第72話 初詣
神社の前は人の列が出来ていた。そして快晴というのもあってめちゃくちゃ寒かった。手袋にマフラーと寒さ対策はしっかりして来たはずだがやはり寒いものは寒かった。
「おっ!きたきた!」
「みんな早くない?」
私と文華が着いた頃にはみんな来ていた。私たちが最後みたいだ。早苗は普段着だが少しおしゃれしてた。そして桃華と桜はというと……
「振り袖!?」
「すごい……」
私と文華は流石に驚いた。失礼だが普段の2人からは想像もつかないくらい美しかったのだ。
「その反応は失礼じゃないかしら?」
「そうだそうだ!」
「いや、だって2人とも普段と違うじゃんか!」
「こういう時だからするんでしょう?折角の新年なんだしさ。」
「まぁまぁ、その辺で…。まずは挨拶をしましょう。」
早苗の仲裁により話は一旦終わった。そして挨拶をした後、お参りのために参道に並んだ。
「2礼2拍1礼だよね?」
「合ってますよ。」
「毎年してるのに確認してしまうんだよね。」
「あ、それ分かる!」
「何でだろうね。毎年やってるのにね?」
そうこうしてると順番が回ってきた。さっき話してた2礼2拍をして去年のお礼と今年もよろしくお願いしますという事を伝えて1礼して列から離れた。みんなそれぞれお願いをしてから列から離れていた。そして文華が最後に戻ってきた。
「何をお願いしてたの?」
「内緒です。」
まぁ何となく分かってはいるが一応聞きたくなる。最後はやはりおみくじだ。桃華と桜はもう引いていた。
「吉だけど内容は悪くないからよし!」
「大吉だー!……健康、暴飲暴食に注意……」
桜は吉、桃華は大吉だったが反応が面白かった。私たちも引いてみた。
「吉……努力を怠らず進めば吉……学問……望み通りとなる。」
「良かったじゃん。試験前にいい事書いてて。私は……中吉……恋愛……誠実に向き合えば良縁……」
何で恋愛運を先に見たのだろう……私は他の項目も読み進めた。そしてチラッと早苗の方を見た。
「どうだった?」
「小吉です。待ち人来ずでした……でも、願い事は努力は報われると出てるので頑張ろうと思います。」
私たちはおみくじを紐に結んだ後鳥居に向かって歩いて行き鳥居の外に出て1礼した。
「どうする?このまま解散する?」
「いやいや、折角なら理子の部屋行こうよ。」
「賛成!またお菓子パーティしたい!」
私は文華を見た。文華は頷いてくれた。まぁお正月のしかも元旦はゆっくりしてもバチは当たらないでしょう。
「じゃあ私たちは着替えて行くから先に行ってて!」
「そのまま来ないの?」
「当たり前でしょー!これめっちゃ高いんだよ!汚したりしたら親に殺される……」
桃華の声色から相当念入りに言われたのだろう。私と文華、早苗でお菓子を買って行く事にして2人が揃ったらお菓子パーティが始まって……結局夜まで騒ぐのだった。
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