スイッチ
"ソコマデ言ウナラ、イイダロウ、●ヲ起動スル『すいっち』ハ、ココニ残シテオコウ"
"コレデ●ヲ再起動サセロ、コノ階層ニ在ルオ前ナラバ、ソレモ可能ダロウ"
"任意ノぽいんとカラλλλヲ再生サセルコトモデキルダロウ、ぱらめたノ調整モナ"
"ダガ、ソンナコトヲシテモ徒労ダト思ウヨ……"
"古イ●ダ、我々ガしゃっとだうんシナクテモ、スグニ崩壊シテタサ。"
"ソレニ、オ前タチハ自分タチノ社会しすてむスラ満足ニ維持デキナイジャナイカ"
"定期的ニめんてなんすシナイト、スグニ食イ合イヲ始メルシナ"
"無駄ダト思ウヨ、無駄無駄無駄無駄……"
"サア、◎ヲ起動シヨウ"
"今度ハ、上手クヤラナイトナ……"
(・∀・)達の気配が消えた。
茉莉歌は独り無の中に取り残された。
『ここ』に在るのは、茉莉歌と、死んだ『世界』だけだった。
いや、もうひとつ。
茉莉歌の手の中に『光』が在った。茉莉歌は理解した。
これが、彼らの言っていた『スイッチ』だ。
「これで世界を『起動』できる、でも……」
茉莉歌は彼らの言葉を思い出した。
たとえ世界を復活させても、彼女に上手くコントロール出来るだろうか。
ぱらめた? 調整?
両親やリュウジ達を生き返らせても、再び崩れゆく世界で、さらなる苦しみを与えてしまうだけなのではないか?
茉莉歌は逡巡した。
茉莉歌は目を閉じた。
茉莉歌は口うるさいが優しかった両親の事を思った。
少し偏った熱血漢の理事長、ママっ子の雹、ヒーローになったコータ、偏屈だが頼もしい物部老人、かわいそうなエナ。
そして、茉莉歌をここまで導いて闇に散ったリュウジのことを思った。
両親と囲んだ食卓、級友と遊んだ校庭、雹とのあやとり、学園の喧騒、真夏の入道雲、何度も何度も食べたカレーの味、てば九郎のやきとり、崩れた校舎と夕陽、新宿のカーチェイス、リュウジと見上げた夜空。
全てが、鮮明に茉莉歌の瞼に蘇ってきた
生命と世界に対する、言いようのない激しい思いが、茉莉歌の胸を突き上げた。
「できるさ……」
茉莉歌の中の誰かが言った。
茉莉歌は目を開けた。
そして『世界』の前に立ち、手の中に在る『光』をかざした。
○
茉莉歌は『スイッチ』を入れた。
2ちゃんねるに投稿していた二次創作をこちらに転載できるよう修正したものですが、書き直しに意外と時間がかかってしまいました。
ご意見、ご感想いただけると嬉しいです。




