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まりか、りじぇねれいと!  作者: めらめら
第2章 学園戦記
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とんだおじゃまむし

「リュウジおじさん、何であんな無茶を…?」

 茉莉歌は雹と一緒に身を屈め、教室の窓から校庭の様子をうかがっていた。

「お姉ちゃん、おじさん大丈夫かな……」

 茉莉歌にすがる雹。

 他の生徒と避難者たちも全員、教室や体育館に身を潜めていた。


「ぶおっ!」

 リュウジに気付いたトライポッドが、その動きを止める。

 宇宙戦車のサーチライトがギラリと光った。

 そして甲虫のように黒光りする胴体から、金属製の触手を露わにすると、するすると地上に立つリュウジに向けて伸ばしてきた。


「たのむぞ~両手はふさがないでくれ!」

 ホールドアップしたリュウジの胴体を触手がぐるぐる巻きにして行く。

理事長から渡された手榴弾は一発。尻ポケットに引っかかっている。これなら手が届く。


「……先生よ、あの兄ちゃん一人で本当に大丈夫かね?」

 RPGに弾頭を装填しながら、物部老人が理事長に言った。


「時間がなくて彼に頼むしかなかったのです、失敗した時は私が囮になります」

 そう答える理事長。彼は飯島老人のロケット砲を見た。


「その時は、そいつで援護を頼みますよ。」

 理事長も命がけだった。


「救助の準備が出来ました。これが精一杯ですが…」

 パワーローダーに変形したてば九郎が救命マットを抱え上げている。

 これで、リュウジをキャッチするつもりなのだ。

 学園の『隊員』達は、息を潜めて校舎の死角から、出動の機会を窺っていた。


 空中に浮いたリュウジは、緊張に生唾をのみこんだ。

 冷たく撓うその触手で、ゆっくりとリュウジを巻き上げていくトライポッド。


 パカッ!


 リュウジを食べるため、宇宙戦車の下腹部が展開した。

 ゆっくりとリュウジの眼前に迫った、まるで生物のそれのように蠕動する、トライポッドの不気味な口腔。


「よし!これならいけるぞ!」

 自身の腕力と相手との距離を必死で計り、今が爆弾投擲の時と見定めたリュウジ。

 彼は手榴弾の安全ピンに慎重に手をかけた。


 だが、その時だ。


「リュウジ?何してるんだそんなところで?」

 校庭に現れたのは、体育館裏で昼寝していたコータだ。

 目を覚まして、今頃『状況』に気付いたのだ。


「コータ?ばか!危ないからこっちくんな!」

「いや……そんなこと言ったって……お前食われかけてんじゃん!まってろ!!」

 コータは背中にしょっていたパンパンのリュックを地面におろすと、その中に両手を突っ込んで叫んだ。


「 ア ダ プ ト ! 」


 ガチャガチャガチャッ!


 なんということだ。リュウジは目を覆いたくなった。

 リュックから現れた鉄塊が、ものすごいスピードで展開しながら、赤銅色の装甲板と化して、コータの体を包んでいく。


 おお、今校庭に立っているのは、リュウジも漫画で見知ったヒーロー。

 100kgの巨体をパッツンパッツンの金属スーツで覆った、『メタルマン』だった。


「まってろリュウジ!いま助けるぞ!!」

「やめろ~~!余計なことすんな~~!」


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