ここちゃん、今年の行方を占う!?
新年を迎えた世界は、辺り一面銀世界……とはなりませんでしたが、私とここちゃんは初詣に行くため、近くの神社へとやって来ました。
参道には出店が軒を連ね、ここちゃんの興味は早速そちらへ向いています。
「なぁなぁ美波。やっぱり焼きそばとぉ、焼き鳥とぉ、お好み焼きとぉ、りんご飴とぉ、チョコバナナは外せないよな」
「片っ端からじゃないの! いい? ここちゃん、その前にご挨拶が先でしょ」
そうです。ここちゃんは興味の上書きが驚異的で、本来の目的からすぐ道を外れてしまうんです。
「ここちゃんも参拝したあと、おみくじ引くでしょ?」
「それ当たり前だから。勝負だ! 美波!」
「テンションがよくわかんないけど、大吉が一番いいみたいなこと?」
ここちゃんは何も言わず、ただ親指を上げてニヤリと笑うだけでした。
そんな話をしながら列に並んでいると、あっという間に参拝の順番となった。
「お賽銭てさぁ」
「いるわよ!」
握りしめた硬貨を、なかなか賽銭箱に入れることが出来ないここちゃん。
「ここちゃんがケチケチじゃ無くなりますように」
「美波はあほだなぁ。お願いは言っちゃうと叶わないんだぜ…………へぷしっ! あっ!」
くしゃみの勢いでここちゃんの手から飛び出した硬貨は、何とそのまま賽銭箱へと消えて行きました。
「神様早いってぇぇ!」
私達は周りの人にくすくすと笑われながら移動すると、先程話していたおみくじ対決をすることにしました。
「いいか? 一発勝負だからな。この結果で今年の優劣が決まるんだからな」
「おみくじ一枚で、そんなシビアな展開いやよ」
購入したおみくじを、まずはそれぞれが確認した。
「これは……美波、悪いな。この勝負俺の勝ちだ」
「あら。私も負けないと思うわよ。せーので見せよう。せーの!」
『大凶』
『大吉』
「ここちゃん大凶じゃん! こわっ! ん? 何でそれで勝ったなのよ」
「わかってないなぁ美波は。いいか? 大凶ってことは、このあと良くなるしかないだろ。それに比べて美波の大吉は、このあと悪くなる一方ってことだ」
「でも今はどん底ってことよね」
「そ、それは……人それぞれです!」
「ちゃんと気にしてんじゃないのよ!」
独自の解釈を繰り出すここちゃんは、にこにこしながらおみくじを結びつけていました。
「じゃあこのあとは、お約束の屋台買い食いタイムだな」
「おっけー。何から食べようか」
しかし、このあと──
「悪いね。材料が足りなくて今買いに行ってるんだ」
「申し訳ない。ちょうど機械が故障しちゃって作れないんだよ」
しっかり大凶を満喫中のここちゃんが、りんご飴屋さんの前に立ち止まった時でした。
「ある! 美波、ほら! あそこにりんご飴がありますねぇ!」
やっと見つけたお目当ての物に興奮するここちゃんの語彙力はおかしく、でも何だか少しかわいく思えました。
「おじさん。ありがとう! いただきまぁす!」
お賽銭のときとは違い、すんなりお金を払うここちゃん。
「いや〜、さすが大凶だよな」
りんご飴を頬張るここちゃんが言う『さすが』は、どっちの意味だったのかは謎ですが、相変わらず大凶最強説を唱え続けています。
「あっ……歯欠けた」
「そうね。さすが大凶よね」
こうして今年も、ここちゃんに振り回される年になりそうですが、それはそれで楽しくなりそうです。




