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【12/1発売】俺は知らないうちに学校一の美少女を口説いていたらしい〜バイト先の相談相手に俺の想い人の話をすると彼女はなぜか照れ始める〜  作者: 午前の緑茶
第一章 斎藤視点

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【斎藤さん視点】第15話 学校の彼と目が合った

「玲奈ー、次の調べ物学習一緒にやろう!」


「うん、いいよ。一緒にしよう」


 友達に誘われ頷きながら、内心この後のことでため息をつく。

 調べ物学習、それは授業の一つで行われているもので去年も同じことがあった。その名の通り、図書館を利用して資料を調べて発表する授業なのだけど、この授業は他クラスとも一緒に行うものなので、去年は他クラスの男子からの変な目線で見られることが多かった。

 それを思い出して、また今年も同じようなことになると思うと、うんざりせずにはいられない。あんまり気は進まないけれど、やらないわけにはいかないので、足取り重く友達と一緒に図書館へ向かった。


 図書館へと入ると、普段は人気が少ないはずの館内は少し騒々しく、ちらほらと人が歩いたり話したりしている姿が目に入った。

 予想していた通り、別のクラスも調べ物学習でこの図書館に来ているらしい。普段と異なる図書館の雰囲気に違和感を覚えながら、資料を探し始める。


「玲奈ー、なんかいいのあった?」


「うん、これなんかいいんじゃない?」


「確かに!それにしよ!」


 何を調べるか決めて、図書館の席に着いた。


 ああ、やっぱり。本当に嫌な視線。席に座ると、周りからの視線が集まり始める。こそこそと一部の男子がこっちを見ながら何かを話している様子が視界の端に映る。ほんと、この好奇な目がうんざりする。私は見せ物じゃないのに。これだから男子は嫌なんだ。外側ばっかり見て。

 出来るだけ視線が気にならないように周りを意識するのを忘れて、友達と話し合いに集中する。時々メモを取りながら資料をまとめていると、ふとあることが頭に浮かび顔を上げた。

 

(本友達の彼はいるだろうか?)


 彼は隣のクラスのはずなので、いる可能性は高い。居たから何かあるわけではないけれど、なんとなく気になった。

 

 ゆっくりと視線を巡らせて見れば、目が合いそうになり慌てて逸らす人が何人かいた。まったく、不快だ。見回せば見回すほど、嫌な視線が視界に入る。ああ、もういい。さっさと終わらせてクラスに戻ろう。そう思って顔を下げようとしたその時、一つの視線と目が合った。


 ぱっちりと本友達の彼と見つめ合う。目が合うと彼は気まずそうに視線を彷徨わせ始めた。


(あれ?全然嫌じゃない……)


 前から薄々思ってはいたけれど、はっきりと認識する。異性として意識していないと言っても彼だって男子だ。もしかしたら彼も他の人と同じように好奇心で見ていたのかもしれない。

 それでも、不思議と嫌ではなかった。むしろ、目が合ったことがなんだか嬉しくて心が弾む。彼を見つけた喜びが心に満ち広がっていく。やっぱり図書館にいたんだ。見つけられるなんてラッキー。嬉しい。


 もう少し見ていたい気もしたけれどあまり見ているのもなんなので、視線を手元の資料に戻す。すると、少し驚いたように隣の友達が話しかけてきた。


「あれ?玲奈、笑ってるなんて珍しい。どうかしたの?」

 

「え?笑ってる?」


 指摘されて意識すると確かに口元が緩んでいた。どうやら彼を見れて嬉しかったせいか微笑んでいたらしい。


「うん、久しぶりに玲奈が笑ってるところ見た。なんかあった?」


「うーん、なんでもない」


「そう?」


 私が誤魔化すと、少し不思議そうに首を傾げていたけれど、それ以上つっこんでくることはなかった。

 資料を整理しながら緩んだ口元を引き締めて真顔に戻して考える。


 彼と目が合うだけでこんなに嬉しくなるなんて一体どうしたんだろう?自分の気持ちが不思議で仕方がない。彼に見られても不愉快じゃないのも気になる。

 思い当たる節があるとすれば、彼が信頼できる人だということくらい。元々彼が悪い人ではないと思っていたし、最近は良い人だとも思っている。きっとある程度信頼しているから、嫌じゃないのだろう。そう結論付けた。


 また少し気になり、彼の方をちらっと盗み見る。今度は目が合うことはなく、彼は真剣に本を読んで何やら調べていた。

 特に彼が嬉しいことをしてくれているわけではないのに、やっぱりなんだか心が温かくなる。シャーペンで何やら真剣にノートに書いている姿が見ていて楽しい。


 また口元が緩みそうになっていることに気が付いて慌てて表情を引き締めた。

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