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12ダリア嬢の言葉

第1章はこの話で完結です

ストックが溜まり次第、第2章も投稿していきます


「お義姉様ーー!まってくださいーーー!」


 授業が終わり、イソトマのことを聞こうとしてくる生徒たちを撒き、静かな帝国図書館に行くため馬車に乗ろうとしていると、イソトマがこちらへ走ってきた。

私も見覚えがある鮮やかなピンク色の瞳に黄金の髪をツインテールにした少女―――ダリア嬢の手を引いて。


「もう!かなり探したんですよ!」


 ぷりぷりしながらそう言ってくる。


 ……あなたのことを聞いてくる生徒たちから必死に逃げていたからよ!!!


 そう言いそうになる気持ちを押さえて、どうしたのかと聞こうとすると、


「あの……アネモネ様。お久しぶりです。こうしておしゃべりするのはあの時以来ですね」


 ダリア嬢が微笑みながらも、複雑そうな顔で私にそう言ってきた。


「そうですね。あの時は素晴らしい助言をくださりありがとうございました」


 少々嫌味を込めてそう言うも、わからなかったのかにこにこしている。


「それより、私を探していたとのことでしたが、どうされたのですか?」


「この子……ダリアとクラスは別だけど、ダリアの方から話しかけてきてくれてね!仲良くなったの。それで話を聞いているうちに、お義姉様と話したことがあると聞いて……それを聞きたくて?会ってほしくて?まあそんなかんじですよ」


 どんな感じだよ!!!なんか連れてこなくてはという使命感に駆られたらしい。そして、イソトマは積もる話もあるだろうし……とその場を離れてどこかへ行ってしまった。


「……………」


「……………」


 ……気まずい。


「聖女の仕事頑張っているようですね」とか「生徒からかなり慕われているようですね」とか話題を振っても、うんともすんともダリア嬢がいわないからだ。


 馬車で図書館に行ってしまおうかと考えていると、


「どうして、ちゃんと役割を果たしてくれないの!?そうしないと、未来が変わってしまうかもしれないのよ!?」


 ダリア嬢がそう聞いてきた。


「未来?ダリア嬢は未来を知っているのかしら?だとしたら、我が儘ですが私、その未来にはなってほしくないですわ。だって、神様が決めたとしてももう未来が決まっているとしたらつまらないではないですか。私は自分がよく考えて、行動して、1から自分で未来はつくっていきたいですわ」


 さも当たり前というようにそう答えると、ダリア嬢はなにかをぐっとこらえるような顔になり、


「あたしはちゃんと言ったからね!?」


 といい、逃げるようにしてその場から立ち去ってしまった。

 私はそれを見送り、馬車に乗ると、ダリア嬢が言った言葉に深い意味があるのかと、考え始めた。

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