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File No.34:ヒロミちゃんイチャイチャ禁止令!?

トクサツ少女・石ケ谷ヒロミは、異世界へ転生された(自称)花の美少女である!


彼女が転生してきた世界は、悪の組織に支配された英雄都市【ブレイドピア】である。


神より授けられたチートツール【トクサツールベルト】で『トクサツ戦士HIROMI』に変身しながら、いつかは巨乳になるために……な訳じゃ全然なくて!!

英雄異世界の平和を守るために今度は『半年ぶりに』戦うのだ!!


ヒロミ「前回よりブランク長くなってんじゃないの!!!」

 

 ――あたし、石ケ谷ヒロミ!


 まぁここの作者のkazuがホントにだらしないもので、あたしらの大活躍を差し置いてゲーム・ウォーリアーの新作に躍起になっちゃって!

 お陰でこの小説で予定していたハロウィンだとかクリスマスの話も頓挫しちゃってさ! あたし達は創作と想像の闇の中!! あーカワイソカワイソ……


 ……でもいいもん! あたしには愛しのルリナちゃんが居るし!

 kazuにほっとかれてる間は何時でもルリナちゃんとイチャイチャ〜〜……と思ったんだけど……



「――――何これ?」


 《当面の間はトク転の百合をお控えさせてください。by kazu》


 …………え、何これ? ナニコレ?? What NA・NI・KO・RE???


 なんで再開早々作者からあたしとルリナちゃんとのイチャイチャを止められてるの!!?


「ヒロミさん! どうなってるんですかこれ?」

「ルリナちゃん! 久々に帰ってきたと思ったらこんな看板が……」


 そこへ。


「――いや〜ヒロミちゃん、久方ぶりだね……はは」


 あっ! 悪の権化、あたしの生き甲斐を禁止させた大魔王・作者のkazuが自ら空返事ついでにおいでなすったな!!


「大魔王とは失礼な! そりゃ再開早々百合禁止つったってお前ら納得しないだろうから、俺が自ら説明しにきたの!」

「当たり前でしょ!! テコ入れするにしても核潰しちゃダメじゃないのこれどーゆー事よ!!」


 猛抗議するあたしに若干宥めながら抑えるルリナちゃん。この『トク転』を半年以上休止させてまで百合禁止と宣言した作者の思惑や如何に。



「――――実は、うちの親に『この作品は良く分かんない』って言われちゃって……」


 …………は??


「去年の秋辺りに『百合なのか特撮なのかどっちかにしろ』とか言われちゃってさ、結局決まんないで壮行してたらゲーム・ウォーリアーに明け暮れちゃって、こうなりました☆」


「アホかお前はーーーーー!!!!!」

「そんな事で半年もエタってたんですか!?」


「とにかく、当面ヒロミちゃんとルリナちゃんのイチャイチャは反応が変わり次第禁止する!! 約束を守っておけば更新頻度は上げるからそのつもりで

 !」

「冗談じゃないわ!! 更新頻度を上げるだなんて見え透いた約束なんか引っかからな」


「じゃ打ち切る?」


 ……うーわ、ここで作者の権力出して来たよ良い歳こいた男が。


「むー……仕方ない。それでちょっとやってみるわ」

「ヒロミさん……」


「別に仲良くするなって言ってる訳じゃないからね。あくまで()()()()()ってだけでそれ以外は大丈夫だから。んじゃまたねー」


 と言いながら作者のkazuは狭い自分の部屋へと執筆&ゲームをしに去っていった。多分後者の誘惑に負けて1日が終わるだろう。あと掃除しろ。


 幾らあたしでも打ち切りの魔の手はトクサツールのパワーでも逃れられない。苦渋の選択についOKを出してしまったけど、当然その決断はあたしにとって地獄を見ることになるのでした。


 ☆★☆★☆★


 ――とは言ったものの。最初のうちはそんな様子も無く、あたしとルリナちゃんはいつも通り生活は出来ていた。

 それどころかイチャイチャを辞めた事によって、色んな発見も出来た。


 いつもルリナちゃんのフローラルな匂いばっか嗅いでたから気にしてなかったけど、ここ英雄異世界『ブレイドピア』はごみごみした公害の匂いなんか一切せず、ナチュラルで澄んだ空気で満ち溢れていた。何せバイクとか車とかの排気ガスによる汚染もほぼクリアーになっているからだとか。


 あ、そうそう。最近W.I.N.Dのタケルのことも気になり始めちゃった。勿論フィーリアのものだから奪う気はサラサラ無いんだけど、なんというか……アイツの事カッコいいって思うようになってきたの。例えばこんな感じに。


「よっ、タケル! アンタ最近決まってんじゃない? あたし好きになっちゃうかも☆」


 って冗談言ってたらアイツ、


「……俺、働きすぎかな」

「近くの神社で厄払いしないと……」


 失礼しちゃう! あとフィーリア、厄払いってどーゆー意味よ!?


 ☆★☆★☆★


 そんなこんなで『百合』の概念から解脱してすっかり無くなって、あたしとルリナちゃんとでパトロールをしていたある日の事。


「あらヒロミちゃん、ルリナちゃん! 二人揃ってお出かけ?」


『ローヤルゼリー』というナイトバーを経営しているボンキュッボンな元女怪人にしてママのマリー・B・クインさんが近くのスーパーでお買い物をしていた。


「えぇあたし達パトロール中なんですー!」

「マリーさんはお店の準備ですか?」


「ちょっとお店のハチミツが切れちゃってね。また()()と混ぜて『ミルキィハニー』を奉仕しないと」


((媚薬……!))


 あたし達がこれを聞いたのがマズかった。


 何しろこの前『ローヤルゼリー』で媚薬ハチミツのカクテルを飲まされた事で濃厚百合パーティーをした事があたしとルリナちゃんの脳裏にフラッシュバックされ、その欲がムラムラと湧き上がろうとするが……隠す手で自分の脇腹をつねって自我を保とうとする。


「そっかー! あ、あたし達ちょっと急ぐんで!!」

「またお店に遊びに来ますわー!」


「……?」


 百合の誘惑を断ち切る為に、あたし達はマリーさんと直ぐ様そそくさと離れて自我の抑制と戦い始めた。


((あぁダメダメ! イチャイチャは禁止、百合の事考えちゃ駄目だ!!))


 でもあたしとルリナちゃんが己の欲を抑制する事は、更に危険な地獄を見る予兆を意味するのでした……!


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