第56話 旅行1
中間試験やレポート提出など大忙しだった10月後半を終えて文化祭が始まっていた頃私たちはというと……
「それじゃあ戸締りしっかりね。」
「分かってるって……気をつけて行ってらっしゃい。」
「行ってきます。あと、ちゃんと食事は取るようにね!」
「分かったってば!」
念に念を押してから私は旅行へと向かった。待ち合わせは駅だった。
「みんな早いね。」
「そりゃ新幹線の時間に間に合わないと困るからね。」
「そうだよね。遅刻すると置いてけぼりになるからね。」
「全員揃いましたね。それではホームに行きましょう。」
私たちは新幹線ホームに向かった。向かう場所は福岡だ。
「福岡って何があるの?」
「太宰府天満宮、福岡タワー、あと夜は屋台でしょー」
「北九州とか行きたいけど……」
「今日は辞めといた方がいいよ。特急で小倉まで30分もかかるから……焼きカレーは興味あるから明日にしよう!」
「博多駅から地下鉄で天神に行ってそこから西鉄で二日市に行くと太宰府への乗り換えで行けるからね。」
早苗がめちゃくちゃ調べてきてた。流石に驚いた。
「太宰府天満宮行くなら文華に御守りを買って帰らないとね。」
「その上に天開稲荷神社もあるんだって、パワースポットだから行ってみたい!」
桃華も調べてきていたみたいでテンションが高い。
「竈門神社も確か近くにあったよね。」
「待て待て!神社巡りばっかになるじゃん!」
「車ないからね。行ける場所は限られるよ……」
「免許持ってる人は?」
誰も手を挙げない……つまりそういうことだ。
「なら、川端商店街とか行きたい。」
「あ、そこは確か櫛田神社があるよね。毎年夏には山笠があるからそこもみたい!」
「飾り山があるかもだし行ってみよう!」
「夜はやっぱり博多ラーメン?」
「もつ鍋も食べたい!」
「焼き鳥食べたい!」
「あの……みなさん。お酒はまだ飲めませんよね?」
早苗の一言で悲しくなる。来年20歳だからそれでようやく飲めるけど……
「今回はもつ鍋にしましょう。」
「そうだね。旅行先でつまらない事したくないもんね。」
そうこうしている間に博多駅に着く。電車から降りた瞬間に豚骨の香りがした。そして予想以上に人も多かった。
「逸れないようにね。」
「理子に言われたくないわ。」
桜の反論に桃華もうんうんと頷いた。すると私の手を握られた。その手は早苗だった。
「離れない様に握ってて下さい。」
何この可愛い生物は……文華とは違う守ってあげたくなる可愛さは……
「早苗はしっかり者だから大丈夫でしょ?」
「いえ、理子がです。文華さんから目を離すとふらふらと迷子になるから捕まえといてと言われてます。」
うん、帰ったら覚えておきなさいよ……文華。
一旦改札口を出ると今度はパンの焼けた匂いがする。私がお腹空いてるわけではなく本当にするんだ。少し歩くとクロワッサンのお店とパン屋さんがあった。つまりはそう言うことだ。博多駅の地下へ向かうと地下鉄がある。今から私たちは天神に向かうのだった。
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