表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
引きこもり吸血鬼の怠惰なる引退生活  作者: 雪菊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/81

風呂へ直行


 無事に帰宅した私とアルテはすぐに風呂場へ直行した。

 電話で風呂の準備を指示しておいてよかった。こういう時のための家事用オートマタである。食事も私の好きなステーキを頼んでおいた。デザートも頼んだ。ゆっくりするために、エマには全力を尽くしてもらっている。



「ふぅ……ようやくスッキリしたな……」

「にゃあ~…… (最悪だったぁ……)」



 髪も身体も、気に入っているものでしっかりと洗い、ようやく清潔になった。

 バスタブに身を沈めていると、生き返ったような心地がするな。入浴剤もよい香りだ。これは確か……以前、マデリーンにもらったものだな。



「後で温泉の予約もするぞ。紅葉の見える、食事の美味い旅館がよいな……」



 あのダンジョンを制覇した報酬だけで、しばらく豪遊できるだけの金が振り込まれる。どれだけ困っていたのだろうな、あのダンジョンに。

 それにしても困ったのは、ハンター協会の連中がなかなか帰してくれなかったことだ。なんでも、鍛錬用ダンジョンの詳細を私から聞きたかったらしい。自分で入って調べればいいものを。

 仕方なく、どういった状態になっているかを説明し、後日入場料を取って解放するつもりでいることを話すと、「できれば提携を……」と手を握ってきた。ガタイの良い男に手を取られても何も嬉しくない。

 ともかく、あのタコと謎の海のせいで大変気持ち悪かったので「全部後回しだ!」と振り切って返ってきた。内部調査依頼は意気揚々と受けてくれたのは幸いか。



「なう~? (しばらくあのダンジョンのせいで忙しくならなぁい?)」

「そんなことになったら完全閉鎖する」



 身内用にしてもいい。管理する場所を探すのも面倒だし。

 そんなことを考えていたら、浴室の戸が開く。



「フェリクス!」

「ああ、帰ってきたのか。おかえり、ラウル」

「にゃあん! (おかえり!)」



 呑気にそう返す我々に「ケガは……ないみたいですね」とホッとした顔を見せる。

 私たちにケガをさせることができる存在の方が珍しいというのに。愛い子どもだな。



「今日はステーキだ。絶対肉を食うと決めていた。しばらくタコの足は見たくない」

「ご機嫌斜めっスね。でも、ステーキか……」



 嬉しそうな顔をするラウルは「じゃあ、後で」と戸を閉めて去って行った。



「風呂から上がった後でもよかっただろうに」



 そんなに私の無事を確かめたかったのか? ラウルを引き取って以降、大きなケガをしたのは一度だけだったはずだが。

 そんなことを考えながら、私は風呂から出て身なりを整えた。



 アルテの毛と自分の髪を乾かしてからリビングに向かうと、ラウル、小娘、豆太だけでなく、ヘスティアとジークも訪れていた。



「ドラクルさん、おかえりなさい! ドラクルさんが三日もかかるなんて、すごく強い相手だったの?」

「まぁ、一応そこそこ強くはあったが……主に数が多く、階層も多かったから三日かかったという感じだな」



 小娘の質問に答えると、少し不安そうな豆太が、「じゃあ、ケガはないんですか?」と聞いてきたのでしっかり「一つもない」と答えておいた。実際、体中が臭かったことを除けば問題はなかった。



「ヘスティア、ジーク。子どもたちを見守ってくれて助かった。礼を言う」

「いえ。フェリクス様のためですもの。けれど……次は私も連れて行ってくださると嬉しいわ」

「いや、あれは本当に楽しくない。一緒に行くならもっと楽しい場所の方がよいぞ」



 少なくとも私はそう思う。

 思いのほか真剣な声が出てしまったためか、「そういうことではないと思いますよ」とジークに言われてしまった。

 ちなみに、本当に、心の底から楽しくなかったので本気だ。


いつも読んでいただき、ありがとうございます。


フェリクスは翌日以降、「ダンジョン使わせてほしい」の声がハンター協会からたくさんかかって少し忙しくなる。

無表情で淡々と片付けて、旅行の準備も始める。

フェリクス「あんなダンジョンの何が楽しいのだか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ