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25

「おはようございます」

翌朝企画室に入っていくと、間宮さんがパソコンに向けていた顔を上げて私を見た。

そして、珍しく斉藤さんまでもう出社してて。


「どうしたの、ずいぶんと大きなガーゼだね。怪我?」

立ち上がりかけた間宮さんを慌てて両手で止めて、私も自分のデスクにつく。

「えぇ、家に帰ってからコンビニに行こうとしてこけまして。あ、昨日はご心配かけて済みませんでした」

メールありがとうございます、といいながらパソコンの電源を入れる。


間宮さんは私を見たまま、頬杖をついた。

斉藤さんは、何も言わずにじぃっと私を見てる。

「? 斉藤さん、どうかしました? そんなに、このガーゼおかしいですかね」

話しかけると、斉藤さんは頭を振って曖昧に笑う。


何かおかしい雰囲気に首を傾げると、私の考えを遮るかのように、間宮さんが話し出した。


「それよりも、昨日はちょっとびっくりな外回りだったよね。鞄なくて、大丈夫だったの?」

「えぇ、確認しに行くだけでしたし。……お二方とも珈琲飲みます? 私いれてきますけど」


立ち上がったパソコンを確認して、椅子から腰をあげる。

「うん、じゃお願い」

「――頼む」

いつもより心配そうな笑顔に、にっこりと満面の笑みで返して廊下に出た。






……テープが引き攣れる……



廊下を歩きながら、左手でガーゼに触れる。

本当はこんな目立つことしたくなかったけれど、引っ掻き傷の方が目立つから。

仕方ないと、諦めた。

年明けに亨くんの会社に行くことになってるから、せめてその日までに傷が薄くなってて欲しいなとは思うんだけどね。三週間はゆうにあるから、大丈夫かな。


給湯室に入って、やかんを火にかける。


どうせもうすぐ課長達も出社するだろうから、全員分淹れてしまおう。

何度も来るのは面倒だし。


珈琲を淹れる準備だけして、シンクにもたれてお湯が沸けるのを待つ。

五人分だと、お湯が沸けるまで結構掛かるよね。


ぼけーっと天井を見上げる。

この後、課長と哲か。

そうだ、真崎さんにも一応顔出した方が良いかな。


ガーゼを触りながら、考え込む。

行きたいけど、この顔じゃなぁ。


――メールでいっか。



ポケットから携帯を出そうと手を入れた時、

「久我?」

給湯室の入り口で、私を呼ぶ声に顔を上げた。


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