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「瑞貴? どーした?」

いきなり黙りこくった俺を、心配そうに斉藤さんが覗き込む。


「あ、と。いや別に何でもないっす。そろそろ企画室戻りますか?」

腕時計を見ると、既に四時近く。

三十分はここにいる。

俺の言葉に課長と斉藤さんが頷いて、各々紙コップを持って立ち上がった。


「総務に用があるんで、俺はここで」

斉藤さんが課長に伝えると、

「あぁ、俺も行く。出張の経費申請をしなきゃならん。瑞貴、先に戻っててくれ」

出入り口にるゴミ箱に紙コップを捨てながら、指でエレベーターを指した。


「わっかりました。じゃ、お先です」




二人と別れてエレベーターの、昇りボタンを押す。

一階からあがってくるのを待ちながら、肩を回して凝りをほぐす。


最近、歳食ってきたよなぁ……

ランニングでも始めるかなぁ。


出てきた欠伸をかみ殺しながら、二階に上がってきたエレベーターのドアが開くのを待つ。


課長って、本気で美咲の事が好きなんだよな。

いや、渡す気はないんだけど。

ホントはさ。

足掻いたって仕方ないこと、分かってたりする。


美咲の気持ちに本人より先に、俺が気づいてしまったから。

――苦しいな、やっぱり。


俺も、……俺のほうが、長い間、あいつを想い続けてきたのに――






なぁ、美咲




お前は、誰を想う?



ずっとお前の傍にいた



俺に、……何を望む?







自嘲気味に出る笑いを、思わず右の拳を当てて押さえ込む。


そんなの、俺が、ホントは分かってるんだけど……


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