第63話 旅行8
明日には帰ると文華に伝えると今日食べた夕食の写真が送られてきた。今日もちゃんと食べてる事に安心する。
「早苗〜お風呂入ったよ。」
「いえ、先に理子どうぞ。私まだイカせんべい食べてますから。」
帰り道に買ったイカせんべい。私は歩きながら食べて帰ってきた為もう無くなっていた。明日のお土産に買って帰る事にするとして。そう言われたら私が先に入ってきた方がいいだろう。
「上がったよー。」
「……」
私がお風呂から上がると早苗は椅子に座って寝息を立てていた。テーブルには食べかけのいかせんべいが置いていた。私は起こすのも悪いと思いそのままにしてあげた。外の月は綺麗だった。時刻は21時明日は帰る日だ。文華は勉強してるだろう。流石に今通話したら早苗も起こしてしまう可能性もあるし文華の邪魔にもなりそうだ。
「桜と桃華の部屋に行ってみるか……」
私は机に書き置きをして部屋を出た。そして2人がいる隣の部屋にお邪魔した。
「やっほー」
「あらら、こんな時間にどうしたの?」
「こんな時間ってまだ21時じゃん!桜は?」
「今お風呂入ってますよ。私は先に入りました。」
桃華からは確かに石鹸の香りがした。そして浴室からはシャワーの音がしていた。
「いやー、早苗が先に寝ちゃったけど私はまだ眠くないから遊びにきたんだよねー」
「なるほど、とりあえず入ってください。」
中に入ると結構散らかっていた……昨日はお邪魔してなかったがこれは帰ってから無くした物が出てきそうだ。
「それで、寂しくてきたんでしょ?何か話題ある?」
「いや、特には……」
「なによそれー」
呆れてる様に笑う桃華に私はムッとなる。
「なによ、話題がなかったら来たらダメなの?」
「ごめんごめん!いやー、でもさ。理子って意外と寂しがり屋だったのね。」
「はぁ?なんでよ?」
「だってさぁー、喋る人がいないなら普通なら一緒に寝るじゃん。なのにわざわざこっちに来るんだからさ!」
「いや、私はまだ眠くないから……」
「はいはい、じゃあそろそろバトンタッチだよ。」
「は?」
それと同時にバスルームの扉が開いた。つまり桜が上がってきたという事だ。
「……なんで分かったの?」
「んー……勘かな?」
少し引くレベルの勘だった。
「おっ!理子がいる!早苗は?」
「寝ちゃったらしい。それで寂しいから来たんだってよー!」
「なっ!」
「そう、とりあえず桃華は風呂入ってきなー。私は髪乾かさないとだし、理子は一旦早苗起こしてきたら?風邪ひくよ」
「……それもそうね……」
私は一旦部屋に戻る事にした。そして戻ってみるとまだ早苗は眠っていた。
「早苗ー、寝るならベッドで寝なさい。」
身体をゆすって起こすと少し目が開いた。
「おっ、起きた?」
「……好き。」
寝ぼけているのか何が好きなのかわからないからとりあえずスルーして私は起こし続けた。
「はいはい、夢の中で好きな物でも見れたの?」
「ううん……理子が好きなの……」
「……ん?」
「うん……」
「好きだよ……」
「うん、早苗の事は私も好きだよ。気に入ってるよ。」
「うん…………でも…………」
「でも?なに?」
その続きを言う前に早苗はまた寝てしまった。私はやれやれと思いつつ早苗をベッドに寝かせて桜たちの部屋に戻った。
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