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【109話】勝負の行方




「も〜、やっぱ硬過ぎ!」


 アウグストの素早い攻撃を防ぎながら、俺は盾でアウグストを圧迫するように前へと進む。

 案外戦えている。

 相手の攻撃を通さない大盾。

 あまりこうした攻める機会はないが、短剣というリーチの短い攻撃手段を持つアウグスト相手には戦術としてかなり刺さったものであった。


 ──ただ、最後まで押し切れるかと言われれば、怪しいラインだ。


「オラァッ!」


「ふっ!」


 ガコンッ!!


 意表を突いた箇所への攻撃を防ぎ、アウグストが次に行なってくる動きを予測しながら盾を動かす。

 選択の連続だ。

 アウグストの動きに合わせて、最適解を選び続ける。

 不正解を多く選べば、不利な展開になっていく。間違えている暇はない。


「はぁ、はぁっ! ──っ! ぁ、ぶね〜」


「当たらないか……」


「へっ、その手は食らわないよ〜だ」


 アウグストの盾での物理アタックを回避する。

 攻撃速度などで劣る分、決定打に欠ける。

 アウグストを仕留めるためには、何かしらのきっかけが欲しい。だが、そのきっかけを作ること自体が難しく、アウグストの猛攻に気を抜けない状況下で、下手な動きをすることは、敗北に直結することもある。


 ──どうすればいいんだ。


「厄介な盾っすね。クソうざいわ」


 アウグストは愚痴る。

 俺が決め手に欠けていることを嘆いているのと同じように、盾で攻撃を防がれ続けていることにアウグストも焦りを感じているのだろう。

 このままいけば、時間切れで審判の判定による勝敗決め。

 明確な勝利を掴めないことは避けておきたい。


 ──せめてモナが残っていれば……ん?


「さあ、とっとと決めちゃうよ」


 アウグストと対峙する最中、俺はとあることに気付く。


「おらっ!」


「────!」


 アウグストの突撃を防ぎつつ、もしかしたらと一抹の可能性を思い浮かべる。

 勝てるかもしれない。

 しかし、確実ではない。

 単なる俺の憶測。

 その憶測が勘違いではなく、事実であったとしたら、この勝負は俺たちの勝利。



 ──やれるだけ、やるしかないよな!


 モナの冒険者としての未来は、決して閉ざさせたらなんてしない。

 綱渡りな戦い。

 もしそうだとしても、一握りの望みに賭けるしかない。



【釘付け】



 この試合2度目の発動。

 アウグストの動きが止まる。


「ウザいけど、その手は意味ないって知ってるでしょうに」


「ああ、知ってるよ。嫌というほど理解している」


 アウグストは再度【神速】を発動させる。


「悪足掻きにしては、呆気ないっすね。時間切れ狙う方が効率的だと思うんですけど」


 ──その通り。


 でも、俺はこれだと決めたから。

 信じ続けると、そう心に誓ったんだ。



「終わりっすね」


「────!」


 残酷な色を瞳に宿したアウグストの斬撃が無情にも振り下ろされる。




「……勝負あり!」



 会場に審判の無機質な声が響いた。


45000ptを達成することができました!

皆様、本当にありがとうございます!

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