第31話 試験期間
外に出ると嫌になる……暑い!うるさい!湿気でベタつく!不快三原則がまさに夏だ!だけど夏は嫌いではない……じゃあなぜイライラしてるのか?
「理子、あんま動かないで日焼けするじゃん!」
「桃華……私を日傘代わりにするとはいい度胸ね!」
「仕方ないじゃん日傘忘れてきたし、フランス語取ってるの私と理子だけだしさ。協力し合おうよ……」
とりあえず振り向いた私の顔に恐怖したのだろう。めちゃくちゃ桃華が顔を引き攣っていた。
「怖い怖い!その顔やめて!」
「なら……わかるわよね?」
桃華は無言で私の横に並んで歩いた。そして教室に着いた。
「それにしても暑いねー」
「そうねー……ところでさ……フランス語自身あるの?」
「うーん……まぁまぁかな?たぶん落とさないとは思うけど……」
「そう……私もそんな感じかな……範囲が広すぎるのよね……中間なかったから余計に広いし……」
半ばグチだけど勉強はしてきていた。今もポケットには単語帳がある。すぐに復習できる様にだ。
「試験は13時からだよね?」
「そうね。適度にお腹空いてた方が集中出来るから私は後から昼食にする予定だけど桃華はどうする?」
「私は続けて試験あるから軽くサンドイッチ食べてくるわ。」
「あれ?何か取ってたの?」
「うん、工学技術の歴史ってのをね。歴史から学べる事は沢山あると思うのよね。だから学部の垣根を超えて歴史の授業は受けてるの。単位としては換算されないけどどこにヒントがあるかわからないもの!」
流石桃華だ。探究心は私たちの中ではダントツで旺盛だろう。
「了解、今はまだ12時前だしそこの食堂に入ろうか。」
「あれ?理子は何も食べないんでしょ?」
「コーヒー飲むわよ。眠気覚ましにもいいからね。」
という事で私たちは喫茶店に入った。店員さんにコーヒーとサンドイッチを注文してその間テスト勉強再開だ。
「どのくらいで出る?」
「あんまり遅いとエレベーター混むから少し早めに行こう。」
12時半までは滞在する事にした。私はコーヒーを飲みながら、桃華はサンドイッチを摘みながら黙々と勉強を進めていく。そしてあっという間に12時半だ。私たちはエレベーターに乗って3階の教室に向かう。
午後13時試験開始〜13時45分まで試験……
「終わったー……」
「お疲れ、理子……どうだった?」
「意外と解けた、そっちは?」
「まぁまぁかな?理子はもう帰るんでしょ?」
「うん、早苗も桜も終わったみたいだし、私も帰るわ。」
「そう……じゃあまた明日ね。」
そう言って桃華は次のテスト会場に向かった。
帰り道駅での広告が目に入った。
「花火大会……」
それは試験終了日から2日後の日付が記載されていた。
(折角ならみんなと行きたいな……)
とりあえず帰って文華と相談して決めようと思った。私は電車に乗ってアパートに帰る。
「ただいま。」
「おかえりなさい!」
「おっ、お邪魔してるよ!」
「お邪魔してます!」
部屋の中には文華となぜか早苗と桜がいた。
「あれ……桃華は?」
「桃華はもう一つテストがあるのよ。それでなんで2人がいるの?」
「ん?試験勉強で分からないところがあるから聞きに来た。」
「同じくです。あと桜さんに誘われて来ました。」
「なるほど、なるほど!じゃあ桃華も呼ぼうか!そろそろ試験終わる頃でしょ?」
「おっ!いいね!じゃあお菓子パーティまたする?」
「明日が試験じゃ無ければやっても良かったわよ。」
私の言葉に沈黙が落ちた。現実は明後日まで試験だからだ。
「とりあえず桃華も呼ぶ?」
「ですね。分からないところがあるかもだし……」
早苗が桃華に電話してる間に私は桜の分からないところを見る。文華は文華で模試の勉強をしていた。再来週らしい。
「皆さん夜は食べていきますか?」
「うん、私は食べたい!」
「じゃあ私もそうします!」
「あれ?夜までいるの?」
「うん、今親と喧嘩してるからここに泊めてほしいんだよねー。」
いきなり桜が爆弾発言して3人で驚いた。でもまぁ桜は気が強いからありえるとも思ってしまった。
「着替えはあるの?」
「ないよ?」
「なら、せめて下着くらいは後で買ってきてよね。寝巻きくらいは貸してあげるから!」
「……ありがとう。」
桜から感謝の言葉をもらった。詳しい話も聞きたいけど今はテスト勉強をする事に、続きは桃華が来てからとなった。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新もお楽しみに!
面白い、続きが気になるという方はブックマークをしてお待ち頂けると幸いです。




