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第33話 家出のわけ

「何よこれは!!?」

「お漬物だけど?」


 私の怒りに平然と答えた文華、もはや居直ってる感じさえある。


「わかってるわよ!そんな事は!なんでこんなに買ってきたのかを聞いてるの!」

「美味しそうだったから……?」


 すっとぼけてるのか本気で言ってるのか分からなかった。


「大体こんなに食べれないでしょ?どこに置くの?」

「えっ?冷蔵庫だけど?」


 私はとりあえず文華の頬っぺたを摘んで横に思いっきり引っ張る。


「いひゃい!」

「そんな事は分かってるのよ!でもね!冷蔵庫を全て漬物にしたら他のをどこに置くのよ!ね?ねぇ!?」


 私は文華の頬っぺたを離した。文華は頬っぺたをさすっていたがどこか安心した気がした。


「お仕置きが必要なのかなー?」

「ひ、必要ないよ!反省してます!」


 必死に訴える文華だった。まぁお仕置きはするけど……


「あの、私も調子に乗って買っちゃったから文華ちゃんだけを責めないであげて……」

「う、うん……」


 まさかの早苗に庇われるとは思わなかった。これで許さなければ私が悪者だ。


「はぁ、今度は気をつけるのよ?」

「うん……」


「まぁまぁ食べようじゃないのよ。私千枚漬け好きよ。」

「壺漬け美味しいよね!」

「あー、私にも頂戴!」


「って!もう食べてる!」


 お漬物パーティとなった。そして19時前に早苗と桃華は帰って行った。


「はぁ……散らかったわね。」

「片付けは明日私がやるからお2人はテスト勉強を頑張って下さい!」

「……じゃあお言葉に甘えて任せるわ。桜は先にお風呂入る?」

「私は後でもいいよ。それよりさ、ここわからないから教えてよ。」


「ん?あぁここね……図形問題よね……ここはね……」


 私たちは再び試験勉強に入る。その横で文華はお皿洗いと片付けをしてくれていた。


「2人とも、一旦手を止めてお風呂どうぞ?」

「……」

「……」


 私たちは集中して文華の声が聞こえていなかった。数式とひたすら向き合い答えを出す。理系ならではの考え方だ。それを見て文華は先にシャワーを浴びていた。それに気がついたのは解き終えて顔を上げた時だった。シャワーの音が聞こえた。


「あぁ、文華お風呂入ったんだ……」


 時刻は22時半……仕方ない文華も明日までバイトなのだから。私は黙って桜が解き終えるのを待つ。なぜなら話しかけても帰ってこないし、邪魔になると分かっているからだ。


「ふぅー!解き終えた!理子も解けてたんだ。答えはどう合ってる?」

「分からないわよ。今から確認するんでしょうが。」


 とは言ってもまだしない。お風呂入らないと流石に汚いからだ。そして今から回答を見てたらまた遅くなる。ガス代もバカにならないから文華が上がったら私たちも素早く入る。


「ねぇ、相談乗ってくれない?」


 しかし、目の前の桜は真剣な顔で私を見ていた。こんな真剣な表情見た事なかった。


「良いけど……そんなに深刻な話?」

「うん、結構ね……」


 私は姿勢を正しくした。ここまで真剣な眼差しで話してくれるのにだらけるわけにはいかない。


「そんなに身構えなくていいよ。聞いて欲しいだけだし……」

「うん、私も答えを出せるなんて思ってない……でも、桜が真剣なのは伝わるからちゃんと聞く!」


「ありがとう……私さ、一人暮らししたいんだよね。」

「うん、前にも言ってたね。」


「それでさ、この前それを話しててね。親からめちゃくちゃ言われたの……まだ早いとか、学生の本分は勉強だから一人暮らしをして余計な心配をする必要はないって……気持ちは分かるけど過保護過ぎるんだよね……」

「うちの親とは大違いね……それでどうしたの?」


 うちの親は少し遠くの学校と分かると一人暮らしを推してきた。理由は簡単で1人分の家事をしなくて済むからだ。


「家出した。」


 いきなりの事に思考が追いつかなかった。が……なんとかツッコミの言葉は浮かんできた。


「すっ飛ばし過ぎじゃないかしら?」

「いや、ついカッとなって……今朝飛び出してきちゃった……」

「なんでカッとなったのよ?」

「それは……」


 それを話すタイミングで文華がお風呂から上がってきた。

「はぁ……話はお風呂入ってからね。ガス代もバカにならないから……」

「うん……」


 ひとまず一旦お風呂入ってから話の続きとなった。

 ここまで読んで頂きありがとうございました。

次回更新もお楽しみに!


 面白い、続きが気になるという方はブックマークをしてお待ち頂けると幸いです。

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