試験後の一休み
一休みできんかったフェリクス
のんびりとコーヒーを飲んでいたら、目の前に三雲美紅が現れた。
ふむ。何やら思いつめた顔をしているが、どうしてだろうか。
「ドラクルさんに、わたくしがどうすれば強くなれるかお伺いしたく、こちらに参りました。後をつけるような真似をしたこと、本当に申し訳ございません」
「向上心が高いことは良いことだ。だが……、お前のナギナタは誰か師がいるのだろう? 私に聞くよりも師と相談をした方がよいと思うのだが」
師のいる人間に勝手に口を出すと、感覚が狂ってむしろ弱くなる可能性があるからな。
師事している者がおり、ある程度上手くやれているのならば、そのままの方がいいことも多い。私のやり方だけがすべてではないしな。私以外の試験官ならば通過できる可能性もゼロではないのだから、私に聞きに来る必要はないぞ。
「師は霊力の活用法に関してはわからない方なので。わたくしは、学園での学びを元に戦術を組み立ててA級まで参りました。しかし、試験を通して、これでは足りないと心底理解いたしました」
そんなことを言われても、というやつである。
「私が試験結果の発表の際に告げた手段は学園で習うことだろう?」
「はい。しかし、わたくしは霊力が強すぎて、その、使うなと言われておりました」
恥ずかしそうにそう告げた目の前の女に眩暈がした。
それはな、あの。教師が悪いかもしれん。しかし、霊力が強すぎるあまり暴走した時の手綱がとれないならば、仕方のないところもあるか。大抵の仕事は命とは釣り合うものではないしな。
「周囲を撒きこむ可能性も高く、長らく武のみにて戦って参りました。しかし、皆が対魔武器を通して打ち破ることのできるものが、わたくしにはできぬとなれば今後の活動にも支障が出てまいります」
むしろ、それで支障なく来れたということの方が怖いのだが。
そうなれば測定をして、数値を出してから適性を把握し、師を選定する必要があるか。緊急時に自滅覚悟で何かされるのも怖い。
「では、とりあえずやるべき手続きをしてもらう」
「! ではドラクルさんが教えてくださるのですか!?」
「それはわからん。相性というものもある。伝手はあるから、ある程度、どこへ行けばいいかくらいは決めてやれるだろう」
戦闘スタイルや覚える術の性質が合わなければ、私の所にいても強くなれんだろう。太郎は「え~? そんなことないですよ。俺的には強い人と手合わせするだけで、得るものは大きいんで! HAHAHA」などと言っていたが。
「連絡先は教えておく。結果が出れば連絡してもらって構わない」
「はい!」
三雲はどこか嬉しそうな顔でそれを受け取った。そして、深々と頭を下げて帰っていく。
「ようやく行ったか……」
温くなったコーヒーを口にする。
けしかけたのは聖悟だろうか。私ならば何でもどうにかできると考えている節があるからな。私でも、どうにもならんことはあるのだぞ。
「試験官殿、うっす」
「それはもう終わった」
「ちょっと手合わせお願いしたいんすけど!」
「嫌だが」
なぜ空条もこんなところまで私に絡みに来るのだ。
おかしいだろう!
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
○空条司
我流でここまできた天才。現在19歳。
マイペースに生きている。ノリでハンターになったとは思えない強さだが、一度対人戦を申し込んで太郎にボコボコにされており、以降も勝ちたくなっちゃってちょくちょく誘っている。あの往生太郎に鬱陶しがられ、避けられてる。
となれば、彼が慕うフェリクス・E・ドラクルにも興味を持つのは当然といえるかもしれない。




