ヴァニエルの後悔(4)
「ああ?」
男たちが凄むように言った。その目に挑戦的な光を宿し、俺たちを威圧しようとする。だが、バルドも負けていなかった。
「おたくも嫌な思いをしたのであれば、うちに来るのも嫌でしょう。出ていってください。そして二度と来ないでください。」
バルドは冷静に、そして力強く言い放った。
男たちはその言葉に顔をしかめたが、すぐに怒りを爆発させた。
「テメェ、バカにしてんのか!」
と、一人の男が声を荒げた。
「俺が誰だかわかってものを言ってんのか??・・・俺はかつて、あの魔法騎士団にいた男だぞ!」
その言葉に酒場の空気が一気に凍りつく。男の手が腰に手を伸ばし、あろうことか剣を抜き放った。鋭い金属音が響き、周囲の客たちは一瞬、息を呑んだ。酒場全体が静まりかえり、誰もがその先を見守っている。
「おいおい、勘弁してくれよ…」
と、誰かが小声で呟いたが、すぐに声を潜めた。
リリアーネは後ずさりすることなく、むしろ前に出てきて冷静に言った。
「これ以上ことを荒立てるのであれば、警察を呼ぶわよ。」
その言葉に男たちはますます激情し、鋭く振り向くと、さらに挑発するように言った。
「警察だと!?ふざけんなよ!」
男たちの一人が剣を振りかざし、突然、剣に炎を纏わせて魔法を放つ。
酒場の中に、熱気と焦げ臭い空気が立ち込めた。その炎は一瞬でリリアーネの方に迫り、彼女を焼き尽くすように見えた。バルドは無我夢中で彼女の前に飛び込む。
「リリアーネ!!」
バルドは腕を広げて、必死にリリアーネを守ろうとした。しかし、魔法は勢いを増して、バルドを目掛けて直撃しようとする。
その瞬間、俺は体が動いていた。反射的に、俺はバルドの前に立つ。手にはモップを握りしめ、全力でその身に魔力を集めた。
「防げ!!」
俺は心の中で叫んだ。
魔力が身体中に流れ込む感覚があった。痛みを感じる暇もなく、必死で制御する。魔力が暴走することなく、足元から上半身へと集まる。俺の心臓が速く鼓動を打ち、まるで全身の血液が魔力となり、強化されていく感覚が広がった。
目の前の炎が迫る。あれがもしバルドに当たれば、彼は無傷では済まない。炎の熱気が肌を焼くように感じ、ただただ恐怖が襲う。その瞬間、俺の手が光り、魔力が一気に防御壁となって体を包み込む。
ーーーガキィン!
俺の力が爆発するように、炎を飲み込む防御壁が立ち上がった。
炎が防御壁にぶつかり、弾け飛んだ。しかし、その勢いで俺の体に衝撃が走る。俺は、限界まで魔力を使ってしまった。膝がガクンと折れ、体が重くなるのを感じながらも、必死に魔力を収束させる。
防御壁が消えると、酒場の空気が一瞬で静まり返った。心臓が速く打ち、体が重い。力を使い果たし、息も荒くなる。




