第50話 朗読会の後
夕方には雨が降るでしょう。そんな予報は外れて夕焼け空が広がっていた。文華の朗読は泣く子供が多かった様に見られた。そりゃーあんな結末じゃあ……ともなる。
「良い話だったね。」
「うん、でもさーなんかモヤモヤするね。なんで殺しちゃったんだろう?」
「作者本人はどちらとも思えない書き方だったけどね。」
「あっ、キタキタ!こっちだよー!」
桜が呼ぶ方には早苗と桃華が居た。実は2日前に予定を空けて貰っていたのだ。
「もぅ!呼ぶならもう少し早くに連絡してよ!」
「そうですよ!終わってからしか来れなかったじゃないですか。」
しかし来れたのは朗読会が終わった後だった。
「いやいや、この前一般の人も入れるって知ったからね。」
「はぁ……それで文華ちゃんは何を朗読したの?」
「お供のクマさんって話。」
「知らないんだけど?」
「知りませんね。誰が書いたのですか?」
「文華。」
「「……はい?」」
2人とも鳩が豆鉄砲を食らった様な顔をしてた。
「まぁそうなるよね。」
「そうなるのはわかるけど……一応添削はしたから大丈夫のはずよ。」
「いや!そういう問題じゃなくて!」
「なんで書けるの!?」
「知らないよ!大体書けたかどうかなんてわかんないし、ただ……しっかり伝わったとは思うよ?」
私は夕焼け空を見上げて一言そう言ったら2人は何故か何もいわなくなった。
「……はぁ……それで私たちを呼んだのはなんで?」
「あ、そうそう!夜ご飯食べに行こう!」
「打ち上げ的なものですか?」
「そそー!もうすぐ文華ちゃんも来る頃だからねー」
「何を食べに行くの?」
「それは……もう文華に聞いてるからね。予約もしてあるよー」
「お待たせしました!」
頃合いを見計らったの様に文華がやってきた。顔色は少し悪い……理由はまぁ分かってる。
「筋肉痛?」
「うん……痛い……」
「はいはい、お肉食べて元気になるよー!」
「う、うん……」
「箸……持てるかな?」
「何言ってるのよ?しっかりしなさい!」
私は文華をペシっと叩いて腕を引っ張って歩き始める。その後ろ姿を3人は見ていた。
「仲良いよね……?」
「無自覚なのよね……」
「あれで嫌いなんて言うんだから理子がほんとわからんわー……」
私が知らない所でそんな話をしていた事を私は知らない。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
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