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【164話】またもう一人




「というわけで、またまた新入りの登場だ!」


 誰一人としてヴィランの発言に驚きはしなかった。

 一ヶ月前にその件はもう行なっている。

 ワイワイと騒いでいた俺たちの所に突如として現れた新規加入者。


 瞳の部分は黒い布に覆われて、頭からすっぽりと真っ黒なローブを着込んでいる。

 見るからに怪しい人物。

 けれども、俺だけは彼女のことを不審者だなんて思いはしない。


 少しだけ見える真っ白い肌。

 彼女の纏う雰囲気はどこか浮世離れした不思議なものであった。


「…………ギフリエ……です」


 旧教会都市で出会ったことのあるギフリエさんだった……。




▼▼▼




 ヴィランが彼女とどうやって知り合ったのか。

 俺以外にギフリエさんと接点のある人はいなかったはすだ。


「レオ、彼女は俺の昔馴染みの人だ。仮加入期間を設けずにいきなり本加入になるが、いいよな?」


 ヴィランは俺にそう問うてくる。

 なんだかちょっとズルい。

 俺が否定しないというのを分かった上で俺の選択を煽ってくるのだから。


 ヴィランはモナ、アレン、アイリス、アウグストにも視線を配り、


「実力は折り紙付きだから、足手纏いにはならねぇよ!」


 そう言ってガハハッと豪快に笑った。

 アウグストは未だ仮加入状態。

 後から来たギフリエさんがそのまま本加入になるのが不服なのではないか。……少しだけそんなことを考えたが、アウグストは特に気にしていない様子である。


「で、レオ。どうだ?」


 ヴィランはそう急かしてくる。

 他の四人に目を向けても、俺に決めろと訴えてくるような視線が返ってくるばかりであった。

 まあ、皆んながいいんなら、俺は構わないけどさ。


「いいんじゃないか……ヴィランがそう言うなら」


「よし、決まりだな!」


 ギフリエさんには旧教会都市でお世話になった。

 恩を仇で返すのも気が引けたため、俺は彼女の加入に反対意見を持つ気力はなかった。

 俺とギフリエさんが出会っていたことをヴィランが知っているのか……それは分からないが、少なくとも、合否を付けさせる人選において、ヴィランは俺を選んだ。

 狙い通りの回答が得られて、さぞご満悦なことだろう。

 はいはい、どうせ俺は甘いやつですよ。


「なに膨れてんだよ」


「別に、膨れてないけど」


 俺自身、お人好しである自覚はない。

 一般的な対応をしただけ、そう……本当に。


 バシバシと俺の背を叩いてくるヴィランは何も気にしていなさそうな笑みを浮かべる。


「レオ、良かったらギフリエに街を案内してやってくれ」


 ……それを俺に頼む?

 そう聞き返す前に、ヴィランは立ち上がり玄関の扉に向かって行ってしまう。


「じゃあ、俺は一飲み行ってくるから! 明日中には帰るから、あとはよろしくな!」


 身勝手な男だ。

 また飲み歩くつもりだろう。

 またアイリスに叱られるというのに、懲りないやつ。


 パーティハウスに残された俺たちはヴィランが去った後にギフリエさんに視線を向ける。

 これは、俺が街を案内する流れ……なんだろうな。


「レオ、頼んだよ」


 アレン……サラッと肩に手を置くな。

 丸投げしてるくせにそのイケメン面。

 なんとも、微妙な気分になったのは言うまでもない。






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