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第46話 帰宅

 お盆が過ぎて8月17日……私と文華は帰る日となった。暑い中文華を待たせるのもなんだから迎えに行こうとしたがもう家の前に来ていた。


「久しぶり……」

「うん、久しぶり……」


 久しぶりに顔を合わせるからなかなか言葉が出てこない。けれどもこんな暑い中ぼーっと立ってるのもキツいというか死ぬ!なので歩き始める。


「どぉ?何か書けた?」

「まぁ……うん……一応は……」


「歯切れ悪いなー……」

「いや、初めて書くんだよ!それを読んで聞かせるんだよ!怖いじゃん!」


 この暑い中怒鳴ってるという事は余程煮詰まってるのか書き上げても自信がないのだろう。


「帰ったら見てあげるから落ち着いて……暑いんだから……」

「うん……」


 とりあえず駅までの道すがら飲み物を買う為にコンビニに寄った。そして飲み物を買う。2件目のコンビニでは立ち読みをした。何をしてるのか?涼んでいるのだ。帰りの時間知らん!涼みながら行かないと熱中症になる。だが、生物学と医学の観点からでは寒暖差を急激にかけると体調を崩すのでやめましょう。


「ねぇ、そろそろ行こ。電車またいっちゃうよ?」

「いいよ、夕方に帰れればいいんだから。気にせずゆっくり立ち読みしてよ。」


「店員さんに怒られても知らないよ?」

「……それは嫌だから買って帰る。」


「それ面白いの?」

「うん、面白かったよ。」


「過去形……もしかしてもう読み終えてた?」

「うん、3周目!」


 私はコンビニに寄る度に毎回同じ本を読んでいた。買うか買わないかは結構悩んだが結局買うことにした。


「そこまで読んでくれたら作家さんもさぞ嬉しいでしょうね。」

「そうかもね。単行本買おうかな……」

「やめてよ、片付けない理子が物を増やすと大変なことになるじゃん!」


「ならないでしょ?」

「なんで?」

「文華がいるから。」

「はぁ……ほどほどにしてね。じゃないと売っちゃうから!」

「はい……」


 同居人だから私をしっかり監視してくる。でも、嫌ではない。むしろ部屋が綺麗で快適ではある。


「じゃあそろそろ電車に乗りますかね。」

「早く帰りたい……」

「なんで?」

「疲れた……」

「そう。」

「うん……」


 機嫌が悪い訳ではない。本当に疲れたみたいだ。なので電車内では肩を貸してあげて眠らせてあげた。


「夜は何食べる?」

「さっぱりしたものがいい。」

「そっか……」


 私はガッツリしたい物が食べたかったがまぁこればかりは仕方ない。商店街を見渡しながら歩いて行くと良い匂いがしてきたのでその場所へ行くとパチパチと油が跳ねてコロッケが揚がっていた。


「コロッケかー……」

「美人さんだね、買って行くかい?」


 私は文華を見た。まぁ予想通り首を横に振った。


「ごめん、そういう気分じゃないらしい……」

「そうかい……また寄ってね!」


 揚げ物屋さんに手を振って後にした。そしてスーパーに来た。


「冷やし中華にする?」

「そうめんがいい……」

「……何かあった?」

「ない……」


 私は文華の顔を覗き込んだら目を逸らした。つまり何かある。


「体調悪い?言わないとわからないよ?」

「……昨日お母さんが張り切ってたくさん夜ご飯作ってくれて……」

「あー……食べ過ぎちゃったと?」

「うん……今すごくお腹が重い……」


 つまり胸焼けしてるからさっぱりした物を食べたいという事だ。


「あはは!なるほど、それならそうとはっきり言いなさいよ!」

「……恥ずかしいから……言いたくなかったのに……」

「何を今更?3ヶ月同居してて今更恥ずかしいも何もないでしょ!」


 私は笑いながら言うも文華には恥ずかしい事らしい。だからこれ以上弄るのはやめてあげた。


「じゃあそうめん買って帰りますか!」

「うん!」


 そうして私たちはアパートに帰ったのでした。そして帰ると桜が私たちを出迎えてくれた。どうやら留守はしっかり守ってくれてたらしい。


「ただいま!」

「ただいまです!」

「はい、2人ともおかえりなさい。夕飯は何にする?」

「そうめんだよー、文華が体調不良だから。」


 買ってきたそうめんを見せると桜は頷いて鍋にお湯を沸かしてくれた。その間に私たちは荷物の整理をした。その後は夕飯を食べてお風呂に入ると20時前には寝てしまったのだった。

 ここまで読んで頂きありがとうございました。

次回更新もお楽しみに!


 面白い、続きが気になるという方はブックマークをしてお待ち頂けると幸いです。

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