転校生
新学期が始まり、教室内は転校生が来るということで持ちきりだった。
どんな子が来るんだろうか。と思っていると、イケメンが教室の中に入ってくる。えぇ、武宮君もそうだけど顔面偏差値高すぎませんか。
と、じっくり顔を見ていると目があってしまった。
「……っ!」
その時、なぜか唾を飲んでいたその転校生。
ずっと、私のほうを見ていたのだった。おいおい。私そんなに可愛いか? 照れるな。いや、照れるのは嘘だけど。
「……早く自己紹介を」
「え、あ、はい! ぼ、僕は斎賀 小太郎、です。趣味はゲームでIUOやってます……」
「私もやってるよ!」
「私も私も!」
と、女子がやってるという声を上げる。
月乃は興味なさそうに頬杖をつき、白露はあくびをしていた。私はというと、興味ないので机に突っ伏して寝ていることにしたのだった。
で、休み時間になり、私がトイレに向かおうとすると、斎賀君から声をかけられた。
「あ、あの! 貴方の名前を教えてください!」
「私? 私は夢野 眠。で、名前を聞いてどうしたいの?」
「ゆ、ゆゆ、夢野、さん! 連絡先を教えていただけませんか?」
「それぐらいなら別に」
私は携帯を取り出し、連絡先を交換した。
「あまり頻繁に連絡はしないでね。用があるときだけ」
「わかってますよ。迷惑行為はしません! あ、あとIUOってやってますか?」
「まぁ、一応」
「フレンドになりましょう!」
なんだろう。
いい人、なんだろうか。だけどなんで私にばかり話しかけてくるのかがわからない。クラスメイトたくさんいるだろうに。なんで私だけなんだろう?
と、疑問に思っていると武宮君が転校生の肩を掴んだ。
「ちょっといいか?」
「あ……。は、はい」
連れていかれたのだった。
☆ ★ ☆ ★
廊下に転校生を連れ出し、俺は聞くことにした。
「お前……パン子さんが好きなのか?」
「な、なんでわかったんですか?」
「いや、露骨だからわかるだろ……」
あれで隠せてるつもりだったんだろうか。
あれで気づいてないのは多分パン子さんだけだと思う。他はもうパン子さんの事が好きなんだなって気づいたはずだ。
「み、みなさんにもわかったんなら夢野さんにもわかりましたよね……」
「いや? あの人はそういうことに関してだけは疎いから」
「そ、そうなのですか?」
「だから、積極的にアプローチといいたいが、あの子は積極的すぎてもダメなんだ」
言っていて、俺もよくわかってると思う気がする。
敵に塩を送る行為をしているのは百も承知。だが、フェアな勝負をしたい。俺だって……好きだと思っている。一目惚れというやつなのかもしれないな。
「負けないからな」
「……はい。僕も負けません」
俺は、教室に戻ることにした。




