表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/41

File No.35:ヒロミちゃんイチャイチャ禁止令!?その2

 

 ――絶とうと思ったものを思い出し、一度思い立っちゃうとその負の連鎖は心折れるまであたし達を苦しめていく。何とか気を紛らわさないと……


「――そうだ! こんな時こそジャックスと戦えばいいのよ! アイツらに電話掛けてちょっかい出してこよーっと」

「ヒロミさんいつジャックスの連絡番号聞き出したんですか……」


 半年の休止期間じゃ説明出来ないこともあるの。

 あたしは自家用の電話からジャックスのアジトへ連絡して宣戦布告しようと考えた。


 ――ガチャッ


「あ、もしもし? ベクター大佐? 理由は良いからあたしとルリナちゃんの為にボコボコにされてくれない? ファントムのおじいちゃんは勘弁してやるから」


 と横暴にも話に応じると思ったあたし。しかし帰ってきた応答は、



『只今、ジャックスの長期リフレッシュ休暇の為、電話に出ることが出来ません。ピーッとなりましたら、お名前とご用件をお話ください』


 ―――ピーーーッ



「悪の組織が半年も休暇貰ってんじゃねぇよ、ちった働け!!!!!」



 あたし以上に怠けていたジャックスの組織にブチ切れ留守電を送ったあたしはガチャンと電話を切った。そーいや夏の花火以来だったような。


 ……ポンッ!


「ままー?」


 その声に反応したあたしの娘(仮)のヒロミニちゃんがカプセルから勝手に出て来たようだ。


「どしたのヒロミニちゃん」

「ままずーっとルリナおねーちゃんとむぎゅーしないね。もしかしてきらいになっちゃったの?」


 心配そうに見つめるヒロミニちゃん。更に愛らしい目であたしを見つめるルリナちゃんと眼があったが最後、互いの抑制のリミッターが切れた。


「……いや、その、あたしは……! あたしは……!! ルリナちゃんが……!!!

 嫌いな訳無いじゃーーーーーーん!!!!!」

「私もーーーーーー!!!!」


 あたしの眼は極限に血走り、所謂百合の禁断症状に陥ったあたしに止められるものは無かった。ルリナちゃんの柔らかそうなおっぱいにダイビングしたい、ほっぺすりすりしたい、チュッチュしたい!! そんな時あたしの煩悩を遮る透明な壁が、


 ――――ガンッ!!


「お゛ぅ、痛ァ……」

「ヒロミさん!!」


 痛烈なダメージを顔面に受けたあたし。幾ら『密になるな』って言われてるご時勢にいきなりガラス板で百合の海峡を遮る事無いでしょう!? てか誰だこんな事するのは!?


「……俺だってこんな事をしたくないんだけどさ、ヒロミちゃんが誘惑に負けてたから壁描写したんだけど。そうだろ?」


 また来たよ作者・kazu……確かに誘惑に負けたあたしが悪かったけど、お陰様で鼻血出たよコンチクショー。


 ☆★☆★☆★


 ―――その夜。

 作者によってあと一歩でその行く手を阻まれた事によって更に百合を欲する症状はエスカレートしたあたし。


 ルリナちゃんとは一緒に寝てたダブルベッドもあの禁止令によって別々に別れたせいか、身体中がムニュムニュの温もりを欲しているようで忙しない感じで一睡もできない……


 ―――ルリナちゃん寂しがってるだろうなぁ。同じように眠れないんじゃないかな。彼女もあたしと抱き合って寝てる時とっても気持ちよさそうだったもん。


 ……そんな事思ってたら、またイチャイチャの欲求が強くなってきた。


 ルリナちゃんのサラサラ髪とスベスベの肌にスリついて、その度に彼女が感じているような吐息があたしの耳元に刺激する。ついでにおっぱいも触っちゃって、その度に「キャッ」ってビックリしてる仕草も可愛くて。それでたまらなくなっちゃったあたしはとうとう隙を突いてルリナちゃんのイチゴのような唇を御味見して柔らかでまろやかな感触を味わい……あぁ愛しのルリナちゃんオンリーラブな相棒はあたしのもの誰一人も渡さない触らせない匂いだってあたしのもんだもんクンカクンカスーハスーハー……




「あ゛あ゛ぁぁあ゛!! もう駄目だーーーーーー!!!!!!」



 もうダメ! 我慢の限界!! 密がなんだソーシャルディスタンスがなんだ、ディスタンスは星空で十分ですから!! あたしのルリナちゃんは変なもん感染んないだからあたしが保証するんだからあんなガラス壁ブチ壊し………おぉおおお!!?


 四方八方灰色の鋼鉄鉄板ハウスでルリナちゃんが監禁されてるううう!! あのバカ作者やりやがったな!!!


「ヒロミさーん……助けてぇ〜〜!!」


 ちょっ、ルリナちゃん泣いてるじゃない!! 幾ら何でもやりすぎよkazu!!


 ――はっ! あたしはなんの為に【トクサツール】があるのだ!!

 ルリナちゃんの百合を阻む壁を壊す為にあるんじゃないの!!!


「よーし待ってて! あたしが百合を遮る壁をぶっ飛ばしてやる!! ――クルックル~♪ シャキーン!!」


 さぁさぁおまたせしました。トクサツールベルトを腰に巻いて、トクサツヒロイン変身シーン! それでは皆様ご唱和下さい、我が変身を!!



「――巻~き毛クルクル!


 ――わ~たあめクルクル~♪


 ――クルリと回って……トクサツ変〜身ッッ!!」


 毎度お騒がせしております掛け声が終わったと同時にらベルト中央のシャッターが開き、虹色の結晶『トクサツールコア』が現れた!!


「そ~~れッッ!!!!」


 ――ギュビビビビビビィィィィィン!!!!!


(ナレさん)半年ぶりの変身なので忘れてる方に説明しよう。トクサツ少女・石ケ谷ヒロミは、変身ポーズでベルトの『トクサツールコア』にエネルギーを溜めることによって、【トクサツ戦士・HIROMI】に変身するのだ!! どうだい? 懐かしいだろう?


「百合廃止はんた〜い! トクサツ戦士・HIROMI、参上ッッ!!」


 ――クルンッ♡︎(バイザー越しのウィンク時に出る効果音)


「百合を阻む()()という名の壁め! あたしが取り払ってくれるわ!! クルクル〜〜!!」


 あたしは腕を交互に回してトクサツールのエネルギーをチャージ、からの――!


「HIROMIちゃん・チップソー切断機!」


(ナレさん)『HIROMIちゃん・チップソー切断機』とは、円盤型の刃を回転させる事で鉄をも切断させてしまうDIYや工場的なアレなのだ!


「ルリナちゃん、離れてて!」


 彼女に注意を呼びかけたあたしはチップソーの電源を入れる。回転する刃が鉄の檻に近づいていく……!


 ―――ぎぃぃぃイイイイイ、ガリガリガリ!!!


「だああああああ耳がああああああああ!!!」


 硬い爪で黒板ぎぃぃぃってやるくらい嫌な音が2人の耳にダメージを与える。急いで止めるもあっという間に切断機の刃がボロボロになっていた。


「えぇいこうなったら、クルクル〜〜!! HIROMIちゃん・オメガ粒子砲&5トンTNT爆弾!!!」


(ナレさん)『HIROMIちゃん・オメガ粒子砲&5トンTNT爆弾』とは……もう例えんでもヤバさは分かるでしょう!!


 爆弾を鉄檻にセット、更に畳み掛けで粒子砲もロックオン!!


「粒子砲発射! てぇーーーーッッ!!」


 ――――スペシウム並の粒子(ビィィィーーーー)!!


 そのエネルギーにつられて爆弾も着火する!!



 ――――グ◯ンギ並の火柱爆破(ドォォオオオーーーン)!!!!!



 勢いとはホントに恐ろしいものである。百合を禁止された故の禁断症状で判断が出来なくなっていたあたしは、自分の喫茶店の家を粉々に吹き飛ばしてまでもルリナちゃんの鉄檻を破壊しようとした事が後から恐ろしくなった。


 でも背に()()は代えられない。ルリナちゃんとイチャイチャ出来るなら犠牲も厭わない。これで鉄檻は壊れて…………いない!!!?



「全然ヒビすらも入ってませんよヒロミさん……」


 あたしは愕然とした。何でもありのトクサツパワーを持ってしても、作者の権力には敵わなかったことを。

 腰をガクッと落とし、次第にあたしの眼から大粒の涙がポロポロと零れ落ちる。


「……ぅぐ、ぇぐっ……うえええ〜〜ん!!! もうヤダ我慢できない! ルリナちゃんとイチャイチャしたい〜〜!! もうエタっても打ち切りになっても良いもん!! だってあたし、ホントのホントにルリナちゃんが好きなんだもんうぁぁあああああ〜〜〜!!!!!」


「ヒロミさん……!!」


 転生する前に死んだ時でもあんなに泣かなかったあたしは、この時ばかりは腹の底から泣き叫んだだろう。それにルリナちゃんも貰い泣きするトラジディーな展開。

 だが人の閃きとは、空気読まなげに突然やってくるものだ。


「……あ、そうだ!☆」


「どうしたんですかヒロミさん……?」


「あたし達に地獄を見せた()()()に仕返ししてやらなくちゃ……!!」


 ☆★☆★☆★


 ――作者・kazuの部屋。


「やっぱりトク転、百合を辞めるべきじゃなかったかな……ブツブツ」


 ……いたいた! またアイデア作りに独り言言ってる悪い癖の作者!

 今のうちに作者の机にあたしの特製チョコ、たっぷり召し上がれ――☆


「……あれ? いつの間に机にチョコが。あ、そーいや今日バレンタインデー、義理しか縁の無い俺に御恵みを与えてくれたのかな。食べちゃえ!」


 kazuが口にしたのはあたしの『HIROMIちゃん・()()()()チョコ』! 一口食べると途端に……


「――!!! う、うあ、あああああああああああ!!!!! 一日中ゲームしてぇ彼女欲しーリア友と久々に会いたいTwitterのフォロワーさんと直で会いたいゲーセン行きたい図書館で泊まりたいゲーム・ウォーリアーもっと売れたいいいいいいいい!!!!! …………あっ」


 我に返って思わず口を抑えたkazu、しかしもう遅い。アンタもあたしと同じように欲に抑えられないものをほとんど出してしまったみたい。


「ヒロミちゃん……!」


「これで分かったでしょ? 自分の欲望に素直になれない人は何れ自分を見失って破滅するんだって!」


 ふふん、あたしも溜まった憂さをあのチョコでぜーんぶ出しちゃったもんね!


「……そうだ、ヒロミちゃんの言う通りだ。いくら親とか読者の皆に指摘された所でこの作品は《百合×特撮》の要素で書く事を決めたコメディなのだ。俺の代表作の1つなのだ! ならば尚更ブレちゃ駄目だ、今日から『百合禁止』は撤回だ!!」


「やったーーー!!!」


 ――その後kazuは直ぐにルリナちゃんの鉄檻も消して、これからは百合要素全開で書く事をあたしと同意し、あたし達の間に平穏が戻った。その後2人は滅茶苦茶……おっとこれ以上言ったらノクターン入りするので控えておこう。



 何はともあれ一件落着。今後も『トクサツ転生少女ヒロミ!』は特撮百合コメディ一直線で展開しますので応援宜しくね! クルン☆





 ――おまけ――


「……で、バレンタインでフィーリアからチョコどんくらい貰ったのタケル?」


「――ミルク、ホワイト、ビター、カカオ100%、フルーツ入り、チョコクレープ、チョコフォンデュ、マカロン、マカダミア、アーモンド、チョコパイetc……チョコがチョコ呼んで全部フィーリアが造ったから食えって。拒否は許さんって!! ヒロミ頼むから貰ってくれえええええええ!!!」


「そんな食べたら糖尿になるわよタケル……」


ヒロミ「全国の良い子の皆! バレンタインのチョコは義理でも本命でも貰った感謝は忘れないでね! ホワイトデーのお返し忘れるなよ(威圧)」――――クルン♡︎


そしてブックマーク、感想、評価『★★★★★』等でこれまで以上にヒロミ達を応援しよう!

皆さんの応援が作者だけでなく、ヒロミ達のファンレターになります!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ