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引きこもり吸血鬼の怠惰なる引退生活  作者: 雪菊


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タコパ


「ウインナーとチーズも入れよう! キムチも合うんじゃないか!?」



 小娘、大はしゃぎである。

 たかがたこ焼き機くらいでこんなにはしゃぐなら購入した甲斐もあったというもの。

 一方で、ラウルは黙々と焼いては食べている。たこ焼きの隣にタコの刺身、タコ飯等置いてあるのはエマの仕業だ。曰く、「いくらなんでも数が多すぎます。管理が難しいです」とのことだ。本当によくできたオートマタである。……たまに、何か入っているのではないかと思う。マデリーンが動かしていると言われても信じ……いや、マデリーンは人形作り以外ではかなり大雑把だ。わざわざ家事用オートマタを自分で操縦するほど暇でもない。

 ……そうなると、少し分解してみたいという気持ちになるな。流石に、戻せる保証がないのでせんが。代わりの利かないものは壊せん。好奇心で壊すには便利過ぎる。



「ドラクルさんは何を入れる?」

「そうだな……。私はウインナーのものをもらおうか」



 タコは要らん。本当なら目の前に置きたくない。

 まぁ……子どもたちがひたすら楽しそうだから、それだけはよかったが。



「タコも美味しいですよ」

「そうだな。お前たちが美味しくお食べ」



 豆太にそう言って勧めておく。



「そういや、なんでいきなりたこ焼きなんですか? フェリクス、あんなにキレてたのに」

「太郎が持ってきた。……私たちが味わった屈辱を他の者たちにも味わわせてやろうと気合を入れて塔型ダンジョンを調節したのだが、それに挑戦したらしい。そして、それに引っかかった腹いせに持ってきたのだ」

「太郎?」

「たぶん、往生さんだな」

「もしかして、S級昇進の最年少記録を塗り替えたという、あの!?」



 その往生太郎で間違いはないが……小娘も知っているということは、あいつ、結構有名になっていたのだな。最年少記録というのは割とすごい話であるとは思うが、そんなに驚くほどだったのだな。



「最近の魔族の中でも要注意人物なのだとおばあ様が言っていた」



 まぁ、本質的には死を告げる者だからな。とはいえ、好きでああいう存在に生まれたわけではないのに要注意と言われるのは可哀想な気がするな。



「でも、普通にすごい。高等部を卒業して一か月でS級なんて!」



 この素直な反応と、ラウルに「後輩、どういう人物なんだ?」と聞く姿勢を見せる小娘を見ると本当に、心から、ホッとする。

 豆太を素直に可愛いと言っていたところからも、講義の効果が出ていてよかった。



「でも、往生さんがフェリクスに嫌がらせしたくなるくらいヤバいってちょっときになるっスね」

「お前が行っても一階からスタートだから時間がかかるぞ。太郎だからちょっと腕試しとか言ってフラッと訪れ全クリ嫌がらせができるのだ」



 本人曰く、一日半で行けたらしい。まぁ、私たちが行ったときと比べるとかなり中の魔物の量や強さを調整したからな。



「やってみたい!」

「高等部の卒業が最低ラインの資格だからまだ無理だな」

「そんな……」



 協会の連中曰く、「それが自己責任を問える最低限の年齢ですね」という理由らしい。今の人間的にはそうなのか? 私にはよくわからなかった。



「フェリクスと一緒でもダメなんスか?」

「いいことを教えてやろう。私は、絶対、行きたくない」



 一年は見たくない。


いつも読んでいただき、ありがとうございます!

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