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【コミック5巻2026年2/5発売】病弱な悪役令嬢ですが、婚約者が過保護すぎて逃げ出したい(私たち犬猿の仲でしたよね!?)  作者: 沢野いずみ
第二章

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76、本当の目的



「……大丈夫か?」

「気持ち悪い……」


 私は甲板の上でぐったりしていた。吐くものはもう吐いて何も出てこないのに、気持ち悪さは消えない。

 あのあと、木箱に入れられたまま、私とミリィは船に乗せられた。まさか船にいきなり乗るとは思わず、木箱から出て海を見たときは呆然としてしまった。

 海の上に出てしまったらもう逃げ出すことは不可能だ。

 木箱に入れられるとき、何がなんでも抵抗するべきだったと後悔しても、もう遅い。

 ……いや、そもそも抵抗してもきっと無駄だった。要らぬ怪我をしなかっただけマシだったと思い、自分を奮い立たせる。

 ……それに今はそれどころではない。


「船酔いが……こんなに辛いとは……」


 前世でも今世でも船に乗ったことはなかった。身体は弱いが船にも弱いとは。何になら強いのだこの身体は。


「ほら、薬だ」

「ありがとう……」


 吐き出さないように気をつけながら飲み込む。うう、頑張れ私! この薬の成分を身体が吸収するまで吐かない! 我慢!

 話をして気を紛らわそう。


「ミリィは?」

「まだ箱の中でグーグー寝ている」


 人をこんなことに巻き込んでおいて、呑気なやつ。


「ミリィとはどうやって知り合ったの?」

「裏のギルド……悪い依頼を請け負うところだ。そこにミリィが依頼してきた。君のことは転生者だと確信していたから、君への依頼があったら俺に連絡が行くようにしていた」

「そう……あなたはギルドで転生者絡みの依頼を受けているということ?」

「そういうことだ」

「私たちは向こうに行ったらどうなるの?」


 一瞬間を置いてアーロンが口を開いた。


「帝国で幽閉され、二度と外には出られない。ただ帝国に知識を提供するだけの存在になり、それが終わっても、知識を漏らさないように徹底的に管理される」


 それを聞いて私は頭に血が上る。


「そんな……! まるで人を物のように!」

「実際やつらにしたら、転生者は都合のいい代物だ。人間とは思っていない」

「転生者だとしても、この世界に生まれたのよ!? この世界の人間に間違いはないのに! 彼らの家族は!?」

「帝国は転生者の連行を邪魔する者を許さない。邪魔をしたら、その家族は極刑だ。だから、転生者は家族を守るためにも従う」

「そんな……」


 なんて酷い……。

 想像以上に過酷なリビエン帝国の実態に、私は怒りで震えた。

 エリックも帝国に何かあって国を出たような様子だった。進んでいる国だとも言っていたけれど、それらは全部転生者から知識を奪っているから。なのに彼らの扱いは悪いなんて。


「なんて国なの……!」

「その通りだ」


 まさかの同意に、私は目を瞬いた。


「あの国は腐りきってる。滅ぶべきだ」


 どういうことだ。アーロンはリビエン帝国の人間ではないのか? 帝国を憎んでいるなら、どうしてこんなことを?

 混乱していると、アーロンが私を見た。赤い瞳とかち合う。


「レンだ」

「え?」

「レン・アルゲナス。それが俺の本名だ」


 アーロンが本当の名前だとは思っていなかった。きっと都合のいい名前を使っていたのだろうと思ったが、まさか本名を教えてくるとは。


「どうして名前を……」

「信頼してほしいからだ」

「信頼……?」


 どうして私の信頼がいるのだ。これから自分が売り飛ばす人間の。


「船酔いはよくなったか?」

「あっ」


 いつの間にか気持ち悪さはなくなっていた。薬が効いたのか、衝撃的な会話をしたからか。


「それなら落ち着いて話ができるな。よく聞いてほしい」


 アーロン。いや、レンが私に話しかける。


「俺はある目的のために、君を攫った」

「ある目的?」


 レンはゆっくりと口を開いた。


「俺は――リビエン帝国を滅ぼしたい」




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あらすじ

ヒロインに怯える悪役令嬢×過保護がブレない公爵令息のラブコメディ

ついに「きらめきの中に」のヒロイン・アリスがフィオナの前に現れた!
しかも作中でルイスが彼女に一目惚れするシチュエーションで!
これまで順調に遠ざけていた破滅が、チラつき始めフィオナの鼓動は激しさを増す…
が、アリスは想像以上に愛嬌があり、妙にフィオナに好意的!?
それでも必要以上にアリスに関わらないよう振る舞うフィオナだったが、アリスはフィオナ達の視察について行くと言い出して…
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― 新着の感想 ―
[気になる点] もしかして、とは思っていましたが――。これは本当に、リビエン帝国は? そして、ルイスがその急先鋒に? しかし――アーロンの言ったことが本当なら、リビエン帝国はなぜそんなことを? 他国…
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