第30話 オムライス
桜が帰った後2人きりになった部屋で私たちは雑談をしていた。
「それでお仕事どうだった?」
「うん、難しくはなかったよ。」
「そう……なら良かったわ。明日も行くの?」
「うん……今日と変わらない時間に帰ってくると思うよ。」
私はコーヒーが飲みたくなったので席を立ってキッチンへ向かう。
「文華もコーヒー飲む?」
「うん、ミルクと砂糖もお願い……」
甘党の文華らしい発言だ。来て当初は我慢して私とブラックコーヒーを飲んでいたがすぐに顔に出てた為、私が砂糖を持って行ってあげてた。
「はい、コーヒーあんまり砂糖入れたらダメよ。」
「うん……」
そう言いつつも3杯砂糖を入れたところで文華の手を引っ叩いた。
「ダメって言ったよね?」
「……あと1杯!」
「ダーメ!ミルクにしなさい。」
私は別のコップに入れたミルクを文華の前に出した。それをしばらく見てミルクを少し入れた。その様子を見て私はコーヒーをひと口飲んだ。その時だった。文華は今まで見せた事のない速さで砂糖をコーヒーの中に入れたのだ。
「ちょっ!ダメって言ったでしょ⁉︎」
「だって、苦いもん……」
私は文華の頭にゲンコツを落とした。
「だったら飲むな!」
「……だって一緒に飲みたかった……」
「ならホットミルク作るからそれにしなさい!」
若くして糖尿病なんかは洒落にならない。その為にもここはキツく言っておく。
「はい……」
「さてと、コーヒーブレイクしたらまたテスト勉強ね。」
「疲れてるなら休んだら?」
「その言葉そのまま返してあげる。少し休みな。顔色少し悪いよ。」
「うん……少し寝る。」
そう言って横になった文華、タオルケットを身体にかけてあげるがなかなか寝付かない。
「眠れない?」
「うん……疲れてるはずなんだけど……」
「目だけでも瞑ってればいいよ。」
「分かった……でもさ……さっき少しコーヒー飲んだから眠れないんじゃ……って思ったんだけど……」
私も少し考えてみてやらかしたと思った。
「あ、あそこまで甘くしてれば眠くなるよ!眠りなよ。」
「うーん……」
1つ唸った後再び目を閉じた文華。時刻は17時……まだ夕飯には早い、私は続けて生物学の勉強を開始した。
時刻は20時過ぎ……私は1度手を止めて文華を見た。部屋は文華が寝てるので暗くしている私は机の電灯を付けていた。
「文華、まだ寝てる?」
「……」
どうやら寝てるらしい、私は台所へ向かうと夕飯の準備を始めた。やっぱり結構疲れてた様だ。なので代わりに私が夕飯を作る事にした。
(エプロン着るの久しぶりかも……)
私のエプロンは最近では文華がずっと使っているので私はほとんど使わなくなった。
「さぁーて……何を作るかな……」
冷蔵庫の中を見て材料を見た。中は結構空っぽだったが問題ない。必要最低限の物はあるからだ。
「まだ寝てるわよね。そしたら……」
私は卵と玉ねぎとピーマンと厚切りベーコンを取り出した。そして冷やご飯もあったからご飯を炊く必要もなくなった。
「21時には食べられるわね。」
私は手早く料理をしていく。作るのはオムライス。文華が昔から好きな食べ物の1つだ。マッシュルームがあれば完璧だけど今夜はなし。そして玉ねぎを炒めてるいると文華が起きた。
「あっ、ごめん……寝ちゃってた……変わるよ!」
「いいわよ。たまには私が作るわ。今日は私に任せなさい!」
「……でも……ふにゅ!」
私は文華の頬を片手で挟んだ。頬っぺた柔らかっ!
「いいから、テーブルに準備よろしく!」
「ふぁい!」
私は手を離してあげると文華も手早く準備をしてくれた。
「結構早く出来たね。」
「うん……オムライスありがとう……」
「好きだったでしょ?昔さ。」
「今も好きだけど?」
「そうなら良かった」
私は少し笑ってひと口食べた。少しケチャップ使い過ぎたかもしれない。味が少し濃かった。
「ごめん濃かったね。」
「昔から理子は濃い味好きだもんね。大丈夫、美味しいよ。」
私もたまには作らないと腕が落ちる。週何回かは私が作る様に調整しないといけない気がした。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
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