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まりか、りじぇねれいと!  作者: めらめら
第2章 学園戦記
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戦火猛然

 びゅん!

 四肢からジェットを噴き上げて、トライポッドに飛びかかるコータ。

「ぶおーーーーーん!」

 食事を邪魔されて怒り狂ったトライポッドが、リュウジをつかんだ触手を無茶苦茶に振り回し、コータに襲いかかった。


「のわ~~~!!」

 絶叫するリュウジ。彼の頭に、お花畑があふれだした。


「ばかなー!何をやってるんだあいつは!!」

 激昂する理事長。


「……出るぞ!」

 校舎の陰の物部老人がタニタさんに合図した。


 戦いが始まった。宇宙戦車が振り回す金属製の触手をかいくぐりながら、両手の掌底に備わった熱線砲から、パルスレイを連射するコータ。

 だが光線は青白い光の被膜に阻まれて、トライポッドの黒金の胴体を傷つけることはかなわない。


 シュバッ!

 

 一瞬、トライポッドの放った破壊光線が、なみなみと水を張ったプールをかすめた。


 どかーーん!

プールが水柱と化した。水蒸気爆発が起きたのだ。校庭を濃霧が覆っていく。


「なんだ!?」

 轟音に気をとられて敵から目をそらしたコータ。

 それを見過ごすトライポッドではなかった。


バチッ!


 触手の強烈な一撃。戦車が空中のコータを叩き落とした。

「しまった!」

 凄い勢いで地面に激突するコータ。だが幸いにもスーツのおかげで怪我はない。しかし、それが限界だった。


 がちゃーん!


 ただでさえパツパツだったメタルマンスーツが、衝撃ではち切れて地面に四散したのだ。


「ぶおーーーーーん!」

 勝ち誇ったトライポッドが、触手を撓らすと、リュウジを空中にポイと放り投げた。

 もやしっこのリュウジよりも、食べ応えのありそうなコータを餌に選んだのだ。


「素敵な香りの……綺麗なお花が……いっぱい…」

 なにかブツクサ呟きながら、放物線を描いて落下していく死んだ目のリュウジ。


 ぼふっ!


 だが見ろ、危機一髪!

 彼を受け止めたのは『てば九郎』の抱えた救命マットだった。鳳乱流が間に合ったのだ。


「気がつきましたか、如月食糧相!」

「すまん鳳くん、あいつは? コータは!?」

「あそこです! 急がないと!」

 トライポッドが今度はコータの脚を掴んで、引きずり上げようとしているのだ。


「いかん助けないと! 鳳くん、こいつを借りるぞ!」

「あ~ちょっともー!」

 『てば九郎』に乗り込んだリュウジが、コータのもとに突進した。

 そしてローダーの剛腕でコータの両手を掴む。


「コータ、絶対手を離すなよ!あきらめるな!がんばれ!」

「やめろ~体がちぎれる~~!」

 トライポッドとパワーローダーの綱引きが始まった。だが両者のサイズとパワーは比較にならない。

 ずるずると空中に引きずり上げられるコータとリュウジ。


「 ぶ お っ!」

 トライポッドが、よだれを垂らしながら下腹部の口腔を展開した。


 絶体絶命、リュウジの脳裏を死の予感が駆けた。


 おお、だが地上を見ろ。

 いつの間にかトライポッドの足元には、霧に紛れて発車したエア・バイクが停まっている。


「タニタ、でかした!」

 エア・バイクを駆るタニタの後部から降り立ったのは、物部老人だ。


「木偶人形め、足元がお留守だぜ!」

 老人が、ニマリと笑ってトライポッドにロケット砲を構えた。


「やめろ物部さん!校舎に近寄りすぎている!」

 理事長が叫ぶ。


 だが、時は遅かった。この矍鑠とした老人の距離感覚もまた、霧のせいで狂ってしまっていたのだ。


 宇宙戦車の口腔に狙いを定め、老人は今まさにロケット弾を撃ち放った。


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