魔法バカの国
友好関係を結んだ次の週。
ニホンにアルトメル帝国の使者が訪れているらしい。アルトメル帝国といえば、魔法国家。魔法使いの聖地とも呼ばれる場所であり、魔法に関しては超一流だとか。
皇帝さんは滅茶苦茶いい人らしく、魔王に関しては「あ、生まれたんだー。おめでとうといったほうがいい?」と隣の国王に聞いて、わざわざ手紙をよこしてきたほどだった。
いや、喜ぶなよ……。とは思ったのは内緒。
「ここが魔王城ですか」
で、その使者である大臣と数人の魔法使いがやってきたのだった。
「なんていうか、こう……心をくすぐられますな」
「魔力に満ちている……! さすが魔の森の近くの城なだけありますな!」
「なにこれ。なにこの魔力により材質が変わった壁……。興味深い」
私の帝国の第一印象は魔法バカという感じがする。
あれだ、白露と似たタイプの人だ。白露はスポーツバカだし。
「あ、あの。私どもに話があったのでは?」
「す、すまない。つい、興奮して」
「いえ、住んでいる城を褒められるのはいい気分なのでいいのですが……」
「話を遮りすいません! 質問いいでしょうか」
「ど、どうぞ?」
「この城、魔力で建てられていますが、どの程度の日数がかかりました!? この膨大な魔力を使って建てたとなるとそれはもう結構……」
「い、一日ですよ」
「なんと!?」
魔法バカ……。
皇帝も手を焼いていそうだ。魔法使いは目をキラキラさせて辺りを見回している。
「こほん。では、話をさせていただきますと……。その、魔法をぜひとも教えていただきたい。そのあなたみたいにいつも浮いている魔法だとか。私は今にでもあなたをとっつかまえて研究したいほど心がくすぐられている」
「失礼。バカかあんた」
おっと。思わず本音が。
「ぜ、ぜひとも私と共に来ないか! そして研究をっ……!」
「断りますよ……」
「そうか。残念だ……」
「一つ聞きたいんですけど、あなたの国魔法バカが多いんですか?」
そう聞くと大臣さんは悩むこともなくうなずいた。
「私を含め魔法に熱心ですよ。私より第一王子のほうが魔法バカですが」
「さらに上がいるのかよ……」
「賢いんですけどあの王子、魔王様から直直に魔法を学びたいとここまで押し掛けるつもりだったのです。さすがに皇位継承者であるのでそれは許しませんでしたが……」
「なんというか、すごいな」
「その時に言った言葉が、魔法を学ぶためなら王子という地位を捨ててもよい、と。さすがに私は地位はちょっと……」
「うわ……」
今まで関わってきた王子よりは誰よりもいい人なんだろうけど……。なんていうか、魔法バカだ。大臣さん引き留めてありがとう。そいつがきたらちょっと居心地悪いかな? 真面目な分扱いずらいし。それに、第二王子とかみたいにたてついてくるわけじゃないしな。
その話を聞くと第二王子が一番扱いやすいぜ!
きっといいくに。だけどバカ




