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まりか、りじぇねれいと!  作者: めらめら
第5章 最後の戦い
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血闘、そして茉莉歌の決意

「脳みそ~~~! 脳みそをよこせ~~~!!」

 机やロッカーを押し倒し、蛸足の様な触手をのたくらせながら、大月教授が三人に襲いかかってきた。

「どうかしてる! 逃げろ!」

 研究室から飛び出す三人。だが教授の触手が、茉莉歌の足首に絡みついた。

「きゃあああ!!」

 スカートを押さえながら逆さで宙吊りになる茉莉歌。

 教授の卑猥な頭部が茉莉歌に迫る。


「あははあ! ちゅぅがくせぇの脳髄にアクセスするのは初めてだぞ! どんな味かな~~ぁあ'`あ'`あ'`あ'`あ」

 興奮した教授が頭部を膨れ上がらせた。

 そして、蛸足の先端に埋め込まれていた鋭い医療用メスを生やすと、茉莉歌の喉元に突きつけた。


「いやぁあああ!リュウジおじさん!」

 絶叫する茉莉歌。

「茉莉歌ぁあ!」


 しゅらん。


 リュウジが、背中におった日本刀を抜き打った。

 旅の道中で魔王衆『琉詩葉(るしは)』から賜った妖刀『関ノ孫六兼元』。


 万が一に備えて携えてきた刀だが、今こそ抜く時。彼は教授に走り寄った。


 ばさり、ばさり、リュウジは次々と教授の触手を両断していく。


 だが、切った端から、すぐに新しい触手が生えてきて、リュウジの行く手を阻むのだ。


「馬鹿め! そんなもので私は倒せん! 肉体のセキュリティとバックアップにも気を使ってるのだ!」


 シュバッ!リュウジの脛に、鋭い痛み。

 あ!リュウジは足元を見た。

 なんということ、切り落とした教授の蛸足が彼の足元に這い寄ると、先端のメスで彼の脛を切り裂いたのだ。


「うあああああ!」

 痛みで転げまわるリュウジ。

 教授は鼻を鳴らして触手でリュウジの体をなぎ払った。


 ごっ!:*:・。,☆゜'


 ロッカーに頭を強打し、リュウジは昏倒した。


「リュウジ~!」

 彼に駆け寄ろうとするコータの足に、床にのたくる蛸足が絡みつく。

「うおお!」

 転倒するコータ。


「ふん、愚鈍なブタめ!」

 教授が舐めきった様子でコータを見下ろした。


「貴様は後でゆっくり料理してやる! まずは、ちゅぅがくせぇの処置だ、だがその前に……!」

 教授のメスが茉莉歌のスカートを切り裂いた。

 茉莉歌の脚を、ヌラヌラとした汚らわしい触手がゆっくりとまさぐっていく。


「あっ…………! あっ…………!」

 恐怖とおぞましさに茉莉歌は涙を流して硬直する。


「あはははははぁあ!たぁまぁらぁんなぁぁぁ!!」

 卑猥に笑う教授。

 茉莉歌の全身に彼の触手が迫る。あぶない茉莉歌! だがその時だ。


 唐突に、教授の触手が痙攣して、その動きを止めた。


「な、何だ?体がっ!言うことを!」

 教授は戸惑っていた。

 教授の肉体を構成する数百の『補助脳』の一部が、彼の管制を拒んでいるのだ。


「そんな馬鹿な!『補助脳』の自我が、私の動きを阻むだと!?」

 愕然の教授、補助脳の制御は完璧だ。『叛乱』など、ありえないはずだ。


「お父さん! お母さん!」

 茉莉歌は直感した。彼女の両親が、教授の内側から彼を制して、茉莉歌を助けようとしている!


「あ()つ……、こ、コータ! 用意はいいな!」

 目を覚ましたリュウジが叫ぶ。


「ああ!」

 ようやく触手を振り払ったコータは、メタルマンスーツの掌底を教授に向けて構えた。


「茉莉歌! これを使え!」

 リュウジは、足をひきずりながら教授に近づいた。

そして、腰に下げた手榴弾を手に取ると、茉莉歌に向けて(ほお)った。

学園での最後の戦いで、理事長から渡された爆弾だ。


「わかった!」

 教授に宙吊りにされながら、必死で爆弾をキャッチする茉莉歌。


「うう、でも……!」

 彼女は躊躇っていた。教授の体を破壊するということは、教授の中にいる彼女の両親も……。

泣きそうな顔の茉莉歌。


「ぐううう! 待っていろ、小娘ぇ!」

 教授が茉莉歌を睨んで呻った。必死で補助脳を管制し、肉体の自由を取り戻しつつあるのだ。


「茉莉歌、いいんだ……」

 懐かしい声が、茉莉歌に語りかけてきた。

 お父さん……! 彼女は目を見開いた。教授の内側から、茉莉歌にだけ聞こえる父親の声。


「よくここまで来てくれた、すまない茉莉歌、さあ早く……」

 父は、懇願するように茉莉歌に言った。


 ……わかった。

 茉莉歌は、眦を決した。


「お父さん……お母さん……! さ よ な ら !」

 茉莉歌は手榴弾のピンを抜くと、アングリ開いた教授の口中に突っ込んだ。


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