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薄く開けた目を、じっと宮野に向ける。

目が合った途端、口元が震えているのが眼にはいった。

「……」

そのまま俺が前に足を進めると、宮野は押されるように奥へと後ずさる。

身体がエレベータに全て入った後、閉、のボタンを押した。

誰かが乗ってくる気配はない。


後ろで、ゆっくりとドアが閉まった。


階数ボタンは六階が点灯していて。

それを確認してから、宮野に視線を移す。



真っ青になった顔で、じっと床を見つめている。

胸の位置で抱いたバインダーが、力の入れすぎで少し歪んでいて。





まさか



呟く。




もしかして



可能性が頭をもたげる。




――美咲の、頬の、ガーゼ。


おかしな、外回り……




エレベーターは、ゆっくりと六階を目指す。


その箱の中で、泣き出しそうに歪んだ顔の宮野を目の前に、引いていく血と逆上しそうな感情が、俺の身体の中を渦巻いていく。





まさか……


もしかして……




「……どうかした? 宮野さん」



優しい声と、正反対の感情。





俺の声に、反応しながらも床を見続ける宮野。


鎌を掛けようとしながら、その口から出てくる事実を内心怖がる俺。



おかしな構図の俺達を乗せたまま、静かにエレベーターは上昇していく。






頼む、思い違いであってくれ――


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