観測者
『視線』からは、ある気配が感じられた。
当初、それは『驚愕』と『嫌悪感』だった。
だが、時を置かずそれは『侮蔑』『憐憫』『嘲笑』へと変わっていった。
(・∀・)ニヤニヤ (・∀・)ニヤニヤ
(・∀・)ニヤニヤ (・∀・)ニヤニヤ
茉莉歌にも、理由は想像できた。
シャーレで観察していた微生物が、目の前に飛び出してきたからだ。
"驚イタナ、λガコノ階層デ実在化スルトハ"
"λノ権限ヲ広ゲスギタンダ、最後ダカラッテ無茶シスギダ"
"●ノココニ、ほーるガアッタノダ、『次』ハ初期ぱらめたノ設定ヲ入念ニシナケレバ……"
世界を外部から管理、観察していた『外なる』者たちが会話を始めた。
何故か、茉莉歌には彼らの『言葉』が理解できた。
「願い事を言います。これを元に戻して!みんなを返してよ!」
茉莉歌は『世界』を指差して、彼らに叫んだ。
"ソレハ無理ダ、'願イ事'ハ●ノ内部デノミ有効ナノダ"
"スデニ●ハしゃっとだうんシテ廃棄シタ"
"老朽化シテイタノダ、りそーすモ枯渇シテイタ"
"最後ニ、オ前タチニ『褒美』ヲヤッタノダ、永年我々ニでーたヲ提供シテクレタ、セメテモノ礼ダ"
"ノンビリシテイラレナイゾ!でーたノ移行ハ完了シタ、新タナ◎デ観測ヲ再開シヨウ"
"オ前モ、◎デ再生サセヨウ。コノ階層デハ、アマリニ不憫ダ……"
(・∀・)の1柱が憐れむように茉莉歌に語りかけた。
「……その必要はありません。もう一度言います。『これ』を元に戻しなさい!」
茉莉歌は、再び彼らに言い放った。
「あなたたちにとっては、ただの実験でも、私には、私達には、『これ』しかないの!大切なの!他には替えられないの!」
発した本人も驚くほど、鋭く、威厳のある声だった。
「…………!」
(・∀・)達は一瞬、茉莉歌に気押されたように沈黙した。
だが、すぐに嘲るような調子に戻って、茉莉歌にこう言った。




