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ティア・イリュージョン  作者: おおまめ だいず
秘宝編
62/206

星と夜風

「あ〜、疲れたぁ〜っ!!」


 夜、湯気が立ち昇るパーニズの大浴場で、ドーマは腕と脚を伸ばして上げた。


「あの、ドーマさん、…病院に残ってくれて、ありがとうございました……。」


 ネネカが言うと、その声は大浴場に少し響いた。大浴場にはドーマとネネカしかいない。


「ん?何言ってんのネネカ、秘宝を取りに行ったアンタのほうが感謝される側だよぉ。改めてだけど、…お疲れ、ネネカ。」


 ドーマはネネカに笑顔を見せた。


「は、はい………今さら言うのも変ですけど、…ドーマさんって…やっぱり優しいですね。」


 ネネカは、湯に映る赤くなった自分の顔を見て言った。その顔を見たドーマは微笑んだ。


「フッ、優しい……か。初めて言われたよ。アタシって、小さい頃から喧嘩ばっかでさぁ、男子ボコボコにするのが当たり前って時もあったっけなぁ。」


 ドーマは白い湯気の奥に薄く見える天井を見た。


「でも……私の目に映るドーマさんは、優しい人です……。あの時アランさんと病院に残ったのも…ドーマさんの優しさだと……思うんです……。」


 ネネカが小さい声で言うと、ドーマの表情は少しだけ暗くなった。


「……あ、ご、ごめんなさい。ドーマさん……何か嫌なこと言いましたか……?」

「…………いや、大丈夫だ。その、病院に残ったっていう話、実は訳が…………」


 ドーマはゆっくりと口を閉じた。


「…あの…ドーマさん……言いたくないのなら、話さなくても…良いですよ……?」


 ネネカはそっと微笑み、口を閉じたドーマと目を合わせた。すると、ドーマの顔はすぐに晴れた。


「やっぱ可愛いなぁ!ネネカぁ!!」

「え、えぇぇっっ!?」


 その後、ドーマとネネカは風呂から上がり、レオとアランと合流した。パーニズの町の夜空には星々が小さく輝いていて、民家や商店街はランプや松明の柔らかな光で照らされていた。夜の涼しい静かな風を浴びながら四人は宿屋に向かい、部屋に入った。


「ふぅ〜〜っ。」


 アランは真っ先にベッドに飛び込んだ。


「なぁレオ、明日はどうする?連続の秘宝クエはさすがにキツいだろ?特に、お前とネネカは。」


 アランは仰向けの状態で言った。


「あ…う、うん。まぁね。正直休みたい。」

「だろうな。周りの奴らも、このパーティは働き過ぎだと言ってる。」


 すると、ドーマがアランの隣のベッドに飛び込み、口を開いた。


「じゃあさ、商店街行くのはどうだ?食べ歩きしたり、装備とか道具買ったり…」

「それは良いですね。そうしましょう。」


 ネネカが小さい声で言うと、レオとアランも賛成の声をあげた。そして四人ともベッドの上に寝転がると、レオは吊り下げられたランプの火を消し、部屋を暗くした。

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