四川料理店がオープンしたそうだ ①
アバロン教と手を組むということを伝え、私は早速王都にまで行くことにした。
今回こそはレブルを置いていこう……と思ったけど、師匠の間近にいたいです! と意見をゴリ押してくるのでなくなく連れていくことになった。
いや、今回の目的は普通に観光なんだけど……。
「パンドラ。王都で何してくるの?」
「普通に観光なんだけど……」
「嘘ね」
「嘘じゃないんだけど……」
え、私そこまで信用ないの?
失礼な。私だってこう、国落としとかそういうことを考えてるわけないだろ。私だって観光目的で行くことはあるんだよ……。
とはいっても、料理が食べたいからなんだけど。
「まぁ、成果に期待しておくわ」
「もういいわ……」
私は早速王都に出向くことにした。
私が王都に来たのは本当に料理を食べるためだ。
あるプレイヤーが開いた料理店にいくことが私の目的。そのプレイヤーは有名な料理店の料理長を務めており、四川料理がとても美味しいらしい。
ぜひとも食べてみたいと思っていたけれど、現実じゃ値段も値段だし近くにない。だからこそゲームでその料理が食べれるっていうのが嬉しいことだった。
今日オープンで、私が店の前につくと、結構人が並んでいた。だがしかし、いろんな作業に追われる人がいるゲームで行列は滅多にないし、他忙しい人が多いのか私は中に入れそうだ。
「楽しみだなぁ」
「ほ、本当に料理店に来たのですね……」
「うん。ここオープンしたからね。ぜひとも食べてみたくて」
四川料理。担々麵とかが有名か?
四代中国料理というだけあってとても有名なものばかりだし、なにより、辛いのだ。辛いのはどちらかというと好きなため、四川料理は私にあっている。
楽しみに私が並んでいると、ガタイのいい男の人が何食わぬ顔で私の目の前に立った。
「……横入りしないでください」
「あ? もともと俺はここに並んでたんだよ。トイレにいってたんだ」
「そうだとしても一度行列から出たんですから最後尾に並ぶのが常識でしょう?」
「ごちゃごちゃうっせーな……。ガキのくせに」
「ガキがわかる常識をわからない大人ってどうかしてますよね」
「あ?」
と、その男の人が私を睨む。
私はヘラヘラと笑ってやった。
「お前、俺が誰だかわかってたてついてんのか?」
「わからないからこそたてついてるんですが?」
「なら自己紹介してやろう。俺はAランクの冒険者だ。俺は強い。お前如きなんか……こうだぜ!」
と、男が剣でいきなり切りかかる。
私はじっとしていると、レブルが聖剣を腰から引き抜き、剣をはじいた。
「師匠に手を出すな……!」
「な、なんだこいつ!?」
「師匠が注意したんです! さっさと最後尾に並んでください! それとも、今さっきあなたがしたように私があなたを始末してあげましょうか?!」
なんだろう。この子変わったなぁ。悪い意味で。
いや、まじで。悪い意味で変わったなぁ……。
「わ、悪かったよ……ちっ」
男は剣を拾い、後ろにまた並びだした。
「お嬢ちゃんかっこよかったよ」
「いえ、当然です。師匠を困らせる行為をしたのですから」
「よくお嬢ちゃん怖がらずつっかかったね」
「怖がるほどの相手じゃないですもん」
私が誰だかわかってたらもっと怖がってそうだし。
「よかったらフレンドにならないかい? 俺ちょっと感心しちゃった」
「いいですけど、私結構有名ですよ?」
「そうなのかい?」
「まぁ」
悪名高いが一番正しいだろう。
「まぁ、ここにいる全員に私自己紹介しましょうか?」
「あ、ああ」
レブルを列に残し、私は列の横にいく。
先ほどの喧嘩でみんなから注目を受けていた。歩いていく私に注目が行くのは当然の事だった。私は、まず「先ほどの喧嘩、すいませんでした」と一言謝る。
「えっと、私に苦情を言ってもらっても構いません。用事がある方は魔王城にいき、魔王軍パンドラと話がしたいといえばいつでも私が請け負います」
「……お、お嬢ちゃん魔王軍の……しかもパンドラ?」
「ええ、魔王軍パンドラが私の名前となります」
そういうと、みんな顔を青ざめていた。
どうぞどうぞと譲られるけど……。私は行列に並ぶのも醍醐味だと思っている。
「いいんですよ。今日は料理を食べに来ただけですから。それほど私信用ないですかね?」
「町を一つ潰し、PKもいとわないあんたに信用あると思うか?」
言われてみればないな。
「いや、ほんとですから。というか、やっぱ私悪名高いなぁ……」
「日頃の行いが悪いんだろ」
「というかそこの男の人ずばずばと私を切り裂いてくるね……」
信用のなさがつらいでうぃす。




