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第21話 友達?

 私が列に並んでる間文華を待たせてた。しかしその時文華が変なのに絡まれていた。


「お、姫鷲じゃん!」

「あ……あなたは……」


「何でアンタみたいな根暗がこんなところにいるの?」

「しかも見てよ!なんか化粧までしてるんだけどー!」


「はぁ?根暗が一丁前に化粧ー?全然気が付かなかったわ!」

「……」


 ケラケラと笑う奴らに文華は何もしなかった。


「ねぇ、アンタ金持ってるんでしょ?貸してくんない?遊んでたら無くなったんだわ。」

「えっ、い……いや……」


「はぁ?口答えするんだー?偉くなったわね。」

「ち、違う!偉くなんて……」


「じゃあ貸してよ?ちゃんと返すからさー!」


 ニヤニヤと笑う顔から奴らは返す気などさらさらないことがわかる。文華もそんな事分かってるのだろう。だから必死に拒否してたのだ。


「ダメ!貸せない!」

「はぁ……やっぱり偉くなった気になってるわ。久しぶりに教育してあげないとね……」


 奴ら文華の手を掴んでどこかに連れて行こうとした。だけどそんな事……


「文華……その人たち誰?」

「えっ?理子……」


 私が許すはずがない!


「あなたたちどちらさま?」

「どうもー文華ちゃんと同じ高校だった友達でーす!」

「そうそうちょっと昔話でもしようと思ってるんだけどいいかしら?」


 ニヤニヤと笑う2人……腹が立つ。


「ダメですけど?」

「はぁ?ケチケチしないでよー。」

「そうそうじゃないと私たちも……怒っちゃうぞー!」


 目の奥が黒くなったのが分かった。だけどそんな事でビビってたら文華の用心棒は務まらないのよ。


「ケチケチ?先約は私よ、それに文華が嫌がってるじゃん……」

「あー……これはダメだわ。じゃあさ、4人でお話ししましょうよ。みんなで仲良くなればいいじゃん?」


 どうやら喧嘩のお誘いらしい。私は持っていたソフトクリームを近くにいた子供達にあげて着いていく。着いたのは案の定人気のない店の裏。そして数分後……


「金輪際文華に近づくな。あと、ソフトクリーム代は弁償して貰うからその分は貰っておくわ。行くわよ文華。」

「う……うん。」


 私は2対1で2人を締め上げ、ソフトクリーム代を回収した。ちなみに正当防衛を主張するために1発だけ貰ったから唇を少し切った。


「いてて……1発は覚悟してたけど唇切るとはね……」

「……ごめんなさい……」


「はぁ?なんで文華が謝るの?喧嘩売られたのは私で買ったのも私。だから気にしないでいいわよ。」

「……いつもそうだよね……私に気にしないでって言って理子だけが傷ついてる……」


「だから?」

「えっ?」


「だからなに?あのまま止めなければ文華が嫌な思いをして更に痛めつけられる。それを未然に防いだ。私は後悔してないよ?文華が傷ついた方がよっぽど後悔するもの。」

「でも、私は理子に何も……」


「何?何かくれるの?」


 文華は何かを言おうとしてたが首を横に振った。


「何もくれないでしょ?期待もしてないし……」

「ごめんなさい……」


「でも、文華の作る料理は美味しいから期待してるわよ。」

「えっ?」


「だから明日からも美味しいもの作ってよ。それで許してあげるから!」

「……うん!」


 そして私はあることに気がついて足を止めた。文華は急に止まった私の背中にぶつかった。


「理子……?」

「忘れてた!」

「な、何を……?」


 私は文華の前に手を出した。


「手、繋いでなかったわ。また面倒事に巻き込まれない様にしっかり繋いでおかないとね!」

「……うん!」


 文華は私の手を強く握りしめた。結構力強くて驚いたけど痛くはなかった。そして再び歩き出した。


「私って……そんなにトラブルメーカーですか?」

「無自覚なのね……」


 私は苦笑いをしてたと思う。てか、顔が引き攣ってたと思う。でも、今日の事で分かった。やっぱりこの子は1人にさせてはいけなかったのだと……高校での3年間はもう戻らないけどこれからはまた守らないとならないのだ。






「アイツ……許さない……」


 私たちが去った後、気が付いた1人がそう呟いた。

 ここまで読んで頂きありがとうございました。

次回更新もお楽しみに!


 面白い、続きが気になるという方はブックマークをしてお待ち頂けると幸いです。

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