第62話 旅行7
タクシーを使えば回れた場所もあっただろう。だけど予算は限られている。往復と考えたら近場を歩いて散策するのもいいだろう。
「巌流島ってあの辺りかな?」
「たぶんそう……?」
「やっぱり関門橋もでかいね!」
「作るの大変そうですねー」
私たちはどうしたのか?タクシー片道だけ使い帰りは歩くという選択をしたのだ。こんな機会滅多にないんだ。出来ないことをしたいということに満場一致だった。
「じゃあ関門トンネル行ってみよう!」
関門トンネルは歩行者だと無料だ。歩いて行くと中はやっぱり少し暗い。だけど歩行者は少なからずいる。挨拶をしながら歩いていると県境が見えた。
「おおー!福岡と山口の県境だ!」
「折角なら4人同時に超えない?」
「いいですね!」
「やりましょうか!」
ということで手を繋いでせーので県境した。そうしてまたしばらく歩くと出口が見えてくる。山口県だ。
「おおー、あっちから来たんだねー。」
「やっぱり意外と近いですね。」
「いや、遠いからね!15分くらいは掛かってるからね!」
「15分の県境越えって遠いの?」
桃華のツッコミに桜の素朴な質問、これに返せる答えはない……そりゃそうだ。ここはそれだけ特殊な場所なのだから。
「じゃあ戻ろうか。」
「そうね……」
「ねぇ、またアレやる?」
「あー、さっきの?」
「良いですよ。」
「うん、やりたい!」
満場一致の様だ。という事で、先程同様県境越えはみんなで飛び越えて福岡に戻った。そして帰り道だが、普通にバス停があった……タクシー代とどちらが安かったかは考えない様にするのだった。
夕日が海に沈んで行く。それを見るという事はもう夕方そして時刻は17時半で今は展望台にきていた。
「なんも言えないね……」
「ほんとそれ……」
桃華と早苗は本当に何も言ってなかった。それだけ綺麗な夕日だった。エレベーターで1階まで降りた後、夕食を何にするか悩んでいた。折角ならフグを食べて帰りたいとも思う。でも、お刺身も絶対美味しい……両方食べたいけど流石に難しい……
「みんなはフグとお刺身どっち食べたい?」
「うどん食べたいんですが……」
「いや、両方刺身だからね、それ!」
「私もうどん食べたい。」
早苗がいきなりうどんと言い出し、それに便乗する桜……あれ?悩んでたの私だけ?
「お刺身系は明日午前中に市場で食べるんだから夜はうどんにしましょ。夕方になるとやっぱり寒いし。」
「3体1ですか……まぁそれならそうしましょう。」
北九州のうどんは美味しいと聞くし、私も興味があった。
「ごぼう天……長くない?」
「長いわね。」
「長いですね……」
「これです!これが見たかったんです!」
私たち3人をよそに珍しくはしゃいでいた早苗、どうやら本当にこれが目的だったようだ。味はやっぱり美味しかった。だが、それ以上にごぼうの長さがインパクトありすぎて……とにかくすごかった。
「おはぎ食べる?」
「うん!」
「もちろん!ここっておはぎも有名なんでしょ?」
よく調べてきておられる事で……という事で、おはぎを注文して食べる。やっぱり美味しい!甘さ控えめだけど小豆の甘さがしっかりとしてて餅米も美味しい!私たちはホテルでのおやつとして買って帰る事にした。
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