第47話 読んでみて
まだまだ帰ってきても暑いのは変わらない。だが今日は涼しいくらいだ。なぜなら雨が降っているからだ。久しぶりに雨音を聞いて目が覚めた。夕立は降っていたと思う。だけどそれは短い時間だった。朝から照りつける様な暑さはなくとても過ごしやすい始まりだ。
「じゃあ書いたやつ見せて!」
「うん……」
私は読み始めた。最初は人物紹介から……
「ちょいちょい!いきなり名前に力入れすぎ!もっと簡単な名前にしようよ!」
「でも……かっこよくない?シュバルツって……」
「いや、かっこいいよ!かっこいいけれども……違うじゃん!読み聞かせする相手、子供だよ。理解できる子もいるけど出来ない子もいるかもだから!短くしなよ。」
「うぅ……結構悩んだのに……」
そんなあからさまに落ち込むな!罪悪感が半端ないんだから!
「ツッコミ入れるのも大変なんだから……さてと続きは……」
読み進める……読み進めて最後まで読んでみた……
「確かに最後まで良かったと思うよ……面白かったし……」
「ほんと!?」
「うん……でもね……これは高学年くらいの子に読ませる内容だよ!」
「ただいま!おやつ買ってきたよ!」
私が今から指摘しようとした時だった。桜が雨の中、買い出しから帰ってきたのは……
「おかえりー、ねぇ、この話読んでみて!」
「えっ、なになに?誰が書いたの?」
「文華。」
「ほうほぅ!そりゃ期待できるね!」
桜はパラパラと読み始めた。
「へぇー……ほうほう……なるほど!面白いじゃん!でも、物足りない感も拭えない……」
少し考える桜が何か分かったらしい。
「そっか、短いんだ!それに駆け足過ぎるから山場も何もなかった!」
文華はそのまま床に転げた。ライフが0になったようだ。
「はぁ……まぁ正当な評価ね。これ小学生低学年くらいに読ませるのよ。だから短くて当たり前。物足りないのもそう私たちはもっとたくさんの本を読んできてる。深みや考えさせられる描写は少ない作品ね。でも、何より問題なのは私たちが楽しんだらダメなのよね。」
「なんで?書き手も楽しくないと書けないじゃん。」
桜の意見もごもっとも……書き手が楽しくないと物語も躍動感がなくなったり表現に現れてしまう……
「それはそう……でもさ、小さい子に読み聞かせるとしたら私たちが楽しめる本……例えばだけどファッション系……」
「「理子ファッション系読まないじゃん!」」
とりあえず2人とも1発ずつしばいて話を続ける。
「例え話よ。私たちが興味ある物と小さい子が興味ある物は全然違うわけ。だからキャラの名前一つ取っても漫画のキャラみたいな名前よりファンシー系や普通の親しみやすい名前を使った方が良いと思わない?」
「あー……確かにね。キャラ名に力入れてます!って名前だよね。」
「それに話も散らかり過ぎてる。伏線張ってるのに回収したのは2つだけ……結果ハッピーエンドだけどそれじゃあダメだよ。ギャグ漫画じゃないんだから。」
「じゃあ……どうすれば……?」
「まずはキャラだね。印象に残る簡単な名前にしてさ。あとは話を簡単に終わりはこうするって決めて後ろから作って行くのがいいよ。」
「……理子、アンタ編集にでもなるの?」
「なんで?」
「だって……言ってる事が的確な気がするからさ。てっきりそっちの道に進むのかと……」
「んなわけないじゃん!」
私は笑って否定した。まぁ実際は色んなサイト見て勉強してきたからだ。あとはまぁ文華の為なのか?
「じゃあさ。着想変えてみたら?」
「着想を変える?」
「例えばさ、文華ちゃんが好きな童話を元に書いてみるとかさ。好きな本を1つにして書くと物語がスッキリしそうじゃない?」
「なるほどー!一理あるかもね。」
「私の好きな話か……」
私たちの話を聞いてからか少し考えているこれは長くなりそうだ。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
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