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まりか、りじぇねれいと!  作者: めらめら
第3章 魔少女かくて還る
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おとこのままごと

 翌日、多摩市に降り立ったエナは、懐かしい我が家に足を運んだ。

 新宿程でないにしても、未だ怪物怪人の跋扈する多摩市の焔浄院家大邸宅。既に荒れ果て家人や使用人の姿は無く、父親もそこにはいなかった。


 父さん……、やはり学園に。


 エナは、自身の母校でもある聖痕十文字学園を訪れる。

 そして、学園の校医でもあった母の面影を求め、保健室を探した。

 だが一年前に終わった校舎の改修で、保健室はその場所を変えていた。


 昼前の渡り廊下で、給食当番と思しい少女にその場所を尋ねて、ようやく保健室に至ったエナ。

 だが、そこに母の痕跡はなかった。


 母がペン立てに引っかけていたロケットペンダントも、今はなかった。

 父と母とエナ、家族三人の写真が納まっていたのだ。


 保健室を出て、トボトボと渡り廊下を歩くエナは、ふと校庭に目をやった。


 ……信じられない。


 彼女は、眼下の校庭で展開される光景に我が目を疑った。


 風林火山の軍配をかざした父親の大牙(だいが)が朝礼台で何か叫んでいる。

 彼の指揮の下、猟銃やパワードスーツで武装した『ギャラクシーフォース』の面々が、恐竜や巨大昆虫と戦っている。


 ……戦い?


 死地で地獄を見たエナには、失笑すら浮かばない、ただの『遊び』だった。

 わざわざ自分たちでおびき寄せた、野良犬程度の『怪獣』たちと、ただ戯れているのだ。


 エナは、絶望した。

 やはり父は、母や自分の事など、どうでもよかったのだ。

 死の淵の母を顧みもせず、こんな所で、自警団気取りで遊んでいるなんて!


「わかった……」

 エナは冷たく燃える目でつぶやいた。


 ヒーローごっこがしたいのなら、もっと気の利いた相手を用意してやる!

 『状況』を引っかき回す、ウザキャラも投下してやろう。


 全て、今のエナには容易なことだった。


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