、お前と街中をブラブラするのも悪くないなと思ってな」
ちょうど俺もモナとのことで気持ちが晴れない状態だ。
気分転換だと思って、アレンのお出かけに付き合ってやることにした。
▼▼▼
アレンとの出先。
目的地は、本屋であった。
どうやら、最新の魔法書が欲しいらしい。
しかし、意外だなと感じる。
──アレンは、長剣使い。
何故魔法書なんて、見たくなったんだろうか?
「買うのか?」
本屋の前に立ち、とある魔法書を手にしているアレンにそう尋ねる。
「いや、これだとアイリスと相性が悪い」
「アイリスにプレゼントでもすんのか?」
「まあ、そういうことになるね。邪竜によって起こったスタンピードの時に、アイリスの魔法書が破けてしまってね。しばらくの間はスペアを使うから、平気だと本人は言っていたんだけど……」
「買ってやりたいと」
「ああ」
──なるほど。
魔法にてんで適性のないアレンが、わざわざ魔法書に目を通していたのも納得である。
3年間アイリスと共に戦い続け、アイリスに合う魔法書も理解している。
……加えて、アレンはアイリスにだいぶ助けられた時期があったからな。気にかけるのも、分かる気がする。
「まあ、いいのが見つかるまで待っとくよ」
「ありがとう、レオ」
本屋だし、暇つぶしに俺も何か読んでおくか。
そんなことを考えつつ、俺は近くにあった面白そうな本に手を伸ばすのであった。
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